[Road to InterBEE2009]Vol.03 AVCHD、そしてフォーマット乱立の時代に考えること
2009-09-30 掲載
前回AVCHDの編集がサクサク行くよとふるいちさんに教えられ、実際にVegasPro9で納得したが、「AVCHDは使いませんよ!」と日頃の苦労も含め、使用はしないと心に誓ったのだが、機材検証を続けるうちに民生機のカメラも捨てがたいことに気づいてしまった...。やはり簡単に綺麗で撮影できるのであれば...とクルーの中でも声が上がり始めたのだ。実際にどのカメラを使用するか未定だが、十分民生機用カメラの採用も想定内といえる。
誤解を恐れずに言えば、アマチュアがプロ機材で撮影することは、それなりの技術と知識が必要だが、プロが民生機を使うことは何ら障害がない。しかしネックは、AVCHDというフォーマットだ。VegasPro9の存在で難なく扱えることがわかったが、多くの編集ソフトでは、儘ならない。AVCHDは、SDカードにでも簡単に収まるように設計された圧縮率が高いハイビジョン動画記録用フォーマットである。編集素材として用意されたものであるとは純粋には言えない。
おそらく民生機用ビデオカメラで撮影された映像は編集されることなく、再生されることがほとんどだと推測される。それは、Canon iVISシリーズなどは、付属音楽に合わせて撮影したファイルをプレイリスト再生機能も実装されている。とはいえ、乗りこなさなければいけないのは、映像をどう編集し、伝えていくかになる。
ほかのアプリケーションではどうなの?って話
FinalCut Pro 7(FCP)のプレス向け発表会でこんな質問が飛んだ。「なぜ今回もAVCHDに対応しなかったのか?」Appleがmpegのライセンスを取得していないのは周知の事実。HDV全盛の時にでも動かなかったこの姿勢に同じmpegファミリーのAVCHDも同じく、変化が現れる期待は薄かった。
Appleの担当者は顔色も変えずにこう言い放った。「対応していますよ。まずProResに変換してください。