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[オタク社長の世界映像紀行]Vol.50 オタク的視点から見るCP+2017

2017-02-28 掲載

txt:手塚一佳 構成:編集部

今年も熱気がすごかった会場より

CP+はスチル写真のイベントだが、スチルと動画が一体化した今、動画人にとっても重要なイベントとなっている

今年もCP+2017がパシフィコ横浜にて開催された。CP+はスチル向けのイベントではあるが、動画機能のないスチル機が少数派となり、スチルと動画機の融和しつつある現在、我々動画人にとってもとても重要なイベントになっている。様々な新製品が登場した同イベントだが、とりあえずそうした華やかな速報や詳細は他の人に譲るとして、今回は自分なりのオタク視点でのCP+2017をお伝えできればと思う。

パナソニックブース

パナソニックブースは様々な新作カメラで盛り上がっていた。動画機能を先導する「勝ち組」だ

パナソニックのブースでは、様々な新作カメラが紹介されていた。しかし動画人としての注目は、もちろんこのLUMIX DC-GH5を置いて他にないだろう。

GH5は発売当初、スチル機能が強化され4Kでフルセンサー読み出しが出来るGH4的な性能で発売される。しかし、GH5は後々のファームアップで一気に高性能化され、4:2:2の内部10bit Log収録や、6Kアナモ録画などのとんでもない高機能の搭載が約束されている。これは別に出し惜しみというわけでも未完成というわけでもなく(新興メーカーと事なり、天下のパナソニックともなれば、未完成な機能でここまで明確な確約は出来ない)、すでにこうした機能は内部的には完成しているのだが、市販のSDカード性能側が追いついていないため、後からファームアップをするという事情があるようだ。これらの新機能は夏の新SDカード(UHS-II U3 V90)の発売を待っての機能追加となる見込みだ。

今回の目玉GH5。これだけを目当てに会場に足を運んだ人も多い

4Kフルセンサーでの4:2:2 Log収録や6Kアナモ録画となれば、現行の大抵の他社シネマ専用機の性能を越えてしまう。しかも、民生機特有の手ぶれ防止機能が強力で、5軸制御による手ぶれ防止を備えている。会場でこの機能を使うとほぼ手ぶれ無しに収録が可能で、この高性能であればほとんどの撮影においてジンバルすら要らなくなるだろう。背面液晶やVFも強化され、4Kでも何とかフォーカスが見えるレベルのものになっている。GH5ではほとんどのスチル動画で必須だったフォーカス合わせのための外部VFは必要ないだろう。もちろん日本市場向けのGH5には録画時間制限もないことが予想され、もはやこれはプロ向けのシネマ機そのものだ。発売と、そして何よりもファームアップが楽しみでならない。

富士フイルムブース

富士フイルムブース

富士フイルムブースでは、UFHD動画撮影可能な新型スチルカメラX-Pro2や、中判ミラーレスカメラGFX 50Sの展示が盛んに行われていたが、その片隅に驚くべき製品のモックアップ展示があった。それが、MKレンズシリーズで、同社製XマウントとSony Eマウント向けの「FUJINON MK18-55mm T2.9」と「FUJINON MK50-135mm T2.9」の二本がラインナップされていた。

MKシリーズはS35mmサイズ対応で、フルサイズセンサー対応では無く、ズーム倍率も3倍程度とシネマレンズにしてはかなり控えめではあるものの、FUJINONシネレンズの技術を使った本物のシネマレンズが何と42万円で手に入るとあって、大きな注目を集めていた。この価格でシネマズームレンズが出るというのは価格破壊と言って良い。

新型シネマレンズ群。残念ながら真ん中の一本を除き、モックアップであり実機実働展示はなかった

ただしこのレンズ、展示はモックアップであり、実機はこのPRONEWS誌とも縁の深いSYSTEM5社、PROGEAR半蔵門にて実機展示される事となっていた。これもスチルとプロ動画の分離という今回のCP+の方針を顕著に表す事象だが、出来れば会場でも実機を見て見たかった気もする。もちろんそうしたプロ映像機材をスチル目当ての一般客に行列作ってもらって触らせると言うのはCP+の趣旨とは明らかに違うと思うので、そこはPROGEAR半蔵門で、というのは全く正しいとは思うのだが。

