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[オタク社長の世界映像紀行]Vol.48 PHOTONEXT 2015に見る、動画とスチルの一体化

2015-06-26 掲載

今年も、6/2~6/3にかけて有明、東京ビッグサイトにおいてフォトグラファーズ&フォトビジネスフェアPHOTONEXT 2015が開催された。今回は、その会場から映像に関わる話をピックアップして行きたい。

動画が定着したPHOTONEXT 2015

OTAKU_vol48_01 PHOTONEXT 2015は、ブライダルを中心としたスチル写真のイベントだ

PHOTONEXTはスチル中心、それもいわゆるブライダル系のスチル写真中心のイベントだ。一見、私や読者諸賢が専門とする映像の世界とは関係がないように思えるところも多いだろう。しかし実際には、両者は密接な関係にある。既にブライダルには動画撮影は欠かせなくなっており、また、4K動画の普及によって、動画切り出しによるスチル画像制作という逆パターンも広まりつつあるのだ。

米国でも、RED Digital Cinemaが大判新型センサーで狙っている新しいジャンルは、ファッション業界やイベント撮影などの中判スチルカメラからの置き換え需要だという。映像のカメラを毎秒24枚(あるいはもっと多くの)静止画撮影の連続だと捉えれば、確かにそうした考え方も理解出来る。もちろんシャッタースピードやライティング方法など、両者を隔てる壁の存在はあるのだが、こうした機材や手法のミックスアップは大いに未来を感じるではないか。

■Canon
OTAKU_vol48_02

さて、そんなわけで、今年のPHOTONEXTにおいても、動画系の展示は充実していた。ただ、動画系の単独コーナーを大きく前に作ったブースはCanonブースなど少数で、全体には、去年までのような動画を新機軸として前面に押し出したブース構成では無くなってきていたのも特徴だ。これは、動画が業務から消えたわけではなく、動画が当たり前になって、ブースの中に普通に入り込んできた、という形だ。

OTAKU_vol48_03 CanonブースはCINEMA EOS SYSTEMを通路側に広く取り、ブライダルでのシネマシステム活用を強くアピールしていた
■RICOH
OTAKU_vol48_04

カメラメーカーの動画参入という点で注目なのが、RICOHのPENTAXブースだ。スチルカメラマンあこがれの中判カメラ、その携帯機として注目されたPENTAX 645Zが、フルHD60i動画と、4Kインターバル動画(いわゆるタイムラプス)をひっさげて登場したのは去年のこと。その後、順調にバージョンアップを重ねた同カメラは、この一年間の動画撮影実績を誇れるまでになったのだ。特に、4Kインターバル動画は、そのセンサーサイズが織りなす質感とボケの美しさで、タイムラプスブームに乗り多くの環境映像やPVなどで活躍しているという。

OTAKU_vol48_05 RICOHブースはPENTAX 645Zがメインの展示。フルHDのみならず、4Kインターバル動画機能を搭載した同カメラは映像分野でも使われている
■ATOMOS
OTAKU_vol48_06

スチルカメラでの動画と言えば欠かせないのが収録機だ。収録機分野でスタンダードを取りつつあるのがATOMOS社の製品群で、中でも、4K収録の可能なSHOGUNは最新ファームではついにニコンカメラにも対応し、その性能を大いに見せつけていた。ニコンカメラはブライダルを初めとしたスチルカメラマンの人気が根強いため、SHOGUNがニコンカメラに対応したことはスチル動画の世界では大変大きな事件として受け止められている。

また、SHOGUNはDCI4K対応も予定されており、AJA CIONの外部4K収録にも対応したことで、対抗のBlackmagic Design社のシネマカメラ群と正面から激突し、ローバジェット映画などの分野でもATOMOS社製の収録機も今後も大きく利用されて行くことと思われる。

OTAKU_vol48_07 ATOMOSブースはSHOGUN一色。動画専門の同社の機材がこうして人気ブースとなっていること自体が、スチルでの動画撮影が当然のものになった事を示している

動画を支える補助機材も充実

メイン機材だけでなく、実際に活用出来る補助機材の充実も現場のプロが多く集まるこのPHOTONEXTの特徴だ。

■ケンコー・トキナー
OTAKU_vol48_08

ケンコー・トキナーブースでは、親水コートフィルターが大いに注目を集めていた。雨天撮影は映像をやっていれば誰もが経験することだが、水滴がレンズに付くと撮影中にそれを拭き取ることも出来ず、難儀する場面が多かった。スチルならば撮影の合間にこまめに拭き取ることも出来るが、動画ではそれも難しい。

