[コロラド紀行]Vol.53 土曜日の郵便集配がなくなるかもしれないアメリカ

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[コロラド紀行]Vol.53 土曜日の郵便集配がなくなるかもしれないアメリカ

2010-05-06 掲載

[コロラド紀行]Vol.53 土曜日の郵便集配がなくなるかもしれないアメリカ

今回私は4月8日にデンバー空港を発って2年半ぶりで日本へ行って来ました。デンバー空港でもそうですが、途中の航空便乗り継ぎのシアトル空港North Terminal、そしてサンフランシスコ空港のユナイテット航空のターミナルの何れにおいても、今迄沢山の公衆電話器が設置されているのを見かけられたのが、今回すっかり取り除かれてしまっており、電話をかけようと思っても公衆電話を探すのに苦労する程となっていました。

セルラー電話の普及で相変わらず空港ターミナル内で電話をかけている人々は多数見かけるだけでなく、航空機内でも機体がゲートを離れる迄の間やゲートに機体が到着するやいなや携帯電話器を取り出して通話を始めるといった光景が多く見かける様になって、今迄の様な公衆電話器に25セント硬貨(クォーター)を2枚入れて電話をかける人の数は多分激減してしまい、公衆電話群の占有スペースを他に活用しようという傾向で、時代の流れを強く感じさせられました。

この傾向は空港ターミナルや街角での現象ではなくて、アメリカの一般家庭でも現れて来ており、最近のU.S. Centers for Disease Control and Prevention(アメリカ公衆衛生予防局)の行ったNational Health Interview調査の結果によると、アメリカに於ける家庭で従来の電話(Land Linesと呼んでいる)の使用を止めてセルラー電話のみを使用している世帯数の比率は下記の様に年々増加している、としています。

2005年上半期(1月~6月)6.7%
2005年下半期(7月~12月)7.7%
2006年上半期9.6%
2006年下半期11.8%
2007年上半期12.6%
2007年下半期14.5%
2008年上半期16.1%
2008年下半期18.4%
2009年上半期21.1%

と言った具合で、現在では全米の家庭の4軒に1軒はセルラー携帯電話のみを使用している様になっており、その傾向は今後も継続する、と言う事の様です。

この調査はワイヤレス電話機からの発生電波による人間の脳への影響を調べる為に行われたものの一部ですが、携帯電話はその小型軽量化に始まって、電池寿命、サービスエリアの拡大、サービス料金の引き下げ、などの課題を克服して現在に至っており、人々がその利用面での信頼性の認識を高めて来ている、といった事だと思います。世の中で携帯電話が完全に認知された、と言う時代の変化を感じさせられました。

アメリカの土曜日の郵便集配が取りやめになる?

アメリカの郵便制度は1775年に合衆国憲法が制定されて以来行われており、1971年よりUSPS ( U.S. Postal Service) として民営化されて来ていますが、現在でも連邦政府が主要株主となっていて、完全な民営化になっているとは言えない半官半民の状態が続いています。

また、日本の郵便局の様に郵便貯金や簡易保険といった制度をもっておらず、郵便物の集配業務にその事業が特化しているので、人々がインターネットでのコミニュケーションに日常の依存度が高まっている今日ではE-Mailでの連絡や電気/ガスなどの毎月の支払いを従来の様に郵便でその請求書を受け取って、チェックを送るのでなくオンラインで行ったり、その他のオンラインサービスを利用したりするようになって来ており、アメリカ内での郵便物の扱い数は総計で2008年に2030億通であったのが、昨年2009年では1770億通と急激に下がって来ており、各家庭での郵便受け箱が現在一日に受け取る郵便の数は平均で4通となっていますが、この数は2020年には平均3通に低下する事になると予測されています。

また、USPSでの推定ではそのFirst Class Mail(通常郵便)の扱い数にして2020年には現在の37%の低下となるとしています。この様な事態にリンクして、この先10年間でこれらの影響による赤字額は2380億ドルにのぼると見られています。

こうした先行き見通しに対処する為、昨年USPSでは4万名迄の人員削減を実施し、残業削減などを含めて約60億ドルの経費削減を行いましたが、それでも今年には、ほぼ80億ドルの赤字が見込まれています。

今回これらの赤字解消策として、USPSでは下記の様な実施案を作成してPostal Regulatory Commission(郵便事業管理委員会)へ提出してその実施についての承認をあおいでいます。

