アメリカで最も標高の高い所まで自動車で上れる舗装された道路であるコロラドロッキーのMount Evans Highwayは、冬期は多くの積雪の為閉鎖となっていますが、毎年5月下旬のMemorial Dayの3連休にはその除雪作業が行われて、観光客の自動車が頂上を目指します。

今年も5月28日(月)のMemorial Dayとその前の5月26日(土)と27日(日)の3連休に間に合う様に、コロラド州運輸局では作業を進めて、前日の5月25日(金)の正午から開通しました。

毎年この3連休は多くの人々が金曜日に休暇を取り、4連休として普段遠く離れている親類や親しい友人宅そして観光等の目的で自動車で繰り出しますので、年間でもハイウェイが最も混雑する週末の一つとなっています。

東はカンサス州との州境から西はユタ州境までコロラド州を横断している国道ハイウェイ70号線はデンバーの町の北側を東西に抜けて、さらにロッキー山脈のほぼ中央部を横断している山岳道路となっています。

この70号線をデンバーの町から西へ30マイル(48km)程走った所にあるIdaho Springsの町(海抜10,500フィート(3,200m))がこのMount Evans山への入り口です。

ここから約14マイル(22.5km)の登り道はその上り下りの各1車線ずつの山岳道路で海抜14,264フィート(4,348m)の頂上まで舗装されている有料道路で、自動車は10ドル、自転車やオートバイ、または徒歩でハイキングする人などは3ドルをゲートで支払って頂上を目指します。

標高差の比較
立山黒部アルペンルート Mount Evans Highway
ケーブルカー立山駅 475m Denver 1,609m
美女平 977m Idaho Springs 3,200m
天狗平 2,300m
室堂 2,450m
立山山頂 3,015m Mount Evans山頂 4,348m

ところで、このMount Evans山頂への自動車道路の開通を今シーズンは特別待ち望んでいた人達がいます。

このMount Evans山頂にはMeyer Womble Observatoryと呼ばれる天文台の建物があって、アメリカでは最も標高の高い所に位置している天文台となっています。また世界的には3番目の高さにある事で知られています。

冬の期間は山頂までの道路が閉鎖されますので、この天文台は無人で、ドームの開閉や望遠鏡の操作等は無線によるリモートコントロールで行われる様になっており、望遠鏡の観測画像はワイヤレスWebcamで送られ、デンバーの町の南にあるデンバー大学(Denver University)で制御運用を行っています。

今年1月にロッキー山脈地区は非常に強い風を伴った嵐に見舞われましたが、その直後から観測画像に何か異様な陰が写る様になり、さっそく地元の山岳会グループで現在エベレスト山への登頂を目指してこのMount Evansの山頂近くでトレーニングを行っているメンバーに連絡を取り、天文台の様子を問い合わせたところ、彼らから頂上の天文台を撮影した写真が送られてきました。

なんと、700ポンド(318kg)もある重量のドームを開閉するドアが吹き飛ばされドーム部分が建物から剥がれている事が分かりました。

その山岳会のグループの人達は歩いてこの天文台までたどり着きそこから750フィート(229m)ほど山頂から下ったところでそのドアを発見しています。

このMeyer Womble天文台はデンバー大学が管理運営している2ヵ所の本格的な天文台の一つで、もう1ヵ所はデンバー大学の近くのObservatory Park内にある長い歴史を有するChamberlin Observatoryです。

ちなみにデンバー大学は地元ではDUと呼ばれていて、アメリカでは最も古くに設立された私立の総合大学と言う事で知られています。

今回のMount Evans山岳自動車道路の開通を待ってこの山頂の天文台の修復作業が始まります。

ゴールドラッシュの再現なるか?

