©2014 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
取材:鍋 潤太郎 撮影:山下奈津子

はじめに

ここ、明るく楽しいロサンゼルス地方は、ハリウッドのお膝元とあって数々のメジャー映画スタジオが存在する。この映画スタジオの中には、一般向けに見学ツアーを実施しているところもある。例えばユニバーサル・スタジオのように、見学ツアーそのものをテーマパーク化してしまった映画スタジオもあれば、パラマウント・スタジオソニー・ピクチャーズ・スタジオ、そしてワーナー・ブラザーズ・スタジオのように「実際に映画スタジオの中を見学する」スタイルをとっているスタジオもある。今回は、その中でも人気が高い、ワーナー・ブラザーズ・スタジオの見学ツアーをご紹介してみる事にしよう。

どんなツアーなのか

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ワーナー・ブラザーズ・スタジオの見学ツアーは、「VIP Tour」という何とも仰々しいネーミングだ(笑)。しかし、週7日間、朝8時から夕方4時頃まで、15分間隔で実施されているのが嬉しい。事前予約制で、ホームページから予約しておけば誰でも参加する事が可能である。

まずは、バーバンクにあるワーナー・ブラザーズ・スタジオへと向かう。ツアー開始時刻の15分前には到着するよう、少し時間に余裕を持って出掛けたい。VIP Tourの集合場所は、Olive Aveに面したメインゲートから入るのではなく、スタジオ敷地の裏手にある。スタジオ正面に向かって左方向にあるRiverside Driveまでしばらく進み右折してすぐ、最初の信号の角に「VIP Tour&5番ゲート」の標識が見える。その通りがAvon St.なので、これを右折すると見学ツアーのオフィスがある(マップはコチラ)。車の場合は、専用駐車場に停める事が可能だ。

オフィスでレジストレーションを済ませると、いよいよ見学がスタートする。

本物の映画スタジオの中へ

NABE_vol47_02.jpg 12人乗りのカート。これに乗って映画スタジオ内を見学する
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VIP Tourの所要時間は約2時間で、かなり盛りだくさんの内容である。まずは小さな試写室へ通され、そこでワーナー・ブラザーズの90年に渡る歴史を紹介した映画を観る。これが終わると、外に出て12人乗りの専用カートに乗って、セキュリティ・ゲートをくぐって実際に映画スタジオの中へと入っていく。カートに乗ってスタジオを巡ると、なんだかとても臨場感がある。カートを運転するガイドさんは豊富な知識を持ち、見どころや歴史などを楽しく説明してくれる。

NABE_vol47_03.jpg ガイドさんの案内で、スタジオ内を見学
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NABE_vol47_04.jpg 各ステージには、これまで撮影されたTV&映画作品の名前が刻まれている
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■スタジオ・バックロット WB BACKLOT
NABE_vol47_05.jpg 映画「マスク」で機動隊が踊るシーンが撮影されたオープンセット
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まずはバックロットから。実際に撮影で使われているオープンセットの合間を通り、時折カートを止めては実際に建物の中に入って説明してくれる事もある。その昔、「グレムリン」(1984)で登場した広場や、ジム・キャリーのヒット作「マスク」(1994)で機動隊が踊ってしまうストリート等を見学する事が出来る。「ラストサムライ」(2003)で、銃弾に倒れた信忠(小山田真)をオールグレン(トム・クルーズ)が救出するシーンが撮影された人口池のセットや、「ジュラシック・パーク」(1993)でティラノサウルスに追われるシーンが撮影された道など、見どころ満載である。

NABE_vol47_06.jpg 「ラストサムライ」も撮影された人工池のセット。撮影時に水を満たして使用する。信忠の最期のシーンで、この木に見覚えがある方も多いはず
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また、かつて人気を博したドラマ「フレンズ」で使用されたセットも展示されている。現在放映中のドラマ「ビックバン★セオリー」や人気バラエティ「エレン」等の公開収録のセット等も(収録スケジュールと重ならなければ)見学する事が出来る。

NABE_vol47_07.jpg 「フレンズ」で実際に使用された、カフェのセット
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NABE_vol47_08.jpg プロップの部屋には、「ラストサムライ」の鎧も
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■映画のミュージアムWB MUSEUM
NABE_vol47_09.jpg 「ハリー・ポッター」の衣装も展示してあった
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続いて、「ハリウッドで唯一」と豪語されている映画のミュージアム、WBミュージアムへ。ここでは、往年の「カサブランカ」(1942)を始め、「バットマン」や「スーパーマン」、「ハリー・ポッター」など数々の名作シリーズで使用された衣装、小道具、クリーチャーなどを見る事が出来る。ここを訪れずしてワーナー見学は語れず(?)。

■映画に登場した車ミュージアム PICTURE CAR MUSEUM
NABE_vol47_10.jpg 歴代のバットモービルが拝める
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ここは数々のテレビ&映画に登場した名車が、6,300スクエアフィートの空間にドドーンと展示してあるミュージアムだ。「バットマン」シリーズ歴代の各バットモービルや、「ハリー・ポッターと秘密の部屋」で登場した空飛ぶ車、「マトリックス」で使用された車など、正にマニア垂涎もののミュージアムである。

■ギフトショップ VIP TOUR STORE
NABE_vol47_11.jpg レアな品が並ぶ、ギフトショップ
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ツアーの締め括りは、ツアー・ストアでのショッピング。ここでは、一般の店では手に入らない、レアなTV&映画関連グッズの数々が販売されている。「ディレクター」「アクター」と書かれたトレーナー、「フレンズ」のTシャツ、「ビックバン★セオリー」関連のグッズも充実していた。また、売店ではアニメ・キャラクターの名前のついたアイスクリームも販売されていた。ここでお土産を買って、ツアーは終了となる。

おわりに

このVIP Tourは12人まで1つのカートに乗れるので、人数が多い場合は2台以上に分かれて回る事になる。また、お子様は8歳以上であれば参加可能という事である。団体ツアーなどで人数が多い場合は、24人以上の大人数を対象としたGroup Tourも用意されている。こちらは1人あたりの金額が割引になるそうだ。

また、もっとじっくり見学したいという貴兄には、Deluxe Tourがおススメ。こちらは1人$250と少々値が張るが、5時間掛けてゆっくり映画スタジオを見学出来る。もちろん内容もよりディープで、小道具、衣装等を作るクラフト・ショップや、フォーリー(音効)・スタジオの見学に加え、映画スターも利用しているスタジオ内のレストランで食事を取る事も出来るという。

さて、駆け足でご紹介した「ワーナー・ブラザーズ・VIP Tour」だが、その内容はご理解頂けた事と思う。ご興味をお持ちの方は、次回ロサンゼルスを訪問される機会に、是非ともこの「VIP Tour」に挑戦されてみる事をおススメしたい。テーマパークではなく、本物の映画スタジオをカートで回り、自分の目で見て回れるのは貴重な経験になるはずである。

WRITER PROFILE

鍋潤太郎

鍋潤太郎

ロサンゼルス在住の映像ジャーナリスト。著書に「ハリウッドVFX業界就職の手引き」、「海外で働く日本人クリエイター」等がある。