[ファイルベース収録カメラ最新案内]特別編 キヤノンXF300/305開発者が語る

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[ファイルベース収録カメラ最新案内]特別編 キヤノンXF300/305開発者が語る

2010-06-11 掲載

[ファイルベース収録カメラ最新案内]特別編 キヤノンXF300/305開発者が語る

ファイルベース収録カメラシリーズとして、今回は、実際にXF300/305を開発者に話を聞く事が出来た。前回、前々回と合わせて読んでいただければ幸いだ。

XF300/305はどうやって完成したのか?

XF300/305は、他社の多くが採用している24MbpsのAVCHDや25MbpsのHDVといった420の記録フォーマットではなく50Mbpsの422を採用することで、ハイクォリティな収録を可能としている。それに伴い新設計のレンズやCMOS撮像素子、画像処理エンジンDIGIC DV Ⅲを搭載するなど、随所に従来の業務用小型ビデオカメラの常識を覆す高画質化が図られている。今回XF300/305を開発したキヤノンの技術者の方々にお話をお伺いする機会があり、製品開発担当の今泉和宏氏と画像処理開発担当の野澤慎吾氏、レンズ開発担当の堀内昭永氏および商品企画担当の佐竹善文氏にお話をうかがった。

IMG_1084.jpg左から製品開発担当の今泉和宏氏、画像処理開発担当の野澤慎吾氏、レンズ開発担当の堀内昭永氏

記録フォーマットにMPEG2 422P@HLを採用した理由について今泉氏は

「すでに各社から小型ビデオカメラが多数発売されています。キヤノンとしては小型ビデオカメラといえども画質にこだわった作りにしていこうと思ったわけです。もちろん後発ということもありますが、キヤノンらしさを画質に求めたわけです。また、業務用カメラという位置づけから、撮影してきれいに見られればいいというだけでなく、編集の容易さも考慮しています。一時期ほどAVCHDの編集は重たくなくなりましたが、高性能なマシーンスペックが要求されるなど、今までの制作環境を大幅に変更しなくても対応できるようにという配慮です。さらに、MXFにも対応していますので、ハイエンドのユーザーの方々にも納得していただける仕様になっていると思っています」

MPEG2 422P@HLといえば、放送局仕様のカメラで採用されているフォーマットで、AVCHDよりフォーマットとしての歴史は古く、いわば定着したフォーマットということができる。したがって、編集側の対応もすでに出来上がっている。

もともと、小型ビデオカメラにAVCHDやHDVが採用された経緯には画質の割にはファイルサイズがコンパクトにすることができ、当初高価だったメモリーを有効に使用するということとメモリーの転送レートの限界があったからといえるだろう。現在では、容量の大きなメモリーも手ごろな価格になったほか、転送レートも高速なものが容易に入手できるようになり、業務用レベルで使用するにはかなり身近になったといえる。こうした現状を考えるとMPEG2 422P@HLの採用はタイムリーといえると思う。

もちろん、画質より記録時間のほうが優先される現場もあり、35Mbpsと25Mbpsの記録モードも選択できるようになっている(いずれも420記録のみ)。民生用の小型ビデオカメラでは、記録媒体としてSDメモリーを採用している製品が多いが、XF300/305では、コンパクトフラッシュメモリーカード(CF)を採用している。CFメモリーはRED ONEや、nanoFlashなどハイエンドのカメラやレコーダーでは一般に採用されている。これは、業務用としての信頼性を考慮してのことだろう。こうしたポリシーは一眼レフカメラでも同様で、EOS-1D Mark IV、EOS 5D Mark II、EOS 7DといったハイエンドモデルにはCFメモリーをEOS KissといったエントリーモデルにはSDメモリーを採用している。

光学系の高画質化への道

さて、こうした記録系を採用するとカメラ部やレンズ系など撮像系もそれに見合った性能のものが必要になってくるわけだが、まずはレンズ設計担当の堀内氏に光学系の高画質化に関してお話を伺った。

「キヤノンは、放送局用のレンズを多数ラインナップしていますので、その中から適当なものを選んで組み込んでしまえば簡単じゃないか。という発想をされる方もいるかもしれません。たしかにそれができれば、簡単なんですが小型ビデオカメラに組み込むには、サイズや質量的に無理があります。
また、オートフォーカスや手振れ補正などENGレンズにはない機能を搭載する必要もあります。アイリスやズームなどの駆動機構も異なりますので、ENG用のレンズを簡単に流用するわけにはいきません。
ただ、キヤノンは長年放送局用のレンズを設計していますので、今回もXF300/305にはそこで培った技術を随所に取り入れています。たとえば、放送用レンズで使われている異常分散特性をもつHi-UD(High Index UD)レンズやUA(超高屈折率ガラスモールド非球面)レンズ(こちらは主にコンパクトデジタルカメラ用レンズに搭載)の採用のほか、小絞りでも円形に近い開口の金属製の絞り、蒸着タイプのガラスNDフィルターなどです。
もちろんこのカメラ用にレンズは新たに設計しています。こうした技術によって周辺部まで高いMTFを実現しているほか、色収差も最小限に抑えています。特にXF300/305で採用している記録フォーマットは色の解像度が高いので、色収差には気を使って設計しています。また、オプションとしてワイドアタッチメントレンズを用意していますが、マスターレンズの設計値を元に最適化した設計をしており、ワイドアタッチメントレンズを装着したことによる画質低下もほとんどありません」
WA-H82.jpg ワイドアタッチメント WA-H82

放送用ビデオのレンズのほか、一眼レフカメラおよびそのレンズなど長年の技術が結集したレンズを搭載しているといえよう。実際PRONEWSのレビューでもあら捜しのため、難しいシーンをいくつも撮影したが、欠点をほとんど見つけることができなかった。

IMG_1074.jpg 新開発の総画素数約237万画素のCMOSセンサー

高画質化には電気回路も重要な役割を担っている。画像処理を担当する野澤氏は

「画像の入り口である素子には新たに総画素数約237万画素のCMOSを採用することで、高いダイナミックレンジを確保するとともに、走査速度の高速化により、CMOSの欠点といわれているローリングシャッター歪を最小限に低減しています。
画像処理エンジンには業務用ビデオカメラとしては初めてDIGIC DV Ⅲを搭載しました。これにより、充分なダイナミックレンジを確保することができ、ガンマやニー、カラーマトリックスなどの設定のほか、シャープネスやノイズリダクション、スキンディテールといった機能を実現しています。
ちなみにXF300/305は3板式のビデオカメラなので、DIGIC DV Ⅲを3個使用しているかというとそういうことはなく1個でこうした処理を行っています」

実は、具体的に何bitとか何dBといった数値がお伺いしたかったのだが、非公開になっていますとあっさりかわされてしまった。特にDIGIC DV Ⅲによりどのように高画質化されるかはトップシークレットらしく、非常に複雑な演算を独自のアルゴリズムと高速化により実現しているとのことであった。思えばDIGIC DV Ⅲは、業務用ビデオカメラから民生用ビデオカメラまで広範に採用されている、いわばキヤノンの画像処理を担うキーデバイスであり、些細な発言でもその内部が類推されたり、公表した数値が一人歩きするようなことはあってはならないということなのだろう。

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[ Writer : 稲田出 ]
[ DATE : 2010-06-11 ]
[ TAG : Canon XF300 XF305 ファイルベース収録カメラ最新案内 ]

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