金の市場取引価格は2007年中旬迄は1トロイオンスの価格で800ドルから850ドルの範囲を小刻みに上下するところで取引されていましたが、アメリカでの経済不調が顕著となってからは価格上昇の一途をたどり、昨年2011年の下旬には1,897.60ドルという記録的な高値を付けた後、やや下がって現在までに1,600ドルから1,750ドルの間で上下を繰り返していました。

貴金属業者が銀行とタイアップして金の買い取り
これはデンバー地区に多くの支店を設けているUS Bankの2本の大通りIliff AvenueとParker Roadとの交差点にある一支店の交差点側から見た建物の様子です。全体的に暗い感じの建物ですが、正面のガラス扉が入り口となっています。建物の屋根の側壁に『WE BUY GOLD – NOW OPEN!』という文字が金色に光って見えます。「金を買い取ります。現在取扱中!」道路側から見ると暗い感じの建物とのコントラストが着いて大変目立つ看板となっています。このUS Bankの支店では貴金属の宝飾品業者が支店の建物内に場所を借りて一般の人から金の地金を始め各種の金貨、そしてネックレス等の宝飾品などの金を使用した所有物を、金が高値となっているので売却したいと思っている人からここで評価して買い取ります、と言う事です。この金文字の看板はたしか昨年の秋から表示されています。

そして、今年に入って4月初旬では1,628.50ドルとなり昨年の記録高値に比べると約15%も低下しましたが、それでも2009年の初旬での価格に比べると2倍以上の価格を保っていると言った状況です。

その後5月に入って更に一段下げて1,450ドルから1,550ドルと言う状況です。

こうした金の取引価格の高い状況が継続している事から、かつて1820年代にコロラドで起ったゴールドラッシュの時以来一攫千金の野望に燃えてロッキー山脈の山中に分け入って金鉱山の開発に挑戦した人々が大勢いた訳ですが、そのゴールドラッシュが収まった後も執念深く金の掘削をロッキー山脈のあちこちで継続した人達がいて、コロラド州内にはこうした人達が採掘した鉱山の跡が多数残っています。

もともとロッキー山脈は8000万年くらいの大昔に地球表面の太平洋プレートと北米プレートとが東西方向に衝突して押し上げられて形成されたとされていますが、 Western Cordilleraと呼ばれる高地が南北に長く続く地形となっており、特にロッキー山脈の西側にはロッキー山脈よりも以前に形成されたCascadeやSierra Nevada山脈が控えている事からロッキー山脈の上昇が加速されて、もとは地表から遥か深い所の地下にあった地層を表面へと押し出している、と言う事になっています。

したがって金やウラニウムといったもともと地表に現れにくい金属や元素の鉱石が表面地層に多く出て来ているのがコロラドロッキーの特徴となっています。

US BANK の野外看板
このUS Bank 支店の大きな野外看板がIliff AvenueとParker Roadの角に建てられています。US Bankはコロラド州内ではWells Fargo Bankと並んで多くの支店を開いている銀行でその本社はミネソタ州Minneapolisにあり所有資金額ではアメリカで第11位の銀行です。ちなみに駅馬車のマークでお馴染みのWells Fargo Bank は全米第4位で、1位のBank of America、2位のJ.P.Morgan Chase、3位のCitigroupに続きます。

金の採掘事業は掘り出した土砂(ore)から精製して純度の高い金鉱石になる比率があるレベル以上である事がその採算を決めますが、その後こうした金鉱山の埋蔵量や掘削効率を調べる技術が進歩し、現在では試掘を行ってかなり精度の高い予測が行える様になってきていますが、金自体の取引価格が低いうちは採掘事業の採算が取れない、と言うことで操業閉鎖となっている鉱山跡がコロラドには多数残されています。

ところが、最近の金の取引価格の高値継続は、こうした以前採掘を行っていてその後閉山となっている鉱山跡を再度開いて事業再開しても採算がとれるのではないかと思わせられる状況となっています。

新たに掘り始めるのではなくて、規模の大小は有るものの以前に実際の掘削が行われていた鉱山跡ですので、その地質学上の性質などはかなり精度高く予測が出来ることから注目されているわけです。

