60インチを縦型に設置したサイネージ例

日本最大級の100面「シリーズ・アド・ビジョン名古屋」

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太閤通口側から見た北側のディスプレイ群

JR名古屋駅の中央コンコースに、おそらく日本最大の面数のデジタルサイネージとなる「シリーズ・アド・ビジョン名古屋」が運用を開始した。名古屋駅の新幹線口である太閤通口と、市内中心部側の桜通口を東西につないでいるこの広大な通路に、北側と南側それぞれ25本の柱に60インチディスプレイを各2面ずつ、合計で1拠点で100面という規模は日本最大級だ。正確な情報とはいえないが日本最大と言っていいと思う。ちなみに面数で世界最大なのはソウルの地下鉄新盆唐(シンブンダン)線のカンナム駅通路にある143面ではないかと思う。

長さおよそ200メートルにも及ぶ一直線のディスプレイ群はまさに圧巻である。端から端まで歩くと2分程度かかるので、連続視認による認知度はかなり高い。またこのロケーションは通勤通学客、新幹線経由の出張や観光客、地元の買い物客など、曜日や時間帯によって様々な人が行き交う場所だ。

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太閤通口側から見た南側のディスプレイ群

しかし200メートルに100面だからと言って、2分間延々同じ広告やコンテンツを見せられてもすぐに飽きられてしまうが、これらは100面それぞれ個別に表示制御できるので、表示パターンをさまざまに変化させることで、2分間しっかり見てもらえる工夫ができるようになっている。東京の品川駅に44面のサイネージがあり、こちらも同一映像の表示以外にも対応できる。

緊急時にはNHK放送なども表示

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台風19号接近時のHNKの名古屋駅からの中継画面のキャプチャー。画面右端の柱に、NHKの映像が表示されているのがわかる

平常時には広告が中心に表示されるのだが、緊急時や災害発生時には、関連する情報に切り替わる。先日の台風19号の時にはNHKのライブ放送が表示されていた。これはNHKとの取り決めによって実現されているもので、一定の手続きをすることでデジタルサイネージにNHKの緊急時対応番組を表示することができる。あくまでも緊急時だけであるが、台風や地震などのケースには有効な情報となる。

マルチディスプレイを効果的に利用

媒体事業社であるJR東海エージェンシーから、現場でのデモ映像をいただいたのでこちらをご覧いただきたい。

このように一定間隔で並んだ複数のディスプレイを利用して、効果的な映像演出をするためには、1画面や、縦と横に複数枚を用いるいわゆる「マルチ」とはまた別の演出効果を得られる。さらにこのロケーションでは、人は立ち止まるのではなく歩いていることが多いので、この動きに追従したり、向こうから手前に迫ってくるとか、ロケーションと表現機能を活かした広告やコンテンツが徐々に増えてくると思われる。

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天井に設置されたスピーカー

また中央部分にはイベントスペースもあるのでそれとの連動も予定されているようだ。スピーカーも設置されているので音を出すことも可能だ。さらに駅上部の超高層ツインタワーであるJRセントラルタワーや、2017年に完成予定の、JRゲートタワーに設置されるであろうデジタルサイネージとの連動も視野にあるようだ。

WRITER PROFILE

江口靖二

江口靖二

放送からネットまでを領域とするデジタルメディアコンサルタント。デジタルサイネージコンソーシアム常務理事などを兼務。