[GDC2009レポート]Vol.02 モバイルゲームサミットを覗いてみると
2009-03-27 掲載
モバイルゲームサミット
モバイルゲームサミットはGDC開催初日から2日間で開催される。キーノートではエレクトリック・アーツ出身で現在ngmoco社CEOのNeil Young氏が登演、「Why the iPhone just changed everything(なぜiPhoneが全てを変えたか)」という題目で、昨年から爆発的にポピュラーになったiPhoneゲームについて、iPhoneがゲーム・コンソールとしてもたらした新しい市場へのビジョン、そして開発側の黎明期とそのポテンシャルを語った。ngmoco社は、昨年の6月に設立、iPhone専用のゲームを開発している。 翌月にはKPCBから五億円以上の出資があり、また最近では十億円の出資を投資会社2社から受けている。 昨年10月に最初の2タイトルをリリース、引き続き7タイトルをリリースし、どれも売上トップ10にランクされている。 Young氏は今回、市場、ゲーム、ゲームメイキング、パブリッシングの4つにおける大きな変化をトピックとして挙げた。 iPhone は今や、ニンテンドーDS、ソニーPSPに次ぐ第3の携帯ゲームプラットフォームと評されるまでになった。
今やゲーム機のスタンダード?iPhone/Touch
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| なぜiPhoneが全てを変えたか |
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| DSiとiPhoneの画面を比較してみると... |
Young氏は、iPhone/iTouchがゲームデバイスとして浸透したスピードが、DSやPSPよりも群を抜いていることをモーガンスタンリー社の統計グラフで説明、iPhoneは、そのユーザビリティとキャパビリティを持って、単なる通信デバイスではない新しい使い方を見出した、と語った。現在、iPhone ユーザーは世界で800万人。そして25000以上のアプリケーションがアップルストアで販売され、1千3百万人が毎日ダウンロードしている。そのうち60%がゲームタイトルだそうだ。統計によると毎日(平均)165つの新しいアプリケーションが登場しているという。この数は約一万人以上のデベロッパーが存在していることを表している。 その中からヒットするゲームを生み出すには何か秘訣があるのだろうか?Young氏は、良いクオリティのゲームが必ずしもヒットするとは限らないという。
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| Phone/iTouchがゲームデバイスとして浸透したスピードが、DSやPSPよりも群を抜いている |
講演では、ngmoco社のFPS「LiveFire」という、新しくリリースされたSDK 3.0を使った現在開発中のマルチプレイヤー対応のゲームの紹介もあった。これはwifi か3G ネットワークを介して複数人でゲームが楽しめる。実際に先週17日に開催されたアップル社のiPhone SDK3イベントで行ったデモンストレーションのビデオクリップを公開、また「Star Defense」という3D環境のゲームについても軽くふれた。Young氏は、カジュアルゲームやインディペンデントゲーム開発者にとって、iPhoneゲーム市場は非常に大きなチャンスだという。 他のプラットフォーム対応のデベロッパーズキットは高価なものだし、開発期間も開発費の負担も大きい。 しかしiPhoneのSDKキットは99ドルだ。それに加え新しいバージョン3.0では、VOIP、Push Notification Invites、アップルコマースが含まれ、今後市場のトレンドになるだろうオンライン(マルチプレイヤー対応)ゲームや、ソシアルネットワークとのつながりへも繰り広げられる。
では、今後生き残るためには? ngmoco社では、他の開発社と提携し、お互いの優れた技術を持ち合って新しいゲームを製作している。 またゲーム自身もライフサイクルが変わってきており、単体ではなく、アップグレード版でシリーズ化する「Rolando」を例におき、そのロードマップの紹介もあった。 最後にパブリッシングの変化としてアップルストアがカスタマーとゲームとの距離を縮めてくれたことを挙げ、そしてngmoco社が今後の戦略として焦点を置いているのは、引き続き優れたゲームの開発をしていくこと、そしてプラットフォームを通してより良いカスタマーとの距離になることで括られた。
リリース一週間でベストセラーとなった Super Monkey Ball iPhone
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| 左:Chris Sharpley氏 右:Ethan Einhorn氏 |
午後2時からは、「Post Mortem: Super Monkey Ball iPhone」が、SEGA USAのデジタルコンテンツ部門のプロデューサーEthan Einhorn 氏と、クレジットホルダーのHolland College社のビデオゲームアーツ&デザイン、ラーニングマネージャーのChris Sharpley 氏の二人をスピーカーとして迎えて開催された。 このセッションでは、リリース一週間でベストセラーとなった、セガブランドのiPhoneゲーム「Super Monkey Ball」がどのように生まれたか、その背景や製作におけるキーポイントが語られた。 Super Monkey Ballはリリース後3週間で30万ものダウンロード数を記録したヒットゲームで、他のゲーム・コンソールやアーケードゲームとしても人気高いパーティーゲームだ。
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| Super Monkey Ball iPhone |
ボールに入ったMonkeyを本体の傾きで操作し、コースから脱落することなく制限時間内にゴールするのが目的で、誰でも達成感が直ぐに得られるようにストーリーに注意が払われたという。 実際にレベルは110でおさめ、2~3時間でコンプリートできるように作り上げられた。Super Monkey Ballのステージデモは、たった2名のプログラマと1名のアーティストだけで3日間で作り上げたという。4つのステージあり、当時はフォトリアルスティックな背景も作り上げられた(最終バージョンでは入れ替えられている)。 アルファ、そしてベータバージョンをとおしファイナルまで12週間という非常に短期間で開発された。 アートデザインの話では、スタイルはWiiの「Banana Blitz」からインスパイヤされたが、実際は全てiPhone向けに作り替えたという。
Super Monkey Ballは、SEGAというブランド名があったからヒットしたというわけではない。 iPhoneが持つコンソールの特徴を活かして(本体を傾けて操作する)、独自の面白さを作り上げたことは、ヒットした理由の1つだと語る。操作方法がシンプルで直感的に操れるため、ゲームにあまり慣れていない人でも、抵抗無く遊ぶことができる。この誰でも簡単に面白く遊べそうと直ぐに判断できるアプローチが非常に大切だ。
ゲームを見て直ぐに判断できなければ、ダウンロードへと進まない。 またEinhorn 氏は、プロジェクトチームは少人数のほうが良いことを学んだという。また、IPライツ(知的財産)については、特にインディペンデントゲーム開発者にとって自分のブランドを構築するにあたって価値のあるものになるため、IPライツは考慮したほうが良いと薦めた。
[ Writer : 山下香欧 ]
[ DATE : 2009-03-27 ]
[ TAG : GDC ]
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山下香欧
米国放送機器総代理店にて、デジタル化の先導だったシステムのインストラクターを始め、放送業務用DDR販売、ノンリニア編集システム構築やMarCom兼インストラクターとして従事したのち、独立。
現在は、米国ベンチャー企業のコンサルタント、そしてフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイべントのレポートを投稿。
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