旧鉱山の再開発にあたっての注目点としては下記の様な項目が焦点となります。

  • 金の埋蔵量及び鉱脈の分布状況
    最近では調査分析技術が進歩してかなりの精度で予測が出来る様になって来ていますが、それを裏付ける為に試掘という方法が取られており、その試掘結果と照合して推定が行なわれます。併せて本命の金の採掘に必ず伴って採れる銅などの副産物の予測も重要な要素となります。
  • 採掘、選鉱、精製などの工程の環境汚染の可能性
    環境汚染問題は金に限らず全ての採掘事業で最も重要な問題で、採掘を始める前の認可を得る為の最重要項目です。その規模が大きくなる露天掘りの場合と鉱脈に沿って掘り進むトンネル掘削の場合とで環境汚染対策の事情はかなり異なりますが、基本的には掘り出した鉱縡(Crushed Ore)の処理と精製工程で使う汚染水の処置、処理が焦点となります。
  • 最終の商品状態になった金及び副産物の銅などの今後の市場価格推移
    市場取引価格の推移予測が最も重要で困難な課題ですが、幸い金は化学的に変化が起き難い金属であり、その取引商品形体や流通、取引環境も整っていますので、市場価格に大きな変動を与える世界経済の見通しや政治情勢の変化などがその焦点となります。

以上の様な各項目についての分析が行なわれて旧鉱山跡の再開発が決定される事になりますが、コロラドでのごく最近のこうした旧金鉱山の再開発の話として地元で話題となっている例として次の様な事が伝えられています。

US BANK の入り口のガラス扉への表示
このUS Bank 支店の入り口のガラスの表面にここで扱う金の買い取りの表示が次の様に記されています。
Golden Nugget Gold Buyers
Open 7 Days A Week
Mon – Fri 10AM – 8PM
Sat    10AM – 6PM
Sun    11AM – 6PM
303-425-4653
最初のGolden Nuggetはここで金の買い取りを行っている宝飾品業者名で、1週間フルに休み無く開いています。最後の番号はこの業者の電話番号です。

Gold Hill Minerals社は今年60才になるニューヨークのブルックリン地区生まれのDavid Bandnerさんがフロリダ州のMiami Beachにその拠点を構えている金鉱山業を主体としている個人会社で、その設立資本金170万ドルをBandnerさんと彼の仲間とで出資して開業しています。

暫く前に約80万ドルを使ってコロラドのBoulderの町から北西のロッキー山脈の山麓の村Jamestownに在るBueno鉱山、Black Rose鉱山、Emmit鉱山という3ヵ所の金鉱山跡でそれまで操業していましたが、金の市場価格が低いままで推移していた事から採算割れとなり閉山しました。そして、それぞれの鉱山の所有者達は破産となる事を避ける為に鉱山をオークションに掛けましたが、その時にこの3鉱山跡をGold Hill Minerals社が買収しています。

ここへ来て金の市場価格が大幅に上昇した事から「頃良し」と言う事でその3ヵ所の鉱山を操業再開することを決めて、まずは試掘によってこの3鉱山の金産出の実力を調べる作業に取りかかっています。

最近同社の鉱山マネージャー、地質学者、分析技師、掘削専門者などを伴って社長のBandnerさんがBueno鉱山の視察に訪れましたが、その時の状況では「かなり期待が出来そうだ。」と言っています。

この3ヵ所の金鉱山はそれぞれの1日の掘削するOreの総量は20トンから30トンという小規模なもので、掘削と精製の工程で30人から40人の作業者数で操業することになりますが、Bandner社長はこのヵカ所の鉱山から a half-billion(5億ドル)の金を掘り出すのだ、と言っています。

US BANK の看板表示
このUS Bank 支店の看板表示を正面から見てみました。屋根の側面の金文字表示と併せて窓ガラスには次の2ヵ所の表示がされていました。
WE BUY COINS WE BUY SILVER
ここでは金だけでなく銀製品も買い取ります。そして金貨、銀貨のコイン類も買い取ります、としています。

今回のBandnerさんの挑戦はかって金鉱山を手がけていた人達や現在世界の各地で金の採掘を行なっている人達は注目してその成り行きを眺めており、もしBandnerさんが予想していた以上の好結果を掘り当てると言う事になりますと、この3ヵ所の金鉱山跡の他にまだまだ沢山存在しているコロラドの金鉱山跡での一攫千金を目指す再挑戦が次々と始まる事となりそうですが、果たして金の市場取引価格は最近の様な高値を維持していてくれるでしょうか?