KIPONブース

KIPONブースは無数の変換アダプタで溢れていた

今回の隠れた主役がKIPONだ。筆者は実はこのブースのために今回CP+に参加したと言っても過言ではない。KIPONの合弁会社である各社マウント(何とLeica SLマウントを含む!)対応のHandeVisionレンズだけでなく、1月に既に発表発売済みのLeica SL向けアダプター群のうち、マクロ機能付きのものが実質日本初展示されたのだ。

筆者のお目当てはLeica SL向けの変換アダプタだ。Leicaオフィシャルでは出せないようなヘリコイド付きのマクロ対応変換アダプタなどはKIPONでしか買えない

9種類のLeica SL向けアダプタが展示されていたが、中でも注目なのは、Leica Mマウントからのマクロ付き変換と、Leica Rマウントからのマクロ付き変換アダプタであろう。これらのマクロ付き変換アダプタは他社に例がない上、最低焦点距離が長いレンズばかりだからだ(個人的にはLeica純正よりも格段に安いPL/SL変換アダプタも気になったが、Leica純正と違い、これを使うとF予想値が画像に記録されない特徴はある)。

Leica SLは別記事でも紹介したとおり急速にムービー用として認知されつつあるカメラであり、それに特化したマウントでのレンズ資産運用は急務であった。中でもオールドレンズで弱い近接マクロを補う機能を搭載したヘリコイド付きの変換マウントアダプタは必要性が高く、その発売はユーザーから心待ちにされていたのだ。筆者も実際にLeica Mマウントからのマクロ対応変換アダプタを使わせてもらったが、スチルでもムービーでも自在にマクロ撮影が可能であり、またヘリコイドを手でひねって戻すだけで普通のレンズとしても使う事ができ、大変に優れた使い心地であった。

実際にM/SLマクロ対応変換アダプタを使ってみた。軽くレンズごとひねると前進してマクロモードに変わる。逆にひねれば通常の変換アダプタだ。軽く、大変便利だ

ちなみにKIPON社としてもLeica SLのムービー機としての重要性には気がついており、近々HendeVisionレンズもシネマ対応レンズとしての開発を予定しているという。ただし、値段は一般的なシネマレンズと同じ100万円前後になるようだ。こちらにも期待したい。

フォクトレンダーブース

コシナ社が中心となるフォクトレンダーブースはZEISSブースと同時展開だ

コシナ社が中心に展示するフォクトレンダーブースでは、様々な超高性能互換レンズ群の中に、参考展示としてSony Eマウント向けのとんでもないレンズが実機展示されていた。それがMACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical E-mountであり、ついにフォクトレンダーブランド最高峰のAPO-LANTHARシリーズが復活することになる。

ついにAPO-LANTHARシリーズが復活!

そのほかにもNOKTON 40mm F1.2 Aspherical E-mountや、NOKTON classic 35mm F1.4 E-mountが参考展示されており、Sony Eマウントの盛り上がりが伝わる商品展示となっていた。富士フイルムブースのシネマレンズと併せると、プロ向けスチル機動画の現状の覇者はEマウント製品群だと言うことが出来るだろう。とはいえPanasonic GH5やオリンパスOM-D E-M1 Mark IIでのマイクロフォーサーズ陣営の盛り返しも確実視される。スチル機マウントの動画は、今や黄金期を迎えつつあると言うことが出来る。とにかく近未来のスチル動画の素晴らしさを感じるブースであった。

