[オタク社長が見たAsianimationの世界]Vol.12 小沢訪中団で見る中国メディアリテラシー教育、SIGGRAPH Asia

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Column

[オタク社長が見たAsianimationの世界]Vol.12 小沢訪中団で見る中国メディアリテラシー教育、SIGGRAPH Asia

2010-01-05 掲載

[オタク社長が見たAsianimationの世界]Vol.12 小沢訪中団で見る中国メディアリテラシー教育、SIGGRAPH Asia

いよいよ2010年が始まった。しかし、日本、とくにデジタル系映像の世界にとっては、決しておめでたいと言っては居られないのが現状である。

なにしろ、景気の悪化で真っ先に予算を切られるのが娯楽であり、映像はその娯楽の代表選手だ。おそらく、近い番組改編では、映像作品放送が大幅に削られ、撮って出しのバラエティや生放送の解説番組、ショッピング番組のような編集不要、あるいは極めて安価な構成が大幅に増えることと予想されている。

そんな中、やはり見つめなければ行けないのが、日本を取り巻く周辺諸国の映像業界である。我が国の国内市場がこういう状況である以上、周辺諸国も市場として、正面から意識をしていかなければならないのは必然なのだ。

今回は、そうした、周辺諸外国における近未来の方向性に関して書いていこうと思う。

中国におけるメディアリテラシー教育

さて、まずはどうしても外せないのが、中国という巨大市場にして巨大映像制作現場である。実は筆者は、先日「長城計画」、いわゆる小沢一郎訪中団の一員として中国北京を訪問した。様々に詰め込まれた日程の中、中国都市部における農民工、つまり最下層・最貧困層の子供たちに対する教育機関も見学することが出来たのだが、ここが非常に強く印象に残っている。

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百年職校、IT演習室。とても学費・制服などすべて無料の学校とは思えない充実したものだ

農民工とは、都市戸籍を持たず、地方戸籍ながらも都市部に流入してきた人々のことで、社会的に保護されない立場である。社会の仕組みが最優先される共産国において、国策に逆らって都会に出てきたその子どもたちなのだから、貧困の度合いはいかばかりかご想像いただけるのではないだろうか。しかし、そういう子女に対して、完全無償で高卒後職業教育を施す機関ができあがりつつあるのだ。ここは、大きな注目点と言える。

この機関「北京百年農工子弟職業學校」は、完全民間のNPO形式で運営されており、北京と成都に学校が置かれている。都市部流入の貧困層の生活不安による社会環境の劣化や犯罪は、そもそも政府方針に逆らって流入している人々であるだけに政府の手当が難しく、中国全土の問題となっているが、それに対応するための職業訓練学校として、この「百年職校」のNPOが活動を開始しているのである。

ここでの教育は、単に貧困層の子供たちを社会的に救うだけではなく、将来的な中国国内市場作りにもつながっている。たとえば、IT系の部屋には比較的新しいPCがならび、そこで、パソコンの基本的な使い方やオフィスソフトの使い方を学ぶのだが、それだけではなく、Webの使用方法や生活におけるパソコンの応用方法も身につけることができる。いわゆる、最下層へのメディアリテラシー教育の場となっているのである。

ここの教育方針がよくわかり、また面白かったのは、模擬オフィスである。そこではオフィスビルの一室に見立てたビジネスデスクやオフィスOA機器が並び、実際にそこで事務作業のまねごとが出来るようになっていた。面白いことに、給湯器や休憩室まで再現されている。これは、ただ仕事を覚えるだけではなく、最新の消費生活の方法そのものを学ぶ形であるところが大きな特徴なのだ。

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同校オフィス演習室。どこにでもある普通のオフィス風だが、普通を知らない農民工の子女にはこうした基礎教育が欠かせない

そのため、この学校では、日系企業を始めとする多くの企業の支援を得られている。「百年職校」での学生たちは、単に将来の従業員になり得るというだけではなく、近い将来の市場を構成する人員でもあるのだ。

もちろん、今回は半ば以上公的な訪問であったため、中国共産党政府の仲介者を挟んでの対外プロパガンダ込みの見学体制であり、素直に100%その方向性を信じていいというものでもないかもしれない。しかも実はこの「百年職校」は、中国でも最小規模の学校で、いわばテストスクールとして運営されている状態なのである。しかし、ここをわざわざ我々小沢訪中団に紹介するからには、少なくとも中国政府に生活レベル最下層を含む一般国民全体に消費者としてのメディアリテラシーを教育しようという意図があるのは間違いがないところだ。

今まで、中国相手のビジネスと言えば、中国の安い人件費を使って生産したモノを買い取ってくるか、あるいは中国に1億2千万人いると言われる富裕層目当ての商売にならざるを得なかった。映像やソフトウェアなどの販売も、一般国民にはコピーされてもやむを得ず、あくまでも富裕層に買ってもらうことが目的であったのだ。ところが、それが、こうした基本からの教育によって大きく変わりつつある。一般市民が普通にデジタルコンテンツを購入する時代が近づきつつあるのだ。  今回の訪問はほんの一例に過ぎないが、13億とも15億とも言われる巨大市場が、確実に目覚めつつある確実な証拠ではないかと強く感じたのである。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2010-01-05 ]
[ TAG : オタク社長が見たAsianimationの世界 ]

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手塚一佳 (てづか かずよし)

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