掘れば何か出て来る土地柄で、掘っても何も出て来ない日本の場合と比べて非常に恵まれた環境と言えますが、コロラドの静かなブームとなりそうな注目点です。

アイスランドとデンバー空港を結ぶ直行便が就航

デンバー国際空港とアイスランドの首府Reykjavikとを直行便で結ぶIceland Air(アイスランド航空)の航空便が予定通り5月11日(金)からスタートしました。

毎週4便がデンバー空港を出発して、4便がデンバーに到着するというスケジュールでの運行ですが、デンバー空港からの外国の都市への直行便としては過去20番目の便となります。

そして、デンバー空港とドイツのFrankfurtとを結ぶ便がスタートしてから10年以上が経過して以来の暫くぶりの外国への直行便の開設となります。

今回のアイスランドへの直行便の開設の為にデンバー市としては、そのインセンテイブとして、このアイスランド航空の便開設の宣伝費用として150万ドルの資金を供与し、デンバー国際空港へのアイスランド航空の航空機の空港使用料として初年度は100%無料、そして2年目では50%を無料とするのに相当する50万ドルの割引をアイスランド航空に与えるとしています。

また、コロラド経済開発委員会ではアイスランド航空社の今回の直行便に関する営業費の20万ドルまでの償還を与える事になっています。

デンバー国際空港当局の試算ではこのアイスランド航空の便は年間で旅客収入として1900万ドルそして旅行業者給与として900万ドルの経済効果をコロラドにもたらすとしており、33人分の直接雇用を含む合計300名の新規雇用をもたらすとしています。

デンバー市長のMichael Hancock氏を団長とするデンバー市及びコロラド州からの行政及びビジネス界のリーダー達のグループはこの直行便のスタートに先駆けて1週間にわたり今回の直行便の開設に伴う経済開拓の可能性についてアイスランド側との検討会議をもって、5月10日(木)の夜にデンバーへ到着のアイスランド航空の航空機でデンバー国際空港へ戻ってきました。

そして、このアイスランドからの便にはアイスランド側のデンバー訪問団の人達も同乗しており、今度はデンバーで約1週間の打ち合わせ会議を持つ予定となっています。

デンバー国際空港と日本の成田空港とを結ぶ直行便の計画をユナイテッド航空が発表

デンバー空港と海外の主要都市を結ぶ直行便の開設は10年ぶりでアイスランド航空のデンバー乗り入れで実現しましたが、依然として、デンバー国際空港開設以来の課題であり悲願となっている東アジアの主要都市の東京/成田や北京への直行便の開設は未達成となっています。

そうした中にあって以前よりデンバー市が注力して交渉を進めて来た日本の全日空(ANA)との直行便開設に関しては今年1月の初旬に全日空の会社役員を務める人がデンバー国際空港当局を訪問して挨拶をして、打ち合わせをもったというニュースがあって、いよいよ直航便開設の準備が始まるかと期待されましたが、その後4月下旬には、全日空社では成田空港とオレゴン州のPortland とを結ぶ直行便の開設を発表しており、それも最初年内はボーイング777を使って運行するが、来年始めからはボーイング787による便の運行を計る予定、との公表がなされて、現在ではやや全日空のデンバー/成田直行便の開設に付いては遠のいたと言う印象でいました。

ところがこの5月22日(火)にデンバーのダウンタウンにあるColorado Convenntion Centerに隣接しているDenver Performing Arts ComplexのGalleriaでのグループ会合の場で、ユナイテッド航空のJeff Smisek社長から突然の発表があって、同社では来年3月31日から成田空港からデンバー空港への直行便の一番機を飛ばす予定で、4月1日にはデンバー空港を出発して成田へ向かう直行便の一番機が飛ぶ計画であるとの報告をしています。

さらに、この実施は日米両国政府の航空協定に基づく承認が必要であるが、このデンバーから成田への直行便は成田空港をハブとしているユナイテッド航空とそのスターアライアンスパートナーの全日空とでアジアの21の主要都市への直行便で接続される様になる、としています。

この会合にはデンバー市長のMichael Hancockも招かれて出席しており、「このユナイテッド航空のデンバー空港と成田空港の間の直航便開設は新たな仕事を産み出し、年間1億3000万ドルの経済波及効果をもたらすとともに、新たなビジネス創出の助けとなる。デンバーのドアーをアジアに向けて開く経済開発計画の勝利と言える。」としています。