Sonyブース

Sonyブースも明らかな「勝ち組」で、非常な人出であった

Sonyブースではαシリーズのカメラが花盛りであったが、筆者的にはシネマレンズに注目したい。Eマウントは2017年のスチル系シネマカメラの覇者として、様々なシネマレンズを持つマウントとなった。その代表格が先述の富士フイルムブースのMXシネレンズシリーズであり、フォクトレンダーやZEISSのEマウント対応であり、そしてSony自身が作り上げた電動GレンズシリーズE PZ 18-110mm F4 G OSSだ。そしてもちろんメジャーメーカーもEマウント対応で続く予定である。

しかしその正面はシネマレンズ群で占められていた。如何に映像とスチルカメラが不可分であるかがわかる

同社ブース正面にはこうしたプロ向けのシネマ機が堂々と展示され、その中には何と、シネマレンズ界のメジャー中のメジャー、Angenieuxの新型シネマレンズAngenieux type EZ-2の姿もあった。これはつまり同レンズが発売当初からEマウントも併売するという事で、多くの来場者の注目を集めていた。業務用ビデオカメラだけではなく、CP+の本題であるスチルカメラにもこれらのレンズは装着されていた。中でもα7シリーズはミラーレスでありながらフルサイズセンサーで4Kまで撮影可能なため、多くの現場で使われているのだ。

そもそも今や、Sony製だけでなく各社の業務用動画カメラのセンサーの9割以上がSony製センサーを利用している。そうしたセンサーメーカーとしての強さが、こうしたシネマカメラとしての強さにも直結しているといって良いだろう。

SDアソシエーションブース

普段は地味な存在のSDアソシエーションブースだが

普段の展示会では枯れ木も山の、と言う感じのSDカード公式ブース。こちらのブースは皆さん見られただろうか?実は今回CP+の目玉の一つがこのブースだったのだ。ついにUHS-III規格の誕生がSDカード公式ブースで告げられていたのだ!

新規格のUHS-IIIはコネクタアサインこそUHS-IIと同じものだが、それに高速クロックによる通信機能が搭載され、なんと624MB/secまでの超高速転送を可能にする。この速度はCFastなどの最新データカードと並ぶ速度で、4Kどころか6K以上の収録にも充分なものであり、SDカードによる収録が今後も主流として続いてゆく事を予感させる規格となっている。

何と今回は目玉規格が複数紹介されていた!そのうちの一つ、UHS-IIIの説明がこれだ

また、それだけでは無く旧来のUHS-Iカードでも、Panasonicがついに90MB/secを最低保障するV90タイプのカードをリリースすることが告知されており、PanasonicブースのGH5関連の告知と組み合わせて見学すると、GH5の夏のファームアップの理由が分かる仕組みとなっていたのも興味深い。V90であれば4Kよりも少し上までは余裕で収録できるため、GH5のファームアップ後の売りの一つである6Kアナモ収録や4:2:2 10bit収録にはこのカードは欠かせないものと言えるだろう。

もちろんこれらの新規格はすべて過去のカードスロットに下位互換するため、とりあえずハイエンドカードを買って収録しておけば、従来の機械でとりあえず読み出すことだけは出来るのが素晴らしい。映像の高精細化に伴い様々なデータカードが誕生したが、結局は使い慣れたSDカードが使えるのが一番である事には間違いがない。SDアソシエーションブースは、今回のCP+で確実な未来が見えるブースの一つであった。

ケンコー・トキナーブース

ケンコー・トキナーブースは広大なブースに所狭しと機器が並ぶ

日本が誇るカメラ周辺機器の巨大メーカーケンコー・トキナー。今回の「ワールドプレミア」というセカンドテーマに最も貢献したのがこのケンコー・トキナーブースだろう。展示数60点以上のうち、なんと半数以上がワールドプレミア、世界初展示というのだから驚かされるその中でも、今回は目立つ製品をいくつかご紹介して行きたい。

SAMYANGのXPシリーズの新しいレンズだ

まずは、低バジェット映画定番のシネマレンズ、SAMYANGレンズに新しいレンズが2本加わるという話。SAMYANG XPとして、85mm F1.2と14mm F2.4の2本が新規リリースされる。これのシネレンズも期待できるため楽しみだ。

8mmフィルムスキャナーはアナログをデジタルに直結させる重要な機器と言える

次に、8mmフィルムスキャナー。こちらは既報ではあるが実機の小ささに驚いた人もいるのではないだろうか?少し前から映像をやっていれば、自宅に大量の8mmフィルムが眠って居ることと思う。それをデジタル化してしまおう、というのがこの装置だ。ある種必須の装置では無かろうか?

