怒濤の4日間

会期中の詳細レポートは様々な形で見ていただいたと思う。今回は最終日の様子とNABのまとめ的な話にしよう。最終日の課題は、自分の目で好きなものを見る事。基本的に会期中は他メンバー収録がメインとなっており、自分の好きなものは偶然でしか被らない。自分のタスクがジャーナリストと言うよりもレポートカメラマン的なポジションなので当然で、他のメンバーの面白い情報をコッソリと見られるのは楽しいものだが、最終日は出来るだけ自分の好きな分野を見る日なのである。

今年はチームの人数も少なく同時に映像も少ないので、石川氏のブラリをしつつ、拡大版的な感じで全体を改めて見直して見るような方向でスタート。定番レポートはスイッチャー侍こと小寺信良氏の出番だが、今年は残念ながら参加していないのでド定番の事を忘れてしまっている。と言う事でまずは定番から。

SONY

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F55やFS700+4Kレコーダー、更にPMW-400と言うENGカメラの発表もあったが、イマイチ元気があるのかないのか微妙だった今年のSONY。既に機材はお腹いっぱいな感があるが、開発中の細かいテクノロジーや機器には中々面白い物があった。

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まずはIP伝送系のシステム。既にサラッと紹介したXDCAMワークフローの小型電送システム。電送というより携帯回線を使っての映像発信も考えると、最近これらの事を組み合わせた物が多く登場している。

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SONYは昨年のNABでIP55なる製品を発表し今年の2月には発売しているが、今回のNABでひっそりと展示されていたのが、このIP55を凝縮してワンチップ化した基盤。ココまで小さくなればハンディカムにも組み込めるし、チップ化することにより消費電力も抑えられる。この技術は大手メーカーならではの物だ。来年が楽しみになってきた。

Canon

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サードパーティーから4Kレコーダーが登場したお陰で、C500がようやく4Kの表舞台に上がってきたが、NABでは単純にシネマに使うのではなくTV等のスタジオ収録でマルチカメラとしてのソリューション迄を多く提案しているのは意外だった。勿論本来の使い方(?)も含めたグレーディングの実演や、1 DCで動画を収録しながら同時に静止画も切り抜くという、今まではREDの十八番だったワークフローも中々面白く、今後はこの方法も十分アリと感じる事が出来た。

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4Kモニターやシネレンズ等々、昨年のような見た目の派手さは少なくなったが、中身で勝負とは当に今年のCanonのことかも知れない。とは言え、チョット個人的に予測していたEOS C50や5D Cと言ったシネマ下位機種の発表や展示はなく、今後に期待したい。

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JVC

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JVCはハードよりもソフトやワークフローがメインの展示となった。既にユーザーの膨大なリクエストを集計し、定期的なファームのバージョンアップにより完全体への進化を突き進んでいるGY-HM650は、今回のファームアップで遂に携帯回線を使っての電送(配信)が出来るようになった。この技術はSONYはBOXと言う形でお目見えしたが、こちらは既にカメラに組込済み。今後の業務用カメラはこの装備がデフォルトになる気がしてきた。

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カメコンとしてハードウェアではHM750・790用の物は紹介したがGY-HM650用でWi-Fiコントロールソフトがかなり大幅に変わり、ズームは元よりフォーカス、アイリス、WB(色温度)、アサインボタン呼び出し等必要にして十分な機能が搭載された。勿論スマートフォン等で映像確認も出来るのでその利用範囲はかなり広いはずだ。

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また民生機ベースではあるがセミショルダー型のHM70の実機展示もあった。このカメラは各メーカー1機種はラインナップされている所謂ハリボテ系のカメラだが、撮影場所によっては十分に必要とされる。予算は少ないがクライアントの手前見栄えを良くしたいと言うような現場では当にうってつけ!ブライダル等で女性に担いで貰うと見た目も相まって効果的だと思われる。

