InterBEE2日目である。昨日のカメラに続きその素材をどう料理するのか? その部分を担うノンリニア編集環境について見ていこうと思う。

20日の来場者数:11,628人(国内:11,485人 海外:143人)

カメラコーデックの変化に伴う処理高速化と3D映像への対応

Inter BEE 2008におけるノンリニア編集環境は、H.264ベースのAVC-IntraやAVCHDや、注目を集めるRED Digital CinemaのREDCODE RAWなど、ずばり複雑な処理が必要なカメラコーデックへの対応と処理の高速化が図られたことが大きな特徴だ。民生用ハイビジョンカメラはAVCHDが中心のラインアップに移行しているが、その編集環境と言えば、まだまだ処理が重く、テープベースのDVやHDVでの編集の方がを快適な編集ということにおいては、負けている。映像を撮りながらも、編集環境の処理の重さに耐えかねて、編集せずにフラッシュメディアに入れたまま映像を死蔵してしまうことの方が多かいのではないだろうか?今年は、GPU(グラフィックス・プロセッサ・ユニット)処理を使用することで、ようやく処理速度改善の兆しが見え始めてきたと言える。

ハイエンドのノンリニア編集システムを擁するクォンテルオートデスクアビッドの3社では、3D映像への取り組みも始まった。通常のフィニッシング作業に加えて、2つの映像を同期させながら両目の視差を加えていく処理は、マシンパフォーマンスが向上したとはいえ、演算処理の負荷は相当なものになる。青赤フィルターによって各視野を抜き出す簡易的な3D映像はもちろん、偏光グラスを使用して左右の映像を取り出すものも作成可能だ。 各社の状況をもう少し詳しく見ておこう。今年のInter BEEで注目を集めたのは、クリエイティブツールのCreative Suiteシリーズの新バージョンの発表を行ったアドビ システムズだ。メインステージでは、映像制作向けCS4 Production Premiumと、その構成製品の新機能を中心にデモを行った。ソリューション紹介コーナーでは、ファイルベースのカメラレコーダーと連携可能でることを示したほか、H.264のFlash動画配信が可能になって可能性が広がったFlash Media Serverファミリーを紹介した。

新しいカメラコーデックへ積極的に対応することでシェアを伸ばしてきたのが、トムソン・カノープスのEDIUS Proシリーズだ。9月に新バージョンのEDIUS Pro 5を発売していたが、Inter BEE 2008の直前にターンキーシステムのラインアップを一新した。HDMI出力インタフェースを持つPCI Expressカードと組み合わせたHDSPARKや、業務用ターンキーシステムREXCEEDシリーズ、HDWSシリーズをデモした。

ビデオ/オーディオの制作ソリューションに注力し始めたアビッド テクノロジーは、NAB Showに合わせて発表し、6月に発売したAvid Media Composer Mojo DXとAvid Symphony Nitris DX、9月に発売したAvid DS v10のデモを行った。アビッドは、ユーザーとの対話を重視する方針へと変更した。現にMedia Composer、Symphonyが、XDCAM HD 50フォーマットをサポートしたほか、REDCODE RAW(R3D)ファイルについてもサポートを表明している。さらに3D映像にも対応したAvid DS v10は、アセットマネジメントツールのAvid Interplayをサポートし、ワークフローを強化した。

オートデスクは、9月に発表したInferno、Flame、Flint、Smoke 2009のExtension 1と、ステレオスコピーのカラーグレーディングに対応したLuster 2009を初公開した。Extension 1の機能を反映し、Inter BEEに合わせて発表した第2世代のInfernoについてもブースでデモを行った。GPUを搭載することで、処理スピードを向上させている。ユーザーの利用方法に合わせてオプションユニットを追加できるセミBTO(Build to Order)による販売方式に変更している。

クォンテルは、これまでにもRED ONEで撮影した4K映像のフィニッシング環境であることをデモしてきたが、今回のInter BEEでは、REDのR3DファイルをiQで扱えるR3Dインポーター機能について紹介した。また、3D映像制作についても、最適な環境であることをアピールした。 NAB Showに引き続きブース出展を見送ったアップルは、アスクブースでFinal Cut Studioの製品紹介とユーザー事例を紹介するに留まった。

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