ENEROIDは発売したら大ブレイクの予感がある。これを買えば安心して眠れると思うと本気で欲しい

またその隣には、電池の自動充電装置「ENEROID」が展示してあった。これの優れたところは、電池の極性を無視して放り込んでおくだけで後は勝手に充電してくれるところ。通常のアルカリ電池などは充電せずに排除してくれる機能が付いているから本当に便利だ。実際、ロケ後のホテルではただひたすらに充電に時間が取られることが多い。眠い目を擦りながら充電をするよりは、こうした装置で一気に充電を済ませたいものだ。

ISは大変に重宝しそうなカメラバックだ。フレーム形状が面白い

変わったところではカメラバック「IS」の展示もあった。この名前は「いす」と読む。そう。何と座れるカメラバッグなのである!残念ながらフレーム形状の都合で立つことは出来ないため、箱馬としては使えないそうだが、それでも座れるだけで撮影の幅はぐっと広がる。何よりも休憩時の疲れの取れ方も違ってくる。是非とも欲しい撮影グッズだ。

ソフトフィルターの使い方講座。なんと、フィルターの着装順から教えてくれていた。こういう地に足が付いた活動は大切だ

ケンコー・トキナーブースのご紹介の最後に流石はケンコー・トキナーと言うシーンをお見せしたい。それは、ブース内にセミナーコーナーがあって、そこでは初心者レベルからの道具の使い方を説明していたことである。どうしてもCP+のセミナーは派手なハイエンドセミナーになり勝ちで、地に足の付いたセミナーは小数である。そんな中、フィルターを付ける順番から教えるこのセミナーは、学生以来久々に写真に戻ってきたリタイヤ組などにばか受けで、常に人が絶えなかった。こういう活動こそメーカーにしかできないことだと思うので是非今後とも続けて欲しいところである。

KPIブース

KPIブースはプロフェッショナル製品専門のブースだ

ケンコー系ながら、ついにケンコーブースから独立したKPIブース。今回は、プロ向けと言うことでアルカスイス雲台を初めとして様々な製品を展示していた。でも目立ったのは、新型レンズであり、その中でもMeyer-Optikのレンズ新規取り扱いのお知らせは、非常にこの先が期待できるものだ。同社レンズはクラシカルな仕組みのため、絞りにクリックがない。そのため映像用途にも転用が簡単で、わざわざ海外通販で輸入している人も多い。それがKPIを通じて日本国内サポート付きで買えるのは本当にありがたいことだ。

Meyer-Optikのレンズ群をKPIが取り扱うというのはビッグニュースだろう。こうした高級レンズはメンテが必要なものだからだ

また、親水性フィルターもバージョンアップして、ネイル向け紫外線装置でのメンテナンスが要らなくなって再登場していた。角形フィルターからリリースの予定と言うことで、これも動画用途にまず使われてゆくことだろう。

KOWAブース

PROMINARでおなじみのKOWAブース

PROMINARレンズでおなじみのKOWAからは、従来のPROMINARレンズに新レンズが参考出品されていた。PROMINAR 90mmマクロレンズで、これによって近接撮影を可能にするものだ。PROMINARレンズはどうしても光学解像度に欠けるマイクロフォーサーズマウントでは必要不可欠なレンズであり、中でも、GH5でついにフルサイズ4K撮影が可能となる以上、ちゃんとした光学解像度でないと言い訳ができなくなってくる側面がある。

