[スナック永子の勝手にMonthly Video Awards!]Vol.08 自主制作の心を見る
2010年01月29日 掲載
新年一発目の勝手にMVアワードは、いまだ正月気分が抜け切らない永子ママが、お餅片手にゴロゴロしながらネット徘徊して遭遇したお気に入りムービーを紹介いたします!
Langara College「Rethink scholarship」
今月の大賞は、カナダのランガラ・カレッジが制作したコマ撮りアニメ。1冊の本をめくると、各ページに『大学について再考する』というテーマにちなんだメッセージが現れる。その1つ1つのセンテンスの表現方法が、ポップアップもあれば、蛍光塗料で描かれたもの、照明の角度によって見えたり見えなかったりするエンボス加工のものなど、多種多様かつとってもキュート。随所に作者のハイセンスな創意工夫を感じます。アナログなアイデアを1段階だけ柔らかくひねるさじ加減が絶妙。子供も大人も変わらず持ち続けている、学問への『好奇心』を刺激して、ドキドキ・ワクワクさせてくれる。ママも童心に戻り、楽しい気持ちになりました。
そして、思い出したのが、次の作品。
The NZ Book Council -Going West-
昨年末、大変話題になりましたので、ご存知の方も多いと思いますが、改めて。この作品はニュージーランド・ブック・カウンシルのプロモーション映像です。何ヶ月もかけて制作された超緻密なペーパークラフトコマ撮りアニメーションは、ロンドンのクリエイティブ・スタジオAndersen M Studioが手がけています。1コマ1コマが芸術と言わざるを得ない完成度のポップアップは医療用のメスで切られたそう。そのナイーブな作業と撮影の大変さが画に緊張感を与え、私、思わず手に汗握っていたようで、見終わった時には手のひらびしゃびしゃでしたよ。
上の2つの作品は、毛色もタッチも違いますが、同じペーパークラフトを用いたコマ撮り作品として、この年末年始に強いインパクトを受けました。
映像制作費がシャレにならない額へと下落した(もうお弁当も出せないらしいよ! )昨今、物や絵によるコマ撮りもの、アニメーション作品が急増加しています。かつては、海外の超広大な砂漠にヘリ4台チャーターしてグランドピアノを運んで撮影したり、数千人規模のエキストラを入れて何日間もフィルム撮影したりと、撮影のダイナミズムが映像の完成度に比例しておりました。当時を思うと懐かしくもなるし、金がないというネガティブな理由だけで作家が手元で作ることのできる手法が流行るという現象は腹立たしい。でも、金があろうがなかろうが、本当に素晴らしいコマ撮りアニメが世界にあり、その素晴らしさを伝えようとコツコツがんばっている作家がいることも事実。ミクロとマクロの宇宙のフラクタルのように、ミニマムな世界にもたくさんのダイナミズムが隠されていて、それを目ざとく見つけて、創意工夫とセンスで表現してくれるクリエイターたちの活躍に、今年は期待したいと思います。
日本で気になったのはコチラ。Twitterで見かけた、会ったことのない作家の作品ですが、良かったので、載っけちゃいます。
自主制作アニメ『赤い糸』
この作品と上記2作品を見て、急に、我が子(10人くらい)と一緒に見たいという欲望に取り憑かれましたよ(笑)。ママ、本物のママになりたい! その前に、結婚しないと! 彼氏もいないのに、どうやって!!!
それはさておき、この自主アニメは、ほんわかします。シンプルできれいな映像。音楽も、きれい。今の時代、突飛な面白さよりも、洗練された清潔感の方がビューアーの目にも心にも優しいので、作者さんには、目に麗しく優しい作品を今後も作って頂きたい。
一方、日本では、ダンスや身体表現を用いたCMが急増しておりますね。来月は「ダンスものアワード」 、しようかな! 以上、ママ永子でした! また来月!
[ Editor : 林永子 ]
[ DATE : 2010年01月29日 ]
[ TAG : スナック永子の勝手にMonthly Video Awards! ]
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林永子
(はやし・ながこ)
日本で唯一の映像ライター(連載:月刊「コマーシャル・フォト」 等)。日本の映像作家を世界に紹介するサイト「Tokyo Video Magazine VIS」編集長。2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」。講義、講演、モデレーター、司会、美術館等でのMV上映イベントプロデュースなど、その活動は多岐に渡る。
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