[コロラド紀行]Vol.28 コロラド経済開発使節団が日本と中国を訪問
2008-11-30 掲載
デンバー市はその発足が1858年11月22日となっており、それ以来150年が経過しました。 当時はコロラドのいわゆるゴールドラッシュの時代で、現在のデンバー市のダウンタウンのSouth Platte川とCherry Creek川との合流地点で比較的大きな金塊が見つかった事からアメリカ東部より大勢の人達が金を求めてロッキー山脈中へ分け入った時に、デンバーの人口が急上昇して都市の形態を成し当時の西部アメリカの前線基地として重要な地点となっています。
現在コロラドの地方新聞としてはRocky Mountain News紙とDenver Postの2紙が有りますが、コロラドでの最初の新聞は1859年に創刊されたRocky Mountain News紙で、同紙ではこのデンバー市の成立150年を記念して今年の11月21日号で特別32ページの「Denver@150」としての特集号を発行しており、当時の市長を始めデンバー地区でのいろいろな発展に寄与した人達150名を選んでその業績を紹介しています。
また、併せて毎日の新聞の最終ページの天気予報欄の一部に紙面の半分を割いて当時のRocky Mountain News新聞の紙面の記事のコピーを載せてその解説を記事で連載しています。
デンバー市ではこの150周年記念行事として何か祝祭日らしい行事を準備しているのかと思いましたが、特別何も行わず、先の一大行事であった民主党全国大会の開催で疲れきってしまったのかと思わされる感じです。
Rocky Mountain News紙の「Denver@150」の特別号の最終ページには食料品や野菜/果物といった生鮮食品の供給を中心としているコロラド内だけでの一大チェーンスーパーマーケットのKingSoopers店が広告を載せており、「我々は1947年に創業以来60年以上コロラドのコミュニテイの生活の一部として務めて来た事を誇りに思っています。」といった見出しの広告となっています。
このKingSoopers店は数年前に亡くなったKingさんがデンバーの北のArvadaの町にその一号店を開店して以来コロラド州内にのみその店舗数を拡大して現在では総勢18000名の従業員を抱えるコロラドの毎日の市民生活に直結した一大企業となっています。
コロラド経済開発使節団が日本と中国を訪問
コロラド州知事のBill Ritter氏を団長とするコロラド経済界の責任者達総勢約40名からなる経済開発使節団が日本及び中国を訪問しています。 11月15日(土)にデンバー空港を発って11月25日(火)に戻って来ると言うスケジュールですが、その間東京で3日間、山形へ1日、そして北京で2日間、上海で2日間という日程で滞在して日本及び中国との経済関係の強化発展のビジネス討議をそれぞれの国のメンバー達と行います。
今回の使節団の目玉は近年頻繁に行って来たコロラドから両国への経済討議の締めくくりを行おうとするもので、特に下記の項目での成果を上げる事が重要な目的となっています。
- デンバー/東京間の直行航空便の開設をANA(全日空)と最終の詰めを行なう。
- 風力発電や太陽光発電等のいわゆるRenewable Energy開発センターとしてのコロラドでの強化推進方針をPRし日本企業の参画をうながす。
- バイオ科学の事業化の研究開発センターとしてのコロラドでの活動実績をPRし日本企業の参画をうながす。
- コロラドの観光やスキー事業のPRを行い、両国からのツアー客誘致を各観光旅行ビジネス企業に訴える。
といったBill Ritter知事がその主要方針として推進しているコロラド行政のPRを両国へ訴え、コロラドへの両国の関連企業のビジネス進出をうながす事にしています。
現在コロラドからの輸出金額では2年前より中国が第3位で日本が第4位となっていますので、そうした面からもビジネス協調を強化する意味で今回の両国への訪問は重要と言えます。
また、デンバー/東京間の直行航空便の開設はデンバー国際空港がオープンして以来の12年越しの悲願でもあり、ユナイテット航空とANA(全日空)の両社へは過去何回となくアプローチして来ましたが、現在ユナイテット航空は会社更生法から復帰したばかりであり、アメリカの経済環境の悪化から運行便数を削減して来ている時期でもあるので、ユナイテット航空とスターアライアンス提携運行を行っているANAに働きかけ、ユナイテット航空のハブ空港としているデンバーから全米各都市への接続便の利用が出来るメリットを活かす事を訴えて来ています。また、今回コロラド州立大学では同大学の「Center for Environmental Medicine」を構築する日本との合意書にサインする事となっています。
世界的に経済不調の折でもありますので、今回の使節団がどのような成果を挙げられるか心配な面もありますが、こうした時にこそこの様な積極活動が重要との判断をコロラド州当局では行っています。
この使節団に参加しているメンバーとしては下記の様な各組織の責任者達となっており、過去最大のデレゲーシヨン派遣となっています。
- Colorado office of Economic Development(コロラド経済開発局)
- Denver International Airport(デンバー国際空港当局)
- Denver Metro Chamber of Commerce(デンバー商工会議所)
- Denver Metro Economic Development Corp.