GH4までのセンサー切り出しではセンサー面積が小さすぎ、物理的に光学解像度がセンサー感度に達することが不可能だったので甘く見られていたところがあるが、GH5になれば、光学解像度が210本/mmあれば対角線解像度でセンサー感度に達することになり、これは物理的に実現が不可能ではない数字だ。もちろん、光学解像度が周辺でも200本/mm超えというのは数千万円のレンズでないと現状では不可能であり、現行のPROMINARレンズでも周辺部は当然そこまでは達していない。しかしGH5ではこうした高級レンズを使う事は画質に直結することになり、レンズの必要性がいや増してくる事が予想されるのだ。GH5の収録の圧縮率を考えても周辺で80~100本/mm、将来的には100本/mm越えの光学解像度線数は欲しいところなのだ。マイクロフォーサーズメーカーのカメラ付属標準レンズの光学解像度は60本/mm程度といわれているので、当然これでは圧倒的に足りなくなってくることが予想される。

ついに出たマクロレンズ。90mmという望遠で、マクロ。必要なレンズだ

マイクロフォーサーズにレンズなんて、という声もきくが、センサー光量の少ないマイクロフォーサーズだからこそ良いレンズを付けたい。そういう場面でこのPROMINAR 90mmマクロレンズは活躍することだろう。しかしそれにしても、PROMINARレンズはリリースの遅さがもったいない。マイクロフォーサーズだけではなく、MマウントやPLマウントなどでフルサイズセンサー対応があればバカ売れするのではないだろうか。KOWAは製品としてフルサイズセンサーをカバーするレンズも作れる力のあるメーカーだ。是非とも今後に期待したいところである。

ハッセルブラッドブース

ハッセルブラッドがついにミラーレス中判をリリース

中判カメラの貴公子ハッセルブラッドのブースが大いに注目を集めていたのも今回のCP+2017の特徴の一つだ。ハッセルブラッドはX1Dと言う新型のミラーレス中判カメラをひっさげて現れたが、何とこれが軽快で、首から提げて軽く屋外に持ち出せるサイズと重量なのだ。しかも、フルHDだが美麗な映像の収録も可能と来ている。今まで中判カメラを首から提げたらほぼ確実に首を怪我する事態になっていたのとは大きく時代が変わったと言って良いだろう。

これがX1D-50C。ミラーレス化によって携帯を可能にした中判カメラだ。その画質は美麗そのもの

とはいえ、8bit,4:2:0,H.264圧縮で毎秒25枚限定の録画(しかも当然30分制限付き)というのは映像的にはもう一声欲しいシステムではあるが、中判にしては値段も熟れてきていて、このX1D-50CはLeica SL標準ズームセットとほとんど変わらない価格でシステムをスタートできる。中判特有の美麗な写真がそのまま動くというのは、これはかなり魅力的だ。もちろん音声端子も付いているのでマイクも付けられる。

ただ問題はまだまだシステムが発展途上な点で、現実的にはメーカー標準の30mm、45mm、90mmのレンズを使うと思った方がいい。しかも中判なので、それぞれフルサイズLeica判換算で24mm、34mm、71mm相当という必要最低限のレンズセットだ。もちろん、中判のためフルサイズ以下のレンズは一切使えない。当然シネマレンズもほぼ使えない。とはいえ、実は近々ズームレンズもついに登場するとのことなので、全く動画撮影に使えないということはないだろう。いずれにしても、その撮れる絵は既存の中判以下のカメラの枠を飛び越えている。是非とも一目見て欲しいカメラだ。これで4K対応などをしたら、本当にとんでもないことになるだろう。

銀一ブース

銀一のブースではセミナーが開かれていた。ATOMOSシリーズのセミナーがやはり人気だ

銀一のブースでは、ATOMOSのモニタ収録機シリーズが様々なカメラと共にセットアップされ、気を吐いていた。もちろん我らがLeica SLもATOMOS SHOGUN INFERNOと共にセット展示され、その性能を見せつけていた。