OTAKU_vol48_09 ケンコー・トキナーブースでは、LEDライトや機材の展示の他、親水フィルターの展示が行われていた

そこで活躍するのが親水コートフィルターだ。撥水では水が玉になって目立ってしまうところを、親水で薄く引き延ばして画質に影響がないようにする、という仕組みである。しかも、このコートは、紫外線で復活することが出来、親水加工が弱くなり次第、ネイルケア用の紫外線照射器などに入れることで、親水コートを復活させることが出来るという。フィルター形状も、通常のスチル用のレンズ先装着の丸形フィルターだけでなく、映像定番の角形フィルターも用意されていて、非常に使い勝手が良い。今後の屋外撮影では必須の一枚となりそうである。

OTAKU_vol48_10 トキナーの新型親水フィルターは親水加工が弱くなっても紫外線照射で機能を復活出来る。このあたりのケアまで考えられているのが実にプロ向けだ

参考出品も盛りだくさん

PHOTONEXTでは、実はよくよく見ると、参考出品されている新製品も見かけることが出来る。

■興和光学
OTAKU_vol48_11 興和工学ブースでは、PROMINARレンズのシネマモディファイが参考展示されていた

例えば、興和光学のブースでは、ついにギア付きで映像向けにモディファイされた同社製マイクロフォーサーズレンズ、PRIMINARシリーズが実機展示されていた。

昨年のCineGearで復活を遂げたPROMINARレンズは、まずはスチル用として8.5mm F2.8、12mm F1.8、25mm F1.8が販売され、その美しい色味と優れた光学性能で、多くのファンの心を掴んだ。そして、満を持してついにこのPHOTONEXT 2015で、ムービー対応のシネモディファイ実機の参考展示が行われた、というわけだ。

その光学系はスチル用と全く同一ではあるがギアが巻き付けでは無く、初めから組み込まれている安心感は大きい。もちろんギアが付いていたからと言ってスチル撮影の邪魔になるわけでもないので、是非とも実売にこぎ着けて欲しいところだ。なお同ブースには、同ギアに合わせたMUKカメラサービス社のデジタル電動フォローフォーカスも参考展示されており、大いに注目を集めていた。軽量なマイクロフォーサーズマウントカメラとPROMINARレンズの組み合わせではドローン撮影なども比較的軽量に行うことが出来るため、多くの場面での活躍が期待出来るだろう。

OTAKU_vol48_12 電動フォローフォーカスとの組み合わせはスムーズで、活躍が期待出来る
■Libec
OTAKU_vol48_13 Libecブース、一見何気ない新製品展示だが…

また、Libecのブースでは、ALLEXからALXに型番変更したスライダシステム製品群の中に、この展示会時点では未発表だった新型ヘッドの姿を見かけることも出来た。

この時はまだ参考出品であったが、RS25Dの型番が付けられた雲台は、閉会後6月5日に正式発表されたものと同じもののようにも思われる。シンプルなスチル動画を意識したALXのヘッドでは少々力不足の場面も多いが、このRS25Dを使うことでより多くの重量に耐えることが出来、どうしても周辺機器が増える現状のプロユースのスチル動画撮影やミドルレンジまでの動画撮影においても、大いにALXシリーズのスライダや三脚を活用することが出来るようになるだろう。また、プロに定評のあるRSシリーズの雲台がALXシリーズに組み込めると言うことは、ローバジェットメインだったALXの活躍の場がもう少し上の方まで広げられる、ということを意味している。色々な意味で発展性が考えられる組み合わせだと言えるだろう。

OTAKU_vol48_14 よく見るとヘッドが見慣れない新型「RS25D」だ。こうした大物参考出品があるから、展示会めぐりは大切なのだ

総括

一通り軽くご紹介をしてきたが、このように、実はかなり動画に特化した展示物が自然に入り込んでいたのが、今回のPHOTONEXT 2015の特徴だったと言える。

もう、従来のようにわざわざ”スチルカメラでも動画が撮れます、だから動画撮影をやりましょう!”なんてアピールする必要も無く、既にごく自然にスチルカメラでの動画撮影は、仕事の一部としてフォトグラファー達に浸透していることがうかがえる。となれば、次なる一手は、動画でのスチル技術の応用となるだろう。このあたりについての現状は、別の展示会などでご紹介出来れば、と思う。


WRITER PROFILE

手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2015-06-26 ]
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