この直行便のタイムスケジュールも既に折り込まれているものとみえて、同時に発表されています。

出発空港 到着空港 飛行時間
デンバー
11:55 am発
成田
3:00 pm着(Next Day)
12時間05分
成田
4:40 pm発
デンバー
12:30 pm着(Same Day)
10時間50分

そして、

標準飛行距離 5,788マイル(9,313km)
基本航空券料金 往復 980ドル
使用機体 Boeing 787 Dreamliner
機体座席構成 ビジネスクラス 36席
エコノミークラス 183席 合計 219席

などと公表しています。

オイオイ、話が違うんじゃあないかい?ユナイテッド航空がChapter 11の適用となったり、コンチネンタル航空との合併に手間取ったりしているので、とてもデンバー/成田間の直行便を新たに開設するのは無理と言うことで、そのスターアライアンスパートナーの全日空へデンバー市としてはこれまで働きかけをして来たのではなかったのでは?

さらに、時を同じくしてボーイング社で開発が進んでいた成田/デンバー間の直行便に最適とされているBoeing 787 Dreamliner機の発注一番客が全日空で、それも50機もの一括発注をしたと言う事だったので、ユナイテッド航空への787型機導入は大幅に遅れそうだから全日空へのアプローチにデンバー市としては舵をとったのではなかったのだろうか?と言う様な疑問が残ります。

もともとデンバー空港はユナイテッド航空が一番多く使用している主要ハブ空港であり、国内線だけについて見てみるとデンバー空港全体の41%の乗客をユナイテッド航空が扱っており、デンバーからアメリカの主要各都市へ接続便には事欠かないので、ユナイテッド航空が成田との直行便を飛ばしてくれるのが自然な成り行きですが、成田空港にしてみれば全日空がデンバーへの直行便を開設した方が良いと判断出来なかったのでしょうか?

現在でもユナイテッド航空と全日空とは日米間の多くの便で「協同運行便」と言う名称でユナイテッド航空の運行機体を両社の乗客をシェアして飛ばしているので、今度の直行便も両社の協同運行便となるのではないだろうか? などと勘ぐってしまいます。

ちなみに、昨年末のデンバー市からの全日空訪問団では、全日空に対してこの直行便の開設インセンテイブとして、合計約150万ドルのパッケージとして市場開拓資金とデンバー空港への着陸利用費用の2年間分にあたる約60万ドルを含むオファーをしています。

一方、今回のユナイテッド航空の直行便開設ではその様なインセンテイブをデンバー市としては考えていない様ですが、その代わりと言う訳ではないでしょうが、先に懸案となっているユナイテッド航空が使用しているデンバー空港内の建物にかかる1便当たり4ドル50セントの連邦航空乗客施設税の約1億ドルが未払いとなっていて、それをデンバー空港が肩代わりして連邦政府へ支払うという交渉が行われて来ています。

そうなるとユナイテッド航空は年間で2,200万ドルの空港使用リース代の軽減を受ける事となり、デンバー空港側がそれに同意しようと言う事になりましたが、今度は同空港の2番目のSouthwest 航空と3番目のFrontier航空の2社が、それは空港を使用している特定の1社に有利な条件を与える事になり連邦航空局のルールに違反している、と抗議して、両社もその運用便数に応じた空港リース代の軽減を受ける事となりそう、といった事が平行して起きています。

話がややこしくなりましたが、何れにしてもデンバー地区に住んでいて日本へ行く機会のある私としてはこの直行便の開設の知らせは大変有り難い事で、特に今迄デンバーからシアトルを経由して成田へ向かう便を利用しているので、シアトルでの乗り換えや、それに費やす時間、そして過去2回経験しているデンバーを発ってシアトルへ着いたら成田へ行く航空機がメカニカルプロブレムでキャンセルとなりシアトル空港の近くのホテルで1泊して翌日の便で成田へ向かった、と言う様な事もありトータルのデンバー/成田間の時間が大幅に短くなると言うのは大歓迎です。

また、日本からスキーを担いでコロラドのスキー場で冬の期間のスキーを楽しもうとする人達にとっては途中の乗り継ぎが無く、スキー専用の受け渡しターンテーブルの備えてあるデンバー空港へ来ると言う事で、うまくするとコロラドの各スキー場は日本からの多勢のスキー客を確保する事になるかもしれません。

