[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.02 マイケルを飛び越えていけ!

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[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.02 マイケルを飛び越えていけ!

2009-07-21 掲載

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.02 マイケルを飛び越えていけ!

スナック永子(ながこ)の永子ママが月に一度、素晴らしい映像作品を褒め讃える『勝手にMonthly Video Awards』。

今月の傑作を紹介する前に、急逝した「キング・オブ・ポップ」のご冥福をお祈り申し上げたい。MTV開局当時(81年頃)の音楽映像は、ライブか、ビデオアート系のマニアックな実験作品が多かった。コアなサブカルの域にあったMVを、メジャーな存在へと昇華させた作品こそが「スリラー」だった。マイケル・ジャクソンという先駆者なしにはMTV文化は栄えなかった。最近は世界的にパワーダウンの傾向にあるMVだけに、先駆の敷いたレールを閉ざさないよう、日本の映像監督たちにも頑張って頂きたい。

スナック永子*は、映像制作関係者が集う映像イベント、不定期に東京西麻布SuperDelaxにて開催されている。すでに30回以上開催され、有名無名にとらわれず映像関係者であれば一度は足を運んだことのあるイベントである(編集部)

椎名林檎「ありあまる富」 / EMI MUSIC JAPAN

椎名林檎のヒットチューンのMV。高層住宅の上階から、テレビや洋服、宝石など、様々なモノがスローモーションで落下する。画面には「本当に大切なものはなにか」を訴えかける歌詞が映し出され、視聴者は、それらモノたちは人間にとって必要か否か、考えさせられることとなる。

演出は東京事変のMVでもお馴染み、児玉裕一氏。アイデアの骨格がシンプルだからこそ、声とメッセージがダイレクトに伝わって来る。映像美を追求した力強い画作りには上質感もある。

一流の手腕がなければ、ここまで魅力的な強い画は作り込めない。上級者テクの炸裂した、プロフェッショナルな秀作という意味合いで、今月はこの作品に、勝手に「MVA」を授与します!

木村カエラ「BANZAI」コロムビアミュージックエンタテインメント

今までも様々な監督/手法によって独創的な映像表現を試みて来た木村カエラが、ダンスに挑戦。袖の長い、カラフルな衣装に身を包んだダンサー陣が、レオタードにイナヅマ柄のシャツというド派手な衣装を着込んだカエラちゃんを取り囲む。シンプルな背景に奇抜な彩色が映える、楽しい作品となった。

ディレクターは「Jasper」「Butterfly」等を手掛けた中村剛氏。今回のこだわりは「表情」とのことで、もとよりチャーミングな彼女の笑顔の魅力がより引き立つよう、撮影現場の雰囲気作りに気を配ったそうだ。振付けは、数々のMVで中村氏と強力タッグを組む、売れっ子振り付け師、Air:manによる。

POLYSICS「Young OH! OH!」Ki/oon Records

タマゴサンドを片手に、ピクニックへ出かけたかと思いきや、矢継ぎ早な展開が待ち受ける。森の中でのウェディング・パーティー、バンド演奏、鶏に歯を磨かれているワニが寝そべる病院のベッドなどなど、思いもよらないきっかけをフックに紡がれて行く超高速コマ撮りアニメは、ただひたすらに気持ち良いの一言に尽きる。

ディレクションを手掛けた小島淳二氏といえば、RYUKYUDISKOのMVなどでも数千枚に及ぶ写真の高速コマ撮りを披露している。その労力、創作エネルギーに加え、あっという間にエンディングを迎えるスピード感には毎度のことながら驚かされる。「え、もう終わり?」とつい独り言を漏らしてしまう。

Short Film Pioneer / KURO Black Hole

パイオニアのプラズマテレビ『KURO』のイメージを、辻川幸一郎氏がムービー化。「それはまるでブラックホールの吸い込まれるような黒」というキャッチコピーを、様々な質感の物(グラス、女性、鞄、猫等)が闇に吸い込まれていく映像で表現している。

企業や商品のShort Filmの中には、機能や長所を言葉で説明するものがある。映像ファンとしては、カタログや取説の誌面、言葉の説明だけではアプローチし得ない、映像ならではのビジュアル・メッセージを見届けたい。この作品は見事に、画作りのみで商品の上質感や遊び心を強調させ、ブランド・イメージを効果的に向上させている。辻川氏の上級者テクニックをご堪能下さい。


[ Writer : 林永子 ]
[ DATE : 2009-07-21 ]
[ TAG : 児玉裕一 ]

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林永子 (はやし・ながこ)
日本で唯一の映像ライター(連載:月刊「コマーシャル・フォト」 等)。日本の映像作家を世界に紹介するサイト「Tokyo Video Magazine VIS」編集長。2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」。講義、講演、モデレーター、司会、美術館等でのMV上映イベントプロデュースなど、その活動は多岐に渡る。


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