txt:小寺信良 構成:編集部

モバイルでもデスクでも使える強力ノート

ビデオ制作の現場も、最終納品がHDでも収録は4Kで行う事例が増えてきている。すでに最新のカメラはほぼ4K対応だし、いざという時にトリミングできる解像度で撮影しておくのはメリットが大きい。したがって編集においても、プロジェクト設定はHDだが4K素材を編集していくというワークフローは十分あり得るパターンだ。

その一方で、4K素材のネイティブ編集に耐えられるハイエンドノートPCが、なかなか探しづらくなった。MacにはMacBook Proがあるが、Windowsマシンにはなかなか決定打がない。グラフィックスに強いとなるとゲーミングPCになってしまうため、ビジネスで使うには不安が残る。そもそも7色に光るキーボードなど、編集ではいらんのだ。筆者も編集に使えるパワーのあるWindowsノートを永いこと探していたのだが、先日Lenovoから高いグラフィックス性能を誇りながらもスタイリッシュなデザインのThinkPad X1 Extremeをお借りする機会を得た。

ご承知のようにThinkPadは艶消しブラックが特徴のシリーズで、ビジネスシーンで好まれるマシンだが、X1 Extremeはそのイメージを壊さず、GPUに「GeForce GTX 1050 Ti」を内蔵した15.6型ノートとなっている。ビジネス向けの中でも、グラフィックス用途に特化した位置づけのマシンだ。

スタイリッシュながらハイエンド、ThinkPad X1 Extreme

X1のエンブレムはハイエンドの証

ディスプレイやメモリーなどはCTO可能だが、GPUとしてGeForce GTX 1050 Tiを搭載しているのは共通仕様である。今回お借りしたマシンは、ディスプレイが4K解像度でタッチパネルのモデルだ。Adobe RGBに対して100%、かつ10bitカラー表示対応となっている。そのほかスペックとしては、CPUがCore i7-8750H/2.20GHz、メモリー32GB、ストレージSSD512GB。直販サイトでは定価411,480円だが、クーポン適用で279,806円と、大幅に割り引きされている。このスペックで20万円台なら、かなり買いやすい価格だ。

キーボードのクオリティもThinkPad品質

各ポートの仕様もなかなか良くできている。左側にはUSB3.1 Type-C/Thunderbolt 3ポートが2つある。最大40Gbpsの高速ストレージ接続が可能なほか、4Kディスプレイポートとしても機能する。スマートフォンやGoProからの取り込みもスムーズだ。そのほかテレビモニター接続用として、HDMI端子もある。変換アダプタは必要だが、Ether端子も内蔵されている。右側にはSDカードスロットとUSB3.0端子が2つ。別売の拡張ドックもあるが、これだけ端子があればとりあえず本体だけで編集仕事はスタートできるだろう。

USB3.1 Type-C/Thunderbolt 3×2という仕様はノートでは珍しい

SDカードリーダやUSB3.0も装備

実際のパフォーマンス

では実際に4K素材でパフォーマンスを確認してみよう。今回はソニーFDR-X3000で撮影したXAVC Sの4K/60Mbpsのファイルでテストしてみる。

まずはAdobe Premiere Pro CC v13で試用してみた。およそ3分のコンテンツを作ってみたが、リアルタイム再生もコマ落ちすることなく、スムーズに再生できる。タスクマネージャでパフォーマンスを見てみたが、CPU 50%、CPU内蔵のIntel UHD Graphics 630 75%、GTX 1050 Ti 20%といった比率で処理している。3Dモーションを使ったトランジション部分だけは、プレビュー品質がフル画質ではリアルタイム再生できなかったが、1/2に落とすとリアルタイム再生できた。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/01/pov96_kodera_cap006.jpg Premiere Pro CCではなかなかの高パフォーマンス
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YouTube向けの1080/30Pプリセットでレンダリングしてみたところ、3分のコンテンツを2分25秒で出力した。もう少し負荷をかけるべく、全カットにLUTを当てて再出力してみたが、2分48秒で出力できた。ノートPCでこの速度は、十分なスピードだろう。

続いてEDIUS Pro 9.3でも同様の編集をしてみた。リアルタイム再生はそのままではコマ落ちするが、Shiftキーを押しながらのバッファプレビューでは問題なく再生できる。こういうときにメモリー容量が潤沢なマシンだと有利である。バッファプレビューでのパフォーマンスは、Intel UHD Graphics 630 100% GPU1 80% GTX 1050 Ti 32%という比率だった。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2019/01/pov96_kodera_cap004.jpg EDIUS Pro 9.3ではCPUのパフォーマンスが支配的
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ほぼ同様の設定で、カラーグレーディングなしでレンダリングしてみたところ、4分16秒で出力できた。加えて同様に全カットにプライマリーカラーコレクションをかけてレンダリングしたところ、4分25秒であった。プライマリーカラーコレクションおよびLUTの適用はGPU処理となるので、出力時間はほぼ変わらない結果だ。このあたりはさすがデュアルGPUの威力である。

今回は簡単な編集とカラーグレーディング程度だったので、本機のリソースをフルで回すほどの負荷にはならなかったが、それでもGPUに負荷分散するPremiereのほうがレスポンスのよい編集が可能ということは言えそうだ。EDIUSユーザーはGPUよりも、CPUスペックを上げた方が効果が高いだろう。

今回はCES2019取材の動画編集用としてラスベガスに持ち込んで作業しているわけだが、電源周りの仕様が助かった。付属ACアダプタで、1時間で約80%を充電できる。CPU/GPUをぶん回す編集作業ではバッテリーの消耗が予想外に激しいが、休憩や食事中にパッと充電できるのは有り難い。

編集向けにI/Oポートが充実し、4K解像度ディスプレイも選択可、さらにモノとしてカッコイイThinkPad X1 Extremeは、最近希に見る動画編集仕事向けWindowsノートと言えそうだ。

WRITER PROFILE

小寺信良

18年間テレビ番組制作者を務めたのち、文筆家として独立。映像機器なら家電から放送機器まで、幅広い執筆・評論活動を行う。