[コロラド紀行]Vol.52 開港15周年を迎えたデンバー国際空港

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[コロラド紀行]Vol.52 開港15周年を迎えたデンバー国際空港

2010-03-29 掲載

[コロラド紀行]Vol.52 開港15周年を迎えたデンバー国際空港

3月中旬からデンバー地区では中3日から中5日おきに降雪が有って、現在迄にその降雪の第4波までが通り過ぎましたが、さすがに春と言う事で気温があまり下がらず何れも湿った重い雪となっています。

3月23日から24日にかけて降った雪
我が家の裏庭の降雪後の様子です。写真右側に立っているのはブルースプルスの木ですが、通常雪が乾燥粉雪ですので風に飛ばされてその枝葉に雪があまり残らないのですが、今回は大変湿ったベタ雪だった為沢山の雪が残っています。

特に3月23日(火)の夜から翌24日(水)の朝にかけての第3波の降雪が最も多くデンバー地区の公式発表値で9インチ(22.9cm)の積雪となっています。

それだけでしたら、強い風も伴わず、たいした量でもなく問題なかったのですが、途中1時間位の間に猛烈な雪降りとなって視界が数メートル先も見えなくなる程となった事から、特にハイウェイでの交通や空の便に支障が多発して混乱した1日となりました。

デンバー国際空港ではその発着便のキャンセルや大幅遅れが多発して空港ビル内で約5000人の乗客が夜を過ごすという事態となって、空港職員たちがそれらの人達に毛布を配って急場をしのいでいます。

デンバー空港の1番の大手航空会社のUnited Airlinesではその発着便215便がキャンセルとなって、2番手のFrontier Airlinesでは40便の発着便キャンセル、そして3番手のSouthwest Airlinesでは100便ちょうどがキャンセルとなっています。

野鳥にやる餌の容器に出来た雪の造形
我が家の裏庭に吊るしてある野鳥たちに餌をやるための容器に積もった雪が溶けて凍り、周囲に凍り付いた部分が再び解けかかって外れましたが、気温が急に下がった為そのままブラ下がっています。今迄同じもので見た事が無い珍しい光景です。

空港の除雪部隊は全部で6本の滑走路のうち南北向きの4本の滑走路に注力して除雪に務めたのですが、航空機が離陸前に行うその機体のDe-Ice作業を終えて滑走路にたどり着くまでに機体が雪に覆われてしまい離陸が危険となることから離陸を取りやめとなる便が続出してしまいました。

デンバー国際空港は最新鋭の無線着陸誘導システムを備えているので視界が多少悪くとも着陸出来る様になっているのですが、そうなると、全米各地の空港からデンバー空港へ向けて飛行しようとする各便にはデンバー空港が飛行機で満杯となってしまうことから、総合管制当局ではデンバー空港への飛行許可を出さなくなり、それぞれの空港で待機状態又はキャンセルとなってしまいます。

アメリカ内の主要なハブ空港であるデンバー空港ですので、日常からこうした事態に備えているのですが、とんだ春の湿った重い雪がドカ雪となって降った事から全米の航空に大きな混乱を及ぼす事となってしまいました。


開港15周年を迎えたDIA(Denver International Airport)

デンバー空港の出発フロアーの入り口
デンバー空港の出発口は一番上の6階のフロアーとなっていて、ここはWest Terminalのユナイテット航空の入り口です。車から降りて左側へ入り口を入ると直ぐにチェックインカウンターとなっています。

デンバー国際空港はアメリカの商用空港としては最も新しく開港した空港ですが、その開港日は2月28日で今年15周年を迎えました。

その記念催しとして空港ターミナルビル内の中央の大広場には「Boeing 787 Dreamliner」の主翼の実物大の模型が展示されて、カップケーキが乗降客に配られました。

Dreamlinerはボーイング社が今年末の初号機の出荷を目指して生産準備を進めている新型航空旅客機で日本のANA(全日空)がその最初の顧客となっており、その飛行経済性と長航続距離性能とを活かしてBoeing 787型の210客席バージョンを使用してデンバー/成田間の直行便の開設を計画しています。

アジアの主要都市への直行便の開設はデンバー空港開港以来の悲願とも云うべき課題で、まずは成田や北京がその候補となっていますが、デンバーをハブ空港としているユナイテット航空とアライアンス協定を結んでいるANAがデンバーから更に先の乗り継ぎ便の便利さを活かして直行便の開設の第一候補となっています。

デンバー国際空港の運行責任者のKim Dayさんは開港15周年を記念してデンバー商工会議所の主催でデンバーのダウンタウンに在るSheratonホテルで旅客航空業界の業者たちを集めて行われた業界の将来についてのパネルデイスカッシヨン「State of DIA」の場でデンバー空港の短期及び長期の計画を解説講演しました。