Panasonic・Ikegami

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パナソニックは筆者的には今年もやや残念な展示と言う形になってしまった。4KハンドヘルドやマイクロP2等の展示はあれど、モックやショーケースの中で実際に手にとってその操作感は感じることが出来なかった。若干ブースも小さくなったのかも知れない。

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Ikegamiは一昨年M4/3をENGに組み込んだ大判ENGを発表しつつも次年度には進化系もなく、終わってしまったかのように思われたが、今年はARRIの技術と共にまた大判ENGカメラを出展してきた。今回はかなり本気なのかENGボディに思いっきり大判撮像板を思わせる様な出っ張りのある筐体と、カメコンを使ったスタジオ運営を展示してきた。これがかなり良い出来で、流石技術の池上の復活を感じる。このままこのモデルは是非進化して大判スタジオカメラのポジションを気づいて欲しい。

エトセトラ…

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BMDは今年もやってくれた、4Kカメラに4Kスイッチャーを有り得ない価格で発表をしてきた。この感じでは実売200万円程度で4Kの3カメ・スイッチングソリューションが出来てしまう。ホントに業界の価格破壊メーカーだ。

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今度はポケットシネマカメラ的なコンパクトシネマカメラを登場させた。見た目は某コンデジにそっくりな小さい筐体は手のひらにピッタリで女子カメラならぬ、女子シネマカメラとして運用出来そう?ウチの娘に持たせても面白そうだ。しかしこの形で写真は一切撮れない!と言う割り切りもまたBMDらしい。

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国内では既に発表になったLibec RSプラスシリーズの初登場!ビンテン・ハトラーユーザーからも絶賛を頂いたらしいがそれは当たり前のこと。日本の工業製品の精度がしっかり出れば世界一なのは明らかで、ビンテンのバランスとハトラーのドラッグの粘りを持っていて悪いわけがない。世界の土俵に登り肩を並べた後はNo.1に向かって新機構を是非装備して欲しい。そう言えば営業のS氏がHootersで無茶苦茶弾けて居たのは内緒にしておこうw

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FOR-AのHANABIが凄いことになってきた。機能は折り紙付きの同スイッチャーが、価格がグンと下がっての登場。今まで完全な放送用機材として君臨してきたスイッチャーだが、手を伸ばせば届く範囲になってきてしまった。コレは大変な事。是非スイッチャー侍に斬って欲しい一品だ。

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何だかんだで最近Smokeに注目している筆者だが、今回のオートデスク取材でSmokeデモをVF越しに見ていて、その解りやすいデモにビックリ!通常使っているEDIUSと共にこの環境は揃えてみたい。

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もう国内海外問わず、映像系コンベンションには絶対にいるランサーリンク渡辺氏。たった1人でブースを出展し、自分の作った製品をアピールする姿は本当に格好いい!これからも、世界中にスカイウェイブを売り込んで欲しい。

総評

今年はいつものスイッチャー侍とは離れ、今や重鎮映像ジャーナリストの石川氏と共に渡米したが、面白いことが沢山あった。この事はまた別の機会に紹介出来ればと思う。また今回のNABは日本からの視察(参加)された方がかなり多く感じた。レジスト待ちの行列を見ると「こんなに!?」と思えるほど多かった。とはいえ、会場内では殆ど見かけなくなる。それだけ展示ホールが大きいと言う事だ。NABは実際に来ないと解らないことばかりなので、興味のある方は是非参加をお勧めしたい。来ればメーカーのロードマップや方向性が本当に良く解り、1年間機材をどうすれば良いのかも自ずと解るはず。

最後にこの写真を見て貰いたい。来年はこの様な不細工な事をする日本のTV報道局にはNABに来て欲しくない。日本の恥として世界中に知られてると言うことをしっかり自覚して欲しい物だ。

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エフェクトじゃなくて横切ったENGカメラと腕の間

おまけ

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忙殺されるNABで体力を支えてくれた肉、肉、肉www

WRITER PROFILE

岡英史

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。