『コーヒーは長命に通じる?』

日本でも最近は日常的にコーヒーを飲む人口がかなり増えていると思いますが、アメリカではコーヒーを毎日の不可欠な飲み物としている人が以前から多い為でしょうか、「コーヒーは身体に良いか?悪いか?」といった医学的な見地からの調査がかなり真剣に行なわれて、報告されています。

ファミリーレストランチェーンVillage Innの特別コーヒー
デンバー地区に多くのチェーン店を有するVillage Innで昨年秋から今年の5月末迄の間ちょっと良い味を楽しみたいお客向けにオファーしていた特別コーヒーのメニュー写真です。「プレミアム ダークロースト コーヒー」と呼んでガラス製のコーヒーカップが出てきます。一杯が2ドル19セントです。このVillage Inn店で出している通常のコーヒーは陶磁器製のコーヒーカップにおかわりOKで1ドルですから2倍以上の価格ですが、ふっとまた飲みたくなる味と香りを手軽に楽しめます。6月に入って夏向きに嗜好が変わる特製アイスコーヒーにこのメニュー写真が変わりました。

一般的にコーヒーに含まれるカフェインの効能とか、酸化防止要素が身体に良いとも言われていますが、一方で微量に含まれる成分がガンの発生にリンクしているのだとも言われています。また、コーヒーを飲むと血液中の悪玉コレステロールLDLが上昇し、少なくとも短時間の血圧上昇があるので心臓病への危険度が高いのだとも言われています。

したがって、毎日多量に飲まないで適量であれば良いのだという一般的な認識となっている様です。

最近のコーヒーと寿命との関係を対象人員がなんと40万人という大規模な調査を行なったNational Institute of HealthとAARP(老人を対象とした健康保険会社)の協同作業による結果が5月17日(木)号のNew England Journal of Medicine誌に掲載されています。

そのレポートによりますと、コーヒー飲みの人は一般的にコーヒーを飲まない人に比べてタバコを吸う人が多い、アルコール類を好んで飲む、赤身の牛肉類を食べる、そして日常の運動は飲まない人に比べて少ない、と言った傾向があるので、その事を設定に入れて調査してみると、「一日に数杯のコーヒーを飲む人は飲まない人に比べて長命だ!」という結果の報告となっています。

多くの食事と健康の調査がそうである様に調査対象の人達を外から観察する事に方法が限られていますので、原因とその結果の因果関係から証明すると言う事は出来ません。

ファミリーレストランVillage Innを外から見た様子
アメリカの人たちが食事の後に楽しむものにパイがありますが、このVillage Innではアップルパイを始めとして、いろいろな数多くの種類のパイを各チェーン店で揃えていて販売しています。食事無しでパイのみを買いに来るお客もかなりいます。また、毎週水曜日は「Free Pai Day」で食事をしたお客には1スライスの好みのパイを無料で出してくれます。食後にコーヒーとパイで口直しをするアメリカの習慣です。

しかしながら、「今回の調査は非常に多数の人々を対象に10年間以上の期間にわたって調べており、多くの死亡のケースとの比較も出来ているので、多分、今迄で一番良い検証結果が得られたと思う。」とハーバード大学のSchool of Public Health校のFrank Hu教授は言っています。

Hu教授は今回の調査研究には関わってはいませんが、前回の同様な調査を行った時のリーダーだった人で、前回の調査の時にもコーヒーの効用を見出しているレポートとなっています。

今回の調査研究は1995年から保険会社のAARP社の老人保険に加入している人々からカリフォルニア州、ルイジアナ州、ニュジャージー州、ノースカロライナ州、ペンシルベニア州の各州に住む人、そしてAtlanta及びDetroit の町に住む人を対象に行いました。

その時点で既に心臓病による発作やガンを発症していた人は除外しています。また、日常の食物摂取が極端な人で一日の摂取総カロリーが多すぎる人、および少なすぎる人も対象から外しています。

その他にはこの調査がスタートするにあたってコーヒーを日常的に飲んでいる人で生涯かなりコンスタントなコーヒー飲みの人達を対象としました。

Village Innの室内看板
店の入り口の壁に掲示されているVillage Innの看板です。1958年の創業と言いますから今から54年前にその1号店が始まったとしています。スタートはパンケーキハウスだった様です。