- National Renewable Energy Laboratories
- Governor's Energy Office(州知事のエネルギー政策推進室)
- Colorado State University(コロラド州立大学)
- Colorado School of Mines(コロラド鉱山大学)
- Aurora Economic Development Council
- South Metro Chamber
- Northern Colorado Economic Development Corp.
- Cap Logistics
- Executive Forum
- Opus Northwest
- Health One Presbyterian / St. Luke's Medical Center
- Saunders Construction
- Jeppesen
- Inviragen
- Hogan & Hartson
- Rothgerber Johnson & Lyons
- Shan Atira Asian Ventures
ユナイテット航空がデンバー/ロンドン間の直行便を再開
デンバー空港をハブとしているユナイテット航空は今年の3月からデンバーと英国のロンドン間の直行便の運行を一日一往復運行して来ましたが、ジェット燃料の価格高騰及びアメリカ経済の不調から同社の全てのルートについての見直しを行い占席率の低い便から運航中止を実施して来ています。デンバー/ロンドン間の直行便も営業成績不調との理由から運行を取りやめています。
その後最近になって航空燃料の価格が急激に下がって来た事を受けて一旦運行を中止していた便に付いて需要の多い春及び夏の期間について来年から再開することにすると発表しています。そして、来年の10月迄便の運行を継続して、その運行成績を評価して2010年も再び運行するかどうかを決める事にしています。
ちょうどデンバー市と空港の責任者達が日本と中国への経済開発使節団に加わって出張しており、デンバーと東京間の直行便の開設についての働きかけをANAに対して行っているところなので、デンバーから他の国への直行便が有効であることを証明している例として「この知らせは大変Good Newsだ!」としています。
ルフトハンザ航空がデンバー/ミュンヘン間の直行便を中止
ドイツのルフトハンザ航空では以前よりデンバー/フランクフルト間とデンバー/ミュンヘン間のそれぞれの直行便を毎日運行していますが、今回ジェット燃料の高騰および利用客が期待していた様に集まらない、との理由から当分の間デンバー/ミュンヘン間の運行を取りやめると発表しています。
ルフトハンザ航空のデンバー/ミュンヘン間は、2007年3月から毎日運行して来ていますが、その運行開始に当たって、 直行便としては開設以来好成績を挙げているデンバー/フランクフルト直行便の成功例を見て、デンバー市当局の10年以上の誘致活動と総額200万ドルに相当するインセンテイブ基金の提供などが有って実現していますが、デンバー市当局では、この直行便によるデンバー地区への経済効果は年間1億800万ドルに相当するとしています。ルフトハンザ航空では、特に便の利用客が減少する秋から冬の期間に付いての運行が難しいが、現在のところ何時また再開するかは不明であるとしています。
サンクスギビングデイの旅行客の予測
11月27日(木)のThanksgiving Dayの祝日の前後はアメリカ内での故郷訪問や親しい知人友人宅を訪問する人達でその移動が最も活発な時期の一つですが、AAA (American Automobile Association) では今年のこの時期の旅行者の状況についての調査結果による予測を発表しています。
それによりますと、約4100万人のアメリカ人達がこの時期に旅行を計画しており、それは全人口の約13.5%に相当するとしています。
そして、昨年2007年の同時期と比べると約1.4%の減少となると言う事ですが、2002年以降の実績を見てみますと、最も低かったのが2002年の3800万人で、最も多かったのは2007年の4160万人となっています。
コロラドを含む西部地区の旅行者数は昨年同時期に比べて2.3%の減少となると予測され、880万人の人々が自宅から50マイル(80km)以遠へ出かけるとしています。
最近のガソリンやジェット燃料の価格低下の激しさはこうした予測を大きく揺さぶる要素ですので、今回のAAAの予測を狂わす事になるかもしれませんが、どうなりますか?
