[Cutting Edge]Vol.04 Final Cut StudioはAVCHDネイティブ化と64bit化を急げ

HOME  >  COLUMN  >  秋山謙一  >  [Cutting Edge]Vol.04 Final Cut StudioはAVCHDネイティブ化と64bit化を急げ

Column

[Cutting Edge]Vol.04 Final Cut StudioはAVCHDネイティブ化と64bit化を急げ

2009-10-16 掲載

[Cutting Edge]Vol.04 Final Cut StudioはAVCHDネイティブ化と64bit化を急げ

番組でのAVCHD利用が一時後退の動き

番組制作がノンリニア編集に移行したのはアビッド テクノロジーのMedia Composerがきっかけだったが、制作費低下が進行するにつれ、ディレクターやアシスタントが使い始めたのはコストパフォーマンスに優れたアップルのFinal Cut Proだった。その後、さまざまなファイルベースカメラレコーダーの登場で、カメラ対応時期が定まらないノンリニア編集環境が導入しにくい状況にもなり、素早いオプション対応で信頼を得たのはトムソン・グラスバレーのEDIUS Pro環境だった。こうした状況ではあるが、撮影現場でディレクターやアシスタントがノートブックで仮編集を行う作業環境と言えば、Final Cut Proがスタンダードだ。

Final Cut Studioは、7月23日に新バージョンとなった。制作用のProResコーデックを3種類拡張して合計5種類にするとともに、パナソニックAVC-Intraコーデックへのネイティブ編集を可能にし、XDCAM HD/XDCAM EX/インタレースHDV/インタレースXDCAM HD422のレンダリング速度についても高速化した。しかし、AVC-Intra同様のH.264系コーデックのAVCHDについては、ネイティブ編集への対応が見送られてしまった。

さて、最近、深夜番組などでタレントが使用するハンディカメラに変化が生じているようだ。昨年後半から目立ってきていたのは、民生品のハードディスク記録型のAVCHDビデオカメラにワイドコンバーターを使用するスタイルだった。タレントが手軽に扱うことができ、ラフに扱ってもそこそこ耐久性があり、たとえ壊れてしまっても本体価格も安いということから、急速に民生AVCHDビデオカメラの活用が広がってきたように感じていた。

しかし、今夏以降の番組を見る限り、AVCHDビデオカメラの利用が縮小し、ソニーHVR-A1Jなどの小型HDVカムコーダーの利用へと回帰しているようだ。別のユニットを使用して、本体にコードを伸ばすこともないので、ハードディスクやメモリーカードでのファイルベース記録もしていない。つまり、タレントに持たせるカメラはテープ収録へと戻ってしまっているようだ。番組におけるHDVカムコーダーへの回帰は、AVCHD編集の取り回しが悪いことに起因しているのかもしれない。

SONY_HVR-A1J.jpg ソニー製HDVカムコーダーHVR-A1J。タレントが使用する時は、マイク部を外して内蔵マイクを使用することがほとんど。これなら民生AVCHDビデオカメラと大差なく扱える大きさだ。

現場仮編集用のMacBook Pro環境の動作を重視せよ

AVCHDのコストメリットを考えると、地方局やCATV、Web、企業などでは、民生用ビデオカメラも業務用カメラレコーダーも、これまで以上に活用されていくと思われる。タイムラインでカメラコーデックをネイティブに扱えないことは、映像の一部をいくつか切り出してつなげ、テロップだけを載せた映像素材を作りたいというような、スピーディな映像編集が求められる報道取材現場やブライダル収録において、主役の座を明け渡すことにになりかねないのではないだろうか。

もっとも編集前のビデオキャプチャ時にProResコーデックへの変換時間をかけたとしても、以前に比べて作業が速くなったと見る人もいるようだ。AVCHDはフルHDで収録していてもファイルサイズが小さく、カメラからハードディスクに転送する時間は短い。P2 DVCPRO HdやMPEG2系の映像ファイルを、長時間をかけてハードディスクにメディアコピーした経験のある人であれば、AVCHDのコピーなどは短時間で済むと感じられることだろう。モバイルで編集すること無くMac Proの8コアのデスクトップ環境を利用している人ならば、収録時間の半分以下でPro Resコーデックに変換することも可能なようだ。これならば、多少、制作用コーデックに多少の時間を要しても、メディアコピーからコーデック変換完了までのトータルな時間で十分に速いと感じるというわけだ。

新Mac OS X Snow Leopardでは、Finder、Mail、iCal、iChat、Safariなどのシステムアプリケーションが初めて64bit対応を果たし、64bitプロセッサに対応するように、GPUコンピューティングを利用するためのOpen CL環境が整い始めた。大量のメモリ空間を使用でき、GPUでの演算処理も活用できることは、ビデオアプリケーションにとっても朗報だ。さらなるパフォーマンス改善のために、Final Cut Studioは早急に64bitアプリケーションとしてアップデートしてもらいたい。


