[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.03 やはりネットも大好き!

HOME  >  COLUMN  >  林永子  >  [スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.03 やはりネットも大好き!

Column

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.03 やはりネットも大好き!

2009-08-28 掲載

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.03 やはりネットも大好き!

スナック永子(ながこ)の永子ママが月に一度、素敵な映像作品をご紹介する『勝手にMonthly Video Awards』。今月は、ネットメディア活用したプロジェクトを紹介します。
さらに直近で申し訳ないですが、映像関係者が一堂に会する夜の文化祭「スナック永子」も9月3日に開催しますのでぜひご参加ください。詳細は下記

MV SOUR「日々の音色」Zealot / NEUTRAL NINE RECORDS

国内外問わず、ネットユーザーならば誰もが知っている大ヒットミュージックビデオ(以下:MV)。You Tubeにアップされた7月初旬から現在まで、アクセス数はなんと100万件超え! 動画サイトをネット・プロモーションのプラットフォームに選んだ成功例として注目されている。

このMVは、NYの広告代理店「BBH」所属のアート・ディレクター、川村真司氏を筆頭に、Hal Kirkland、ナカムラマギコ、中村将良という4名のアーティストによって制作された。分割画面に登場する出演者は、世界各国にいるSOURのファン。事前に指示された動き(綿密に作り込んだプロトタイプのビデオを全員に配布。出演者は練習を重ねた末に撮影に臨むという気合いの入れよう!)を、出演者自ら、私物の「Webカメラ」で撮影していく。素材は編集後、You Tubeに投稿される。ネット環境を駆使したワークフローといい、予算をかけずに世界中の人々をつなぐ秀逸なアイデアといい、その解釈は現代的。「MVのプラットフォームがTVだった時代の終わり」を痛感させられる。

今は、発信者と受信者の双方向的なコミュニケーションによって成り立つネットワーク・メディアの時代。一方的に情報を押し付けるTVの特性は前時代的で、古い。MVのプラットフォームもネットワーク・メディアへと移行しつつあり、ビューアーも好きな作品を選べるネットを愛用する人の方が多い。

ところが、MVの多くはいまだ「TV的」。制作者サイドの美意識や偏った解釈を一方的に押しつけ、納品後の再生メディアの環境など考えもせずに『やり逃げ』する。そんな風に、作品世界のみを独善的かつ自己完結的に制作した作品がまだまだ多い。今、求められるのは「誰かの正解」の押し付けではない。多くの解釈の中から「自分なりの正解」を選択すること、または情報を共有し「みんなの正解」を導き出すことだ。ネットワーク環境に置かれたMVは観賞する作品であると同時に、作り手と見る者の交流を促すコミュニケーション・ツールとしても機能する。

そんな時代性を見事に体現したMVが、SOUR 「日々の音色」である。SOURとファンと演出チーム、多くの人々がばらばらな国、場所にいながらにして、ネットワークで1つにつながっている。そこにあるのは人と人との温もりであり、信頼関係であり、テレビ的な虚構では到底描ききれない、本物の絆である。

出演者たちの楽しげな笑顔を見ていると、最高に幸せな気持ちになって来る。感動したので、遅ればせながら今月の大賞を捧げます。SOURの他のMVもチェックしてちょうだい。

MV SOUR「面影の先」

MV SOUR「半月」

MV UA「月が消えてゆく」Victor Entertainment

nagako3.jpg ©Victor Entertainment http://www.uauaua.jp/movie/index.html

こちらの作品はドキュメンタリー。MVを制作するよりも、ストレートな記録の方がミュージシャンや楽曲の魅力を上手く伝えることがある。特に現在は予算がなく、まともなMVを作ろうとするとかなりの時間、労力を要する。テレビ放映での影響力も疑わしい。既存のやり方を変える必要がある...。

というわけで今回は実用性と効果を狙い、アルバムのレコーディング風景やちょうど妊娠中だったUAのプライベートを垣間みるドキュメンタリー作品を作成。公式サイトを中心にネットで公開し、話題を広げて行った。

映像制作からプロモーション展開まで、一連のプランを担当したのはアートディレクターの永戸鉄也氏。本来は宣伝担当者が策を練るところだが、今はクリエイターが宣伝の仕掛けをどんどん提案する時代。生んだ映像がどう育つか、先まで目を向けられるクリエイターしか、今後の活躍の見込みはない。

