4Kそして8K関連製品が充実するプライベートショー

さる6月19~20日の2日間、東京・南雪谷のアストロデザイン本社において「アストロデザインプライベートショー2014」が開催された。今年は開発中の8K対応98インチおよび85インチモニターのほか、新製品として4KプレイヤーHR-7216や字幕モニターDM-3019-G / DM-3021-G、MMTアナライザーSP-5800、MPEG Multi Box CX-5540などが出展された。また、4KウェーブフォームモニターWM-3206 / WM-3206-A、8K・4K SSDレコーダーHR-7512-C、4K&HDフレームメモリボードGG-167-4K / GG-167-HD、デジタルビデオ信号発生器VG-876など、バージョンアップされた製品も披露された。会場は、8Kコーナーや4Kのほかに、測定機器などいくつかのジャンルに分けられているが、例年に増して8K関連製品が充実しており、制作に必要なカメラやレコーダーのほか、製品開発に必要な測定機器なども披露された。

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NTTフレッツ光による4K映像配信のデモ。H.265/HEVC、AACにより映像35Mbps、音声128Kbpsで4K(3840×2160)60pのコンテンツを伝送

2016年に4K、東京オリンピックの開催される2020年には8Kの放送が開始される予定となっており、すでにNHKはもちろんのことNTTやKDDI、ケーブルテレビ事業者などが伝送実験を行っているほか、4Kに関しては一般向けのテレビがすでに発売されている。4K8Kの放送は、現行の放送との整合を図りながらCSやBSのほか、ケーブルテレビやIPTVでの放送が開始されることになる。すでに、現行のH.264の約2倍の圧縮性能をもったHEVCの標準化が終了しITU-TのH.265として決定されており、こうした符号化方式を利用した放送が行われることになっている。

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8K編集システムの構成図。ほかにも撮影システムなど様々な8Kシステムを展開

アストロデザインはHDの創世記でもNHKとの共同開発で様々な機器開発を行ってきたが、4Kからは更にその幅を広げ、レコーダーやカメラ、伝送機器や各種測定機器を開発している。4Kはすでに民生機を含めて様々な製品が市販されており、今年の同社の内覧会では、その先の8K関連の機材が多く見受けられた。これは、常に最先端の機器開発を行うという同社のポリシーに沿ったものといえるが、撮影機材から収録、伝送や測定機器までを手がけている同社ならではの展示会といえ、8Kの将来を占う上では必見の展示会といえる。

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開発中の8K対応98インチモニターDM-3812。同社の8Kカメラを使って仮設スタジオのディスプレーを撮影、上映していたモニターのインターフェースはARIB STD-B58のオプティカル

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上映された画面の一部

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8K対応85インチモニターDM-3811。7680×4320フレームレート60Hzに対応。インターフェースは光のほかHD-SDIを搭載。同社はカメラやレコーダーなど8K製品をそろえているということもあり、そうした機材を使用して和歌山県串本海中公園で撮影された8K非圧縮の水中撮影コンテンツなどを上映していた

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8K120p対応のカメラヘッドAH-4801-A。技術展示となっているが、先のNHK技研展でも披露されている。インターフェースが光ファイバーになり、CCUなどとの接続が以前に比べて容易になった

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8K SSDレコーダーHR-7516。256MBのSSDを8枚内蔵した専用記録メディアに1/4.5圧縮時約50分、1/8圧縮時60分以上の記録が可能。独自RAWフォーマットによる動画圧縮技術を採用している

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スーパーハイビジョン8K光伝送装置AT-4803。CCUアダプターAR-4804と接続することで、送り返しや音声、インカム、タリーなどに対応

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スーパーハイビジョン8K非圧縮SSDレコーダーHR-7512-C。8K / 4K映像信号を録画・再生可能な非圧縮SSDレコーダーで、最大100分の8K非圧縮記録が可能(DG-SHV(Dual Green-Super HiVision) / 60p)。また、ループ再生、逆転再生などの機能も搭載されている

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スーパーハイビジョン8K色域変換装置VP-8208。ガンマ補正、リニアマトリクス、アパーチャー補正などDG-SHVの色変換が可能。ITU-R BT.709とBT.2020の相互変換に対応