[ Writer : 秋山謙一 ]
[ DATE : 2009-10-16 ]
[ TAG : AVCHD Cutting Edge Final Cut Studio ]

関連のコラム一覧

[Cutting Edge]Vol.10 iPhone 4 HD720p・海外パケットし放題で変わる取材活動

[Cutting Edge]Vol.10 iPhone 4 HD720p・海外パケットし放題で変わる取材活動

フルモデルチェンジをしたiPhone 4が6月25日に発売となり、発売後3日間で170万台を達成したようだ。iPhoneが登場して3年、日本でiPhoneが3Gが発売されて2年。同 .... 続きを読む

[ファイルベース収録カメラ最新案内]番外編 ~メリット、デメリットとAVCHD運用の実態~

[ファイルベース収録カメラ最新案内]番外編 ~メリット、デメリットとAVCHD運用の実態~

AVCHDの存在をどう考えるか?訊いてみた AVCHDロゴ。AVCHD(Advanced Video Codec High Definition)は2006年5月にパナソニックとソ .... 続きを読む

[Cutting Edge]Vol.09 オートデスク制作ワークフローにおけるS3D戦略

[Cutting Edge]Vol.09 オートデスク制作ワークフローにおけるS3D戦略

オートデスクは、4月に米ラスベガスで開催された2010 NAB Showにおいて、ビジュアルエフェクト製品Flint/Flame/Inferno、エディトリアルフィニッシング製品S .... 続きを読む

[Cutting Edge]Vol.08 AVCCAMとPremiere Proで快適ネイティブ編集を実現

[Cutting Edge]Vol.08 AVCCAMとPremiere Proで快適ネイティブ編集を実現

アドビ システムズが2009年10月23日に赤坂ブリッツで開催したAfter Effects Night Vol.03。その参加者のなかからパナソニックAVCCAM AG-HMC1 .... 続きを読む

[Cutting Edge]Vol.07 ドラマ『不毛地帯』でAdobeソリューションを活用

[Cutting Edge]Vol.07 ドラマ『不毛地帯』でAdobeソリューションを活用

タイトルバック内 素材画像 (C)フジテレビジョン フジテレビ開局50周年記念連続ドラマとして、2009年10月からフジテレビ系全国ネットで2クール連続放送中の『不毛地帯』(木曜2 .... 続きを読む

[Cutting Edge]Vol.06 NVIDIAのプロ市場向け戦略を本社市場開発マネジャーに聞く

[Cutting Edge]Vol.06 NVIDIAのプロ市場向け戦略を本社市場開発マネジャーに聞く

CGにおいても、ノンリニア編集のエフェクトにおいても、GPUを活用したグラフィックス処理は欠かせないものとなっている。最近では、GPUで演算処理を行うGPUコンピューティングの活用 .... 続きを読む

WRITER PROFILE

秋山謙一 (あきやま けんいち)
PRONEWS記者

1967年、ヨコハマ生まれ、ヨコハマ育ち。映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動。これまで新聞、雑誌、書籍、Webなど各媒体で取材執筆・編集をしてきた経験を生かして、文字と映像のコラボレーションに取り組んでいく。


Writer

編集部(99)
PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートです。
稲田出(27)
映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチールカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。
石川幸宏(35)
映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。
小寺信良(23)
業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポートする動画連載。
raitank(5)
あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。海外から仕入れた情報を日本語で発信するグラフィックデザイナー/アートディレクター。
ふるいちやすし(44)
自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。
岡英史(19)
バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン
手塚一佳(44)
CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。
江夏由洋(13)
兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。
山本久之(26)
映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。
林永子(26)
2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」
鍋潤太郎(18)
ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。
高野光太郎(4)
映像クリエイター。フリーランスにてミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。
安藤幸央(9)
無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。
猪蔵(5)
いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。
山下香欧(8)
米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。
ヒマナイヌ(5)
頓知を駆使した創造企業
坪井昭久(5)
映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。
萩原正喜(69)
米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。
岡田智博(7)
クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。
江口靖二(5)
デジタルサイネージコンソーシアム常務理事、慶應義塾大学DMC機構研究員などを兼務。
しらいあきひこ(2)
カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。
今間俊博(5)
尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 教授。アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。
伊藤裕美(5)
オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。
秋山謙一(17)
PRONEWS記者。映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。
UserReport(10)
業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。
System5 Labs(8)
SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。

HOME  >  COLUMN  >  [Cutting Edge]Vol.04 Final Cut StudioはAVCHDネイティブ化と64bit化を急げ