調査対象となった合計402,260名の人々のうち約42,000名がコーヒーを全く飲まない人達で、15,000名の人は一日に6カップ以上を飲んでいるヘビードリンカーとなっていて、残りの殆どの人は1日に2カップ又は3カップを飲んでいる人達となっています。

調査が開始されてから、2008年迄の間に約52,000名の人達が亡くなっており、そのうちの2カップ又は3カップ飲んでいた人の比率は10%少なくなっています。

そして、その傾向はどの死亡した年齢別の比較でも同様な結果を示しました。

女性について見てみると13%死亡した人の比率が少なくなっており、最も死亡した人数比率で差が現れているのは、女性の一日4カップから5カップのコーヒーを飲んでいる人達で16%少ない比率となっています。

一日にたったの1カップと言う人の場合でも少ない比率差ではありますが、男性で6%少なく、女性で5%死亡のリスクが低いと言う結果となりました。

マクドナルドレストランのDrive Throughのメニュー看板
日本でもお馴染みのマクドナルド店の自動車に乗ったまま購入するドライブスルーのメニュー表示版の飲み物部分です。Premium Roast CoffeeはSmall、Midium、Largeの3種類が選べてそれぞれの価格は1ドル、1ドル49セント、1ドル99セントとなっています。

しかしながら、「コーヒーを飲むことにより何年寿命がのびるのか?」という疑問にはこのレポートは答えていません。

この疑問に答えられない理由としてタバコの喫煙が寿命を大きく左右するファクターとなっており、コーヒーによる寿命効果を判定出来なくしているからだとしています。

一般的にコーヒー飲みの人は心臓または呼吸器系の病気、発作、糖尿病、怪我、事故、感染などにより死亡するケースは低く、ガンによる死亡への影響は見られないとしており、調査対象となった約2/3の人達はレギュラーコーヒーを飲んでおり、残りの人達はデキャフェ(カフェインレス)コーヒーを飲んでいてコーヒーのこうしたタイプの差は見られなかったとしています。

また、先のHu教授はコーヒー好きの人々へのアドバイスとして次の様に言っています。

  • コーヒーに入れる砂糖やクリームに注意する事。その余分なカロリーや脂肪分はコーヒーの効能を妨げる事になる。
  • 煮出し型のコーヒーよりもフィルター型のコーヒーを飲む様にする事。フィルターにより悪玉コレステロールLDLの体内での上昇をさそう成分が除かれるので良い。

今回のコーヒー飲みの寿命に関する調査研究報告はStarbacks Coffeeなどのコーヒー関連業界に味方する結果となっていますが、私自身は「コーヒーを飲む人は飲まない人に比べて一般的に積極的な生活パターンをするので、多少の悪玉コレステロールの上昇があっても、それを克服して年をとっても元気に日常生活を送っている人が多い。」と言う事なのではないかと思います。

皆さんはどうおもわれますか?

あとがき:「Jiro Dreams of Sushi 」映画のその後

デンバー地区でのこの映画の上映の様子に付いて、先のこの「コロラド紀行」でお伝えしましたが、その後デンバー地区では, Landmark Theatres グループの映画館Mayan TheatreからChez Artisteへと上映館が移って1週間上映されていましたが、5月14日(月)からは、今度はデンバーの 町を東西に横断している主要通りのColfax Avenueに面している「Denver Film Center」に在る複合映画館「Lowenstein CulturePlex」の一つで1日に2回午後2時15分からと午後4時40分からの上映が継続して行なわれています。

このDenver Film Center映画館はその看板に「Home of Denver Film Society」と掲示していて、毎年開催されているデンバー映画祭「Starz Denver Film Festival」を主催する映画愛好会のグループを主催している映画館で、いよいよJiro Dreams of Sushi 映画が映画マニア対象の上映になって来たという感じです。

そして、このDenver Film Center の広告によると5月24日迄の間Jiro Dreams of Sushiは上映されるとなっていましたが、その通り5月25日(金)からは別の映画に切り替わって、これでデンバー地区での『すきやばし次郎』の映画の上映は終了した模様です。

WRITER PROFILE

萩原正喜

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。