(1)現在行われている土曜日の郵便物の集配達を取りやめる。

  • これによって4万9000名分に相当するフルタイム及びパートタイムの業務削減が出来る
  • これによって実施初年度に年間33億ドルの経費節約が出来る。
  • そして2020年迄には年間51億ドルの経費節減体質となる。

(2)主要郵便局に於ける土曜日の郵便物受付は従来通り行う。

  • ただし、その土曜日に受け付けた郵便物の発送処理は翌週の月曜日に行う。

(3)Express Mail(速達)およびRemittance Mail(現金支払い郵便)のサービスは従来通り主要郵便局で毎日行う。

(4)引退した人々の医療保険通知の支払い方法について変更を行い経費節減を計る。

(5)通常郵便物の料金変更を行う。

  • ただし、現行のFirst Class 郵便の切手に付いては2010年いっぱいは現行の44セントのまま据え置く。

この様な改革案に対して、郵便配達員労働組合では土曜日の郵便物集配達取りやめに対して反対しており、このシステムはアメリカに於ける郵便の長い間築いて来たアメリカ経済にとって大変重要なインフラストラクチャーであり、アメリカ郵便制度が信頼を得ている基本だと主張しています。

今後、どの様な展開となるか分かりませんが、これも時代の流れとも言える出来事です。

ケーブルTVのComcast社の第1四半期業績アップ

ケーブルTVの最大手Comcast社の今年第1四半期(1月~3月)の業績が発表になり、売上げ面では昨年同期の89億ドルに比べて3.8%増加し92億ドルとなり、利益面では8億6600万ドルで昨年同期の7億7200万ドルより12%の上昇となったとしています。

Comcast社ではそのデジタルケーブルTV及びハイスピードインターネットサービスの新規契約者数が増加したとしており、併せてケーブルチャンネルの広告収入も増加しているので、アメリカ経済の回復傾向が進行して来ている、としています。

また、同社では現在アメリカでの失業率が高いままで留まっており、住宅市場もまだ低調なままで、特にケーブルTV業界は新築家屋に新しく入居した人々が新規顧客となることに多く依存しており、これらの指標への今後の動きに注目する必要が有る、と言及しています。

更に、Comcast社としてのビデオ配信サービスの総合収入はこの第1四半期では低下しており、業界でのTV放送ビジネスの競争激化から、同社でのケーブルTV視聴料金が昨年の様に上げる事が出来ずに据え置いたままとなっている為だとしています。

業界の中では元気印のComcast社ではありますが、まだまだ今後の業績見通しについては楽観は許さない、と言った事の様です。

コロラドの桜

コロラドの白桜

デンバーの町は地球の緯度にすると日本の秋田や盛岡とほぼ同じ位置ですが、桜は例年5月の中旬に満開となります。今年は気候が暖かかったせいか4月末から5月初めにデンバー地区での桜の花が満開となっています。今回の写真は5月2日に撮影しました。東京地区に比べて約1ヶ月遅れの桜です。

デンバー地区での桜の木は近年に街路樹として苗木を植えられたものが殆どで樹齢としてはいずれも若く日本の様な桜の老木は見られません。 桜の花の色はこの写真の様に日本のソメイヨシノに近い白色のものや、濃いピンク色のもの、そして非常に濃い赤色のものなどがあって、日本の様に同じ種類の桜が群生していると言う光景は見られません。

コロラドのピンク桜

今回はオローラ市内の我が家の近くに見られる比較的大きな桜の木を選んで撮影しました。この桜は濃いピンク色ですが、これと類似の色の桜は比較的古くに植えられた木が多く、あちこちで街路樹として見ることが出来ます。

コロラドの赤桜

この桜は非常に濃い赤色の花をつけています。桜ではないのではないか? と思わされる程の色で、日本では見られない種類です。

アメリカの初代大統領ジョージワシントンと桜の枝を折った話はよく知られた話ですし、首府ワシントンのポトマック河畔の沢山の日本から贈られた桜の事などアメリカでも桜はかなりポピュラーな木ですが、コロラドでは町中に苗木を植樹して街路樹とするものが近年増えて来ており、デンバーの町中を流れているCherry Creek川の両岸には数年前に植えたばかりの多くの桜の若木が花を付けている光景が見られる様になりました。そのうち両岸を桜並木が豪華な花で覆われる様になると思います。