ATOMOS製品群がずらりと並ぶ壮観な光景。今や外部収録機はスチル動画には欠かせない

ATOMOSのモニタ収録機は、どんどん高性能化することを売りにしており、最新のATOMOS SHOGUN INFERNOも、DCI 4K収録はもちろん、各社のLogにも随時対応しており、非常に高品質な映像を収録することが出来る。将来的には、例えばPanasonicのVARICAM LTなどのRAWも受けられるようにしたい、という話も聞こえて来た。そうなれば、VARICAM LTでVARICAM35に近い運用が出来る事になり、また一気に運用方法も変わってくるだろう。機材そのものを化けさせることが出来るのが、こうした外部収録機の最大の魅力だ。

プロ向け動画エリア

プロ動画コーナーは会議棟の彼方、しかも平日2日間だけの開催だった

さて、ここまで紹介してきて「あれ?毎年恒例のプロ向け動画コーナーはどうなったんだ?」と思われた方も多いだろう。もちろん「プロ向け動画コーナー」そのものは存在した。ただし、本会場から離れた別の建物に、木金の二日間だけというカタチでだ。プロ向け動画セミナーのおまけとして、セミナー室のすみに小さく作られるコーナーとなってしまったのだ。しかし、今時スチルカメラユーザーで動画に興味を持ってない人は少数派であるため(そもそもスマホで写真が撮れる今、スチルカメラをわざわざ買うのは写真以外に動画を撮る目的が非常に大きなウェイトを占める)、この遠く離れたコーナーに大勢の人が集まるという、一風変わった光景が誕生してしまった。

PanasonicコーナーではVARICAM LTに触ることが出来た

ちなみに展示内容は、どれも最新のもので非常に興味深かった。例えばPanasonicコーナーではVARICAM LTが実機展示されて実際に触ることが出来たし、またティアックのコーナーでは、TASCAMの小型マイクレコーダーDR-10SG等を展示して、注目を集めていた。DR-10SGはショットガンを搭載していて、さらに音をラインで流すこともそこに1KHz信号を出すことも出来るため同期も容易で、大変便利に使えるレコーダー付きマイクだ。

ティアックのコーナーではDR-10SGが魅力的であった

こうした扱いには動画がいじめられている?という見方ができないでもないが、結果的にはその逆に「動画機能がないとスチルカメラ市場は全く成り立たない」という事を強くアピールする事になったと思う。来年はどうか、もっと動画に優しいCP+であって欲しいと願うばかりだ。

今回のCP+はこのように、動画系のオタク視点で見ると、非常に得るものが大きかったイベントであったと言える。中でも、レンズ周りが大きく進化し、スチルカメラでも充分に商業動画まで撮ることができる環境は整ってきたと言って良いだろう。また、Leica SLやハッセルブラッドのようなハイエンドなカメラメーカーが本格的に日本市場に再進出し、さらには動画にまで乗り出してきたのは非常に大きな動きだと言える。

反面、スチルサイドからは頑固に動画を嫌う意見も表出してきて、それが妙な動きになってしまったかのような雰囲気も一部には見られたのは大変に残念なことだ。もちろん、スマホの発達でスチルカメラをスチル写真のためだけに購入する動機が薄れてきた昨今、そうしたメーカーは残念ながら消える運命にあるとは思うのではあるが……。

いずれにしても、スチルカメラと動画はもはや不可分なものとなっている。商業映画も撮れるスチルカメラという、ジム・ジャナードが唱えたデジタルスチルモーションカメラの理想は、もはや実現したと言って良いだろう。道具はもう手元に揃いつつある。手のひらのツールで大体の映像が撮れてしまう時代になったのだ。道具でプロが差別化できなくなってきた以上、この状況で問われるのは我々作り手の作家性であり、何を作るのかという強固な目的意識だ。今後はただ言われたものを撮ってタイムラインに並べるのではなく、そうした作り手の意識を鮮明にして日々の仕事に向かわねばならないだろう。そんな事を強く思う、CP+2017であった。


WRITER PROFILE

手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2017-02-28 ]
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