ガソリンの価格が3年振りの低価格に
今迄ガソリンの小売価格の急上昇をお伝えしていましたら、今度は急激な低価格化となって、このレポートでもここのところ毎号その価格低下の報告をしています。
日本での小売価格と異なりアメリカでは政府がその価格設定に直接介入するというバッファーの役目をしていないので、原油の市場取引価格が直接直ぐに跳ね返る様になっている為こうした激しい動きとなっています。その原油の市場取引価格が7月11日に1バレル当たり147.27ドルという最近の最高値をつけて以来、最近ではそれから約70%もの低下を示しています。
アメリカ経済の不景気濃厚と言う事でその消費エネルギー需要が停滞して来ている事が直接の原因とされていますが、アメリカ政府機関のエネルギー情報局のデータでは全米のレギュラーガソリンの小売価格はその平均で7月4日に最高値をつけて以来20週連続して低下して来ており、現在は1ガロン当たり1.811ドルとなっているとしています。
コロラド州では全米平均に比べて毎度少し低い価格となっていますが、毎度お馴染みとなったAAAの統計資料によると、7月17日にそのコロラド州平均価格は1ガロン当たり4.093ドルという最高値を示した後急激に下がって来て、最近では1.743ドルと最高値の半分以下に低下しています。
これで一時は全くその「ガソリンのがぶ飲み車」として販売の低下となった大型SUV車の売り上げがこれで再び回復するか?との自動車業界の期待も有りましたが、経済不調の折、今のところその状況に無さそうです。
フォトギャラリー
あとがき
Ritterコロラド州知事を団長とするコロラドからの経済使節団は日本、中国訪問を終えて予定通りの日程で帰って来ました。早速Ritter知事は記者会見を開いてその成果について報告を行っています。
ANA(全日空)及び成田空港の責任者達とのデンバー/東京間を結ぶ直行便の開設についての打ち合わせでは、結論として、早くて2010年からスタートと言う事で来年にこの事前調査の為にANAでは調査チームをデンバーへ派遣する事に計画しており、新型航空機として中型旅客機でジェット燃料の消費が少なく経済的な運行が可能と言う事からボーイング787Dreamlinerをスタート時より使用する計画でいましたが、その機体のボーイング社からANAへの納入時期が当初予定の今年後半から1年半ほど遅れており、ANAではボーイング社より毎年6機ずつのペースで2017年迄の間合計50機の購入をする事になっていました。
世界的な経済不調でビジネス旅客の数が大幅に減少している時期でもあり、当初の計画より数年遅らせて直行便のスタートをすると言う事になった様です。この直行便の開設によるコロラドへもたらす経済効果は1億ドルから1億5000万ドルになると予測されています。
また、新たなコロラドでの事業開発で州として力を入れている、
- Renewable Energy事業(風力発電、太陽光発電など)
- Bio-Science事業
- Tourism事業(観光、旅行)
の3つの柱の紹介、解説を日本及び中国の関係機関や業者を対象に行って、これらの新事業での2国間の協調を進める事を討議しています。コロラド州立大学で研究開発しているテーマについて中国及び日本の関連研究機関との間で4件のテーマについての合同研究に関して推進合意契約書にサインして今後の推進を計る事となりました。
デンバー/東京間の直行航空便がスタートして、いろいろな事業や研究で日本とコロラド間の協調が盛んになるとコロラドと日本との距離がもっと近距離に感じる様になって大変良い事だと思います。
[ Writer : 萩原正喜 ]
[ DATE : 2008-11-30 ]
[ TAG : ガソリン コロラド紀行 デンバー国際空港 ]
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萩原正喜
萩原 正喜
(はぎわら まさき)
1939年生まれ、群馬県前橋市出身。大手AV機器メーカーで技術畑を歩み1996年に技師長で定年退職。その後アメリカコロラド州へ移住し、デンバーに隣接するAurora市に在住。アメリカ人の夫人とすでに独立している長女、次女の娘二人と犬2匹という家族構成。
現在は、毎日裏庭を走り回る8才の雌のジャーマンシェパードと4才の雌のレッドドーバーマンの2匹の犬のしつけと面倒をみるなど悠々自適な日々。
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