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スーパーハイビジョン8K CCUカメラコントロールユニットAC-4802&光伝送装置CCUアダプターAR-4804。カメラアダプターAT-4803からの信号をAR-4804で受け、AC-4802で各種コントロールを行う。AC-4802からはDG-SHV出力のほか、モニタリング用に4KやHDの出力が可能

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マルチメディアスキャンコンバーターMC-2085。マルチ画面対応の映像プロセッサーで、3G / HD / SD-SDIのほか、DVIやVGA、DisplayPortなど様々な信号に対応可能。4096×4320 / 60p、8192×2160 / 60pによるマルチ画面上に任意の入力信号の画像を任意のサイズおよび位置に表示することができる

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フルHD高解像度電子ビューファインダーDF-3512。1920×1080の有機ELを表示デバイスとして採用。2倍、4倍拡大表示によるフォーカスアシスト機能やピーキング、マーカー表示などに対応

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17インチ4KウェーブフォームモニターWM-3206。ピクチャー、ウェーブ、ベクトル、ヒストグラム、ステータス表示に対応している。画面を4分割して自由なレイアウトで表示できるほか、HD / Dual Link / 3G-SDI入力信号に対応している。パネルの解像度は1280×768

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12インチ4K対応モニターDM-3413。3840×2160のパネルを採用した4K対応モニターで、3G-SDI Level-A / B入力を装備している。2倍4倍の拡大表示が可能なほか、オプションで波形表示が可能

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4K画像から任意の範囲の2K画像を抽出することが可能な2K4K切り出し装置。。抽出箇所はジョイスティックで選択できるようになっている

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メディアインテグレーターMI-2100やスーパーハイビジョン8K非圧縮SSDレコーダーHR-7512-Cなどで構成されたHD4面(8640☓1080)ウルトラワイドビデオウォールシステム。MI-2100により、8Kや4KのほかHD、SDなど様々な入力機器の対応

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メディアインテグレーターMI-2100。68ch対応HDCP対応デジタルマトリックススイッチャー。スキャンコンバーター機能を搭載しており、HDCP対応のCVIやSD / HD / 3G-SDI、VGA、コンポーネント、コンポジットなどの入力インターフェースボードを装着することで様々な信号に対応できる。ビデオウォールや操作卓のモニターなどを一元管理できるほか、スケジュール送出などに対応している

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ラウドネスモニターAM-3807-A。ARIB TR-B32(ITU-R BS.1770規格)に対応したラウドネスモニターで、オーディオレベル、サラウンド・リサージュや映像ピクチャー表示などが可能

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AM-3807-Aは今回のアップデートでスペクトラムアナライザー機能や針メーター表示が可能になった

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非圧縮映像出力対応4KプレイヤーHR-7216。PCベースの動画再生装置でDPX、TGA、BMPなどの画像ファイルを独自形式に変換し再生。4K60p時で約20秒再生可能なタイプと約20分再生可能なタイプがある。出力は3G-SDI/HD-SDIに対応

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字幕モニターDM-3019-G / DM-3021-G。字幕表示に対応した9インチDM-3019-Gおよび17インチDM-3021-Gの2タイプが有り、いずれも字幕表示に特化したモニター。HD字幕、SD字幕、アナログ字幕、携帯字幕、外字(DRCS)のほか、字幕表示と同時にCSパケットをモニターすることが可能。字幕付きCM素材搬入ガイドラインに準拠したCMチェックに対応しており、合否判定やエラー内容の表示、トリガー機能によるCMチェックの自動化に対応。ARIB STD-B39準拠の放送局間制御信号とARIB TR-B23準拠のCMコードのデコード表示に対応している

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MMTアナライザーSP-5800。8Kや4Kの伝送規格として検討が進められているMMT・TLV多重化方式のストリームをリアルタイムに解析するWindowsアプリケーション。MMTはMPEG Media Transport、MPEG-2 Transport Streamに続く次世代の伝送規格(ISO / IEC23008-1)として標準化が進められているもの

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8K4K対応ビデオ信号発生器VG-876。最大4つの出力ユニットの搭載が可能で、HDMIやDisplayPort、V-by-One HS、3G-SDIなどの最新インターフェースに対応。最大8K×4Kのフラットパネルディスプレーなどの表示デバイスの評価に対応できる。8K×4K 30Hz、4K×2K 120Hz、FHD 240Hzなど高速信号伝送をサポートしている

WRITER PROFILE

稲田出

稲田出

映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。