あとがき

デンバー市ではデンバー国際空港への成田国際空港からの直行便の早期乗り入れ開始をANA(全日空)社に促す為にその2回目の使節団を結成して、4月12日の週に訪問を行い、同社の経営陣とのミーティングを持ちました。

デンバー空港のマーケティング責任者のSally Convingtonさんは「成田空港とデンバー空港を結ぶ直行便の開設は、東京は我々にとってアジアへのゲートウエイであるので、15年前にデンバー空港がオープンして以来の大変重要な課題であり、我々はこの事を非常に積極的に推進したい意向であると云う事をANA(全日空)社に伝えたい」と表明しています。

ANA社では現在新しくアメリカの少なくとも2都市への便の開設を計画しており、デンバーの他にボストン、ヒューストン、マイアミなどがその候補地としてあげられており、ボーイング社の新型機Boeing 787型Dreamlinerのワイドボデイ210客席のモデルを使用して運行を計りたいとしています。

この直行便が開設されると、年間約1億2000万ドルのデンバー空港への直接の収入増加と間接的な売り上げ増をもたすと見込まれており、デンバー市としては150万ドルの宣伝広告費と40万ドルのANAへの空港使用料の割引をインセンティブとして準備すると言う事で、現在デンバー市の委員会に計っています。

今回のデンバー市関係者とデンバー空港関係者からなる使節団の訪問時にANA社では、「デンバー空港は我々が計画している目的都市の一つにあげられており、常にその市場状況を継続確認しているのだ」との今迄のセリフを繰り返しており、ANAとしては787型機の導入を今年末に予定しており、その運行テストには18ヶ月から2年間をかけて行うとしています。そして、成田デンバー間の直行便の開設期日としては最短でも2013年になるだろうとの回答を行なった、と言う事です。

今回のANA社の反応に対して使節団の成果としては少々失望した感がありますが、現在の世界の経済状況やANA社の経営状況、そしてボーイング787型機の納入スケジュールなどを勘案して、あまり、ANA社が直行便の開設スケジュールに消極的な状況を継続すると、北京(China Air)やソウル(大韓航空)への直行便開設を優先するようになるのではないか、と気になります。

ところで、現在デンバー空港からヨーロッパの主要都市への直行便としては、British Airways(英国航空)とユナイテット航空とがロンドンのHeathrow空港へそれぞれ毎日往復1便ずつ、そしてルフトハンザ航空がフランクフルトへ毎日往復1便を運行していますが、今回のアイスランドの火山の大噴火によりその運行が4月15日(木)より停止していましたが、4月19日(月)のフランクフルトへの便、そして4月21日(水)のロンドンへの各便とから運行が再開されています。

US Travel Associationの推定によりますと、今回のアイスランド火山の噴火の影響で航空便のキャンセルによるアメリカ経済への損失は総額6億5000万ドルに及ぶとしています。

今年の1月から3月の第1四半期におけるアメリカの大手6航空会社は揃ってその売り上げ金額は昨年同期比で増収となっており、乗客数の増加を示していましたが、この第2四半期は今回の噴火の影響で大幅な減収となる可能性が予想されと言われています。「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉を思い知らされた出来事でした。

ところで、最近デンバー空港の扱った2月の乗客数が発表になって、その総数370万975人で昨年の2月に比べて5.1%の増加になったとしています。これで、今年に入って1月と2月の合計乗客数は747万7378人となって昨年と比べて4%の上昇となっています。

デンバー空港での航空便の発着数は2月には1.5%増加し、またカーゴによる貨物輸送は昨年2月に比べ13.7%の上昇となっています。これらの業績から空港当局では、「2009年に比べてビジネス客と観光客ともに増加して来ているので経済が少し活発になって来たのではないか」とコメントしています。


[ Writer : 萩原正喜 ]
[ DATE : 2010-05-06 ]
[ TAG : コロラド紀行 ]

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萩原正喜 萩原 正喜
(はぎわら まさき)

1939年生まれ、群馬県前橋市出身。大手AV機器メーカーで技術畑を歩み1996年に技師長で定年退職。その後アメリカコロラド州へ移住し、デンバーに隣接するAurora市に在住。アメリカ人の夫人とすでに独立している長女、次女の娘二人と犬2匹という家族構成。
現在は、毎日裏庭を走り回る8才の雌のジャーマンシェパードと4才の雌のレッドドーバーマンの2匹の犬のしつけと面倒をみるなど悠々自適な日々。


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