その主要内容については下記の様になっています。

  • 昨年2009年のデンバー空港が扱った総乗客数は5016万7485人で2008年に記録した開港以来の乗客数5124万5334人より2.1%低い2番目の記録となりました。
    昨年12月の乗客数が400万3422人で2008年12月の407万3246人に比べて1.7%低く、昨年は景気後退の影響で乗客数の減少が見込まれた事からその対応として各航空界社がその運行便数を削減した事が影響している、としています。
  • デンバーのダウンタウンに在る鉄道駅Union Station からDIAのメインターミナルまでの延長23マイル(37km)を接続する鉄道の建設が14億ドルの総費用で今年の夏に着工する事となっています。
    この鉄道は現在デンバー市街地を走っている路面電車網「FasTracks」へユニオンステーシヨン駅で接続されるもので、昨年デンバー市委員会からParsons Transportation Group 設計事務所へその設計及び工事計画作成費用として1億6000万ドルが供与される事になっています。
  • 開港時以来の懸案であった空港ターミナルへ直結するホテルの建設は今迄既に新ホテルの建設の為に出来上がっていた設計図を新たに建設される鉄道駅に合わせて設計し直す事となり、2011年中のホテル建設作業の着工を目指す事となっています。
  • デンバー空港では長年の悲願であった日本のANA(全日空)による東京からデンバーへの直接乗り入れ便の開設が来年には実現する事を強く望んでおり、4月中には空港運行責任者のKim Dayさんを団長とする2回目の使節団を日本へ訪問させてANA(全日空)の会社首脳と会談し直行便の開設を促す事を計画しています。
  • 今回発表の各新規工事計画の空港内部の総費用は10億ドルあまりに及び、それにはホテルの建物、鉄道駅ターミナル、空港ターミナルへ鉄道を乗り入れる為の橋梁、鉄道駅と現在のメインターミナルを接続する新ターミナルホールなどの建設が含まれています。

Boeing 787型Dreamliner機は多くの期待を集めながらボーイング社としてのその事前受注活動では非常に多くの注文を受けましたが、基本設計上の問題から数回にわたって出荷の延期が行われ、期待が大きかっただけに多くの顧客をあわてさせています。

最近の状況では、その初飛行は既に行われて、今年年末の初号機の顧客への納入が待たれているところです。

私も来年にはANA(全日空)のDreamliner機によるデンバーから成田への直行便で日本へ行きたいと期待しています。

世界の美しい空港

雑誌「Travel+Leisure」の1月号に「世界で最も美しい空港」と言う特集記事が掲載されています。その記事の中でデンバー国際空港が世界各地の他の9カ所の空港とともにその一つに選ばれています。

デンバー空港West Terminal 側からの遠望
白テント屋根のJeppesenメインターミナルをWest Terminal側から見た様子です。テントの下側に見える建物は屋根付きガレージの駐車場で短時間の駐車用に1時間あたり2ドルの料金で駐車出来ます。
デンバー空港East Terminal 側からの近望
白テント屋根のJeppesenメインターミナルをEast Terminal側から見た様子です。テントの下側に見える駐車場から車で出て来て、駐車料金の支払い所の前から撮影しました。

同雑誌の記事によりますと、次の様な解説がなされています。

「デンバー空港のターミナルの基本デザインはデンバーの建築デザイナーCurtis Fentressさんが素早く纏め上げたスケッチに基づいており、その基本構想を固めるのになんと3週間と言う短期間で纏めたものです。空港ターミナルの屋根はテフロンを塗布した抗張力布を使用しており、ちょうど巨大な白いテント小屋の村を思わせる外観となっています。」

この巨大な屋根を構成しているテントは日本テント社が製作したもので、過去冬の猛吹雪の時に凍り着いた氷が飛んでテント地の一部を引き裂くと言う事が起きて、一時ターミナルのその下の部分が閉鎖となって応急処置を行ったという事が1回だけ生じましたが、それ以外はこの15年間特別に問題なく済んでいますので、夏の強い日差しにも、また冬の凍てつく寒さ、そして強風に対しても耐えて非常に丈夫に造られている、と言えます。

雑誌Travel+leisure の記事に載っているその他の「世界の美しい空港」をご参考迄に記しますと、下記の各空港ターミナルが挙げられています。

  • 中国 北京空港ターミナル3
  • スペイン マドリッドBarajas空港ターミナル4
  • アメリカ ニューヨークJFK空港TWAターミナル
  • ウルグアイ Montevideo Carrasco空港
  • スペイン Bilbao Sondika空港
  • 韓国 Incheon空港
  • モロッコ Marrakech Menara空港
  • 中国 香港Chek Lap Kok空港
  • アルゼンチン Malvinas Tempelhof空港

等となっています。

このエスキモーの氷の家の様な建造物は何でしょう?

デンバー国際空港が開港して以来15年、いつも空港へ行く毎に国道ハイウェイ70号線と空港とを結んでいるハイウェイPena Blvd.を空港から戻ってくると空港敷地内の道路端右側に多分コンクリート造りと思われる大きな、ちょうどエスキモーの氷で造る家の様な形をした建造物が見えます。私はもう15年間もいったいこの建造物は何なのだろうか? また、中には何が入っているのだろうか? と疑問に思っていました。

ところが、今回の大雪の御陰でその写真入りの解説記事が地元新聞のデンバーポスト紙に載って15年にしてやっとその疑問が解けました。これは空港当局が空港内やPena Blvd.の雪に備えて路面凍結防止剤(主として塩化マグネシウムが主体)を貯蔵している倉庫です。

降雪があると直ちに特殊除雪トラックがここから路面凍結防止剤を積んで繰り出して路面へ散布して凍結を防ぐと言う仕組みです。そういえば、写真の右側のこの建造物の後ろに砂利の山が見えますが、凍結防止剤とともに特に凍結しやすいところに砂利を一緒に散布して車がスリップするのを防ぐ為のもののようです。

雨や風にも安全で化学的にも安定な条件が保てると言う事でこうした建造物となっていると云う事の様です。ちなみにこの建物への通路は「関係者以外立ち入り禁止」となっています。

石油、天然ガスを産出するデンバー国際空港

デンバー国際空港の広大な土地はデンバー市が所有しており、ロッキー山脈の東山麓に広がる平野部は、大昔は内海であったところが干上がって、ロッキー山脈から流出する土砂が長い間に2000m以上の堆積をして出来上がった平坦地となっています。

この辺一帯をDenver-Julesburg Basinと呼んでおり、地下を掘ると石油や天然ガスが出てくるといった土地柄ですが、特にデンバーから更に北のGreelyの町にかけてはWattenberg Fieldと呼ばれていて、以前より石油の掘削が多くの箇所で行われていましたが、最近では併せて天然ガスの採掘も行われています。

そうした事からデンバー空港の敷地内でも石油や天然ガスの採掘井戸が沢山在って日常的に生産が行われています。

デンバー空港では既に空港が所有して独自で生産している井戸に併せて今回27カ所の井戸を550万ドルで買収して、空港として所有する石油、天然ガスの井戸の所有総数は76カ所となりました。

新たに購入した27カ所の井戸から得られる石油、天然ガスの売却収入は年間約350万ドルに及びデンバー空港としては、これらの井戸から産出する石油、天然ガスの副収入をその空港運営費の還元に使用しているので、各乗り入れ航空会社の空港使用料が安く、航空会社にとってメリットとなっています。

この様に空港内から多くの天然資源が得られるとは、なんと豊かな国なのだろう、と思わされます。

太陽光発電に力を入れているデンバー国際空港

デンバー国際空港では、ソーラーパネルによる発電設備として既にそのメインターミナル近くに2Mワットの能力を持つものを有していますが、その太陽光発電計画の第2弾として、今度は空港敷地の北の端に1.6Mワットの設備が完成して、その発電した電力でジェット燃料貯蔵庫及び供給所での使用電力に振り当てる事にしています。

デンバー空港には外部の電力会社Ecel Energy社から電力の供給を受けていますが、緊急事態に備えて大型自家発電設備も有しています。それらとこの太陽光発電とをうまく組み合わせて、夜間や日照時間の変動などに対応して自給電力の比率を大きくしていこう、と言う事で、これらのプロジェクトにかかった費用は総額約700万ドルですが、デンバー空港が電力会社のXcel Energy社へ使用している総電力代金として支払っている金額の約90%に相当するとしています。

このデンバー空港の太陽光発電プロジェクトに参画している企業は

  • デンバー市のOak leaf Technology Partners社
  • オローラ市のIntermountain Electric社
  • サンフランシスコ市のMP2 Capital社

の3社が活動しています。

温室効果ガスを多量に発生している航空機の為の空港ですが、クリーンエネルギーで風力発電の様に飛行の邪魔になる大型タービンも必要としない太陽光発電の推進を空港として行っている事は大変結構な事だと感じられます。

あとがき

3月14日(日)の午前2時を期してコロラドではDaylight Saving Time (夏時間)が始まっています。アメリカ本土では時計の針を1時間早めて、コロラドと日本の時差は今迄16時間だったのが15時間となりました。日本が朝の9時の時にコロラドでは前日の夕方の6時と言う事になります。

夏時間への切り替えで人間は時計に合わせて日常生活を順応しますが、我が家の犬2頭は食事の時間など相変わらず冬時間で宵っ張りの朝寝坊を決め込んでいます。

犬たちが夏時間に順応するには少し時間がかかりそうです。


[ Writer : 萩原正喜 ]
[ DATE : 2010-03-29 ]
[ TAG : コロラド紀行 ]

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萩原正喜 萩原 正喜
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1939年生まれ、群馬県前橋市出身。大手AV機器メーカーで技術畑を歩み1996年に技師長で定年退職。その後アメリカコロラド州へ移住し、デンバーに隣接するAurora市に在住。アメリカ人の夫人とすでに独立している長女、次女の娘二人と犬2匹という家族構成。
現在は、毎日裏庭を走り回る8才の雌のジャーマンシェパードと4才の雌のレッドドーバーマンの2匹の犬のしつけと面倒をみるなど悠々自適な日々。


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