スナック永子vol.28「スナック永子 LOVES OLGA!!!」

  • 日時:2009年9月3日(木)20:00~26:00
  • 場所:SUPER DELUXE!!! 東京都港区西麻布3-1-25 B1F
  • 入場料:1500円(1drink)
  • map:www.super-deluxe.com
  • PERFORMANCE GUEST:OLGA ENTERTAINMENT(Cotori・RUVR SOUL・Ayumi)

[ Writer : 林永子 ]
[ DATE : 2009-08-28 ]
[ TAG : スナック永子の勝手にMonthly Video Awards! ]

関連のコラム一覧

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.26 2011年の映像シーンはInteractive and Primitive

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.26 2011年の映像シーンはInteractive and Primitive

あっという間に12月! もういくつ寝るとお正月! 1年を締めくくる時節に乗じて2011年を振り返ってみれば最低最凶! 12月もとっとと終われ! 厄災への愚痴はさておき、今年の映像シ .... 続きを読む

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.25 日本最高峰のクリエティブオフィス、キャビアの新しい仲間たち

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.25 日本最高峰のクリエティブオフィス、キャビアの新しい仲間たち

日本の広告映像界を牽引する映像作家集団とは? 高級食材キャビアの最高峰ブランドといえば、ロシア産ベルーガ。パンに「ええっ!」っと驚く量のベルーガを乗せてコップにがっつり注いだウォト .... 続きを読む

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.24 祝・スナック永子6周年で垣間みる映像の未来

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.24 祝・スナック永子6周年で垣間みる映像の未来

スナック永子がついに6周年を迎えました!感謝感激!今回はAR三兄弟の全面協力のもと、「こんな人と仕事がしたい」「こんなクリエイターを探している」「結婚したい」「恋がしたい」「融資し .... 続きを読む

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.23 重鎮リプチンスキーへのオマージュを味わえ!

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.23 重鎮リプチンスキーへのオマージュを味わえ!

夏休み真っただ中、相も変わらず家でだらだらビール飲みながら読書、筋トレ、映像鑑賞に励む独身界の最優秀残念賞こと、ママ永子だよ!おっはよー!という訳で、今月もお気に入り映像をまとめて .... 続きを読む

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.22 カンヌ国際広告祭で映像の今を知る!

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.22 カンヌ国際広告祭で映像の今を知る!

カンヌ国際広告祭を一気見! 毎年この時期になると、カンヌ国際広告祭にて日本の作品が受賞したというニュースを耳にします、家で。日頃より素晴らしい映像作品を心を込めて制作している制作者 .... 続きを読む

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.21 分割映像ムーブメント検証

[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.21 分割映像ムーブメント検証

前回、このコラムでGoogle『Chrome Music Mixer』を使用したsalyu×salyu「ただのともだち」MVを紹介しましたが、ここのところ2、3年、分割画面を用いた .... 続きを読む

関連のニュース記事

WRITER PROFILE

林永子 (はやし・ながこ)
日本で唯一の映像ライター(連載:月刊「コマーシャル・フォト」 等)。日本の映像作家を世界に紹介するサイト「Tokyo Video Magazine VIS」編集長。2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」。講義、講演、モデレーター、司会、美術館等でのMV上映イベントプロデュースなど、その活動は多岐に渡る。


Writer

編集部(99)
PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートです。
稲田出(27)
映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチールカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。
石川幸宏(35)
映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。
小寺信良(23)
業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポートする動画連載。
raitank(5)
あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。海外から仕入れた情報を日本語で発信するグラフィックデザイナー/アートディレクター。
ふるいちやすし(44)
自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。
岡英史(19)
バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン
手塚一佳(44)
CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。
江夏由洋(13)
兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。
山本久之(26)
映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。
林永子(26)
2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」
鍋潤太郎(18)
ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。
高野光太郎(4)
映像クリエイター。フリーランスにてミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。
安藤幸央(9)
無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。
猪蔵(5)
いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。
山下香欧(8)
米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。
ヒマナイヌ(5)
頓知を駆使した創造企業
坪井昭久(5)
映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。
萩原正喜(69)
米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。
岡田智博(7)
クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。
江口靖二(5)
デジタルサイネージコンソーシアム常務理事、慶應義塾大学DMC機構研究員などを兼務。
しらいあきひこ(2)
カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。
今間俊博(5)
尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 教授。アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。
伊藤裕美(5)
オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。
秋山謙一(17)
PRONEWS記者。映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。
UserReport(10)
業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。
System5 Labs(8)
SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。

HOME  >  COLUMN  >  [スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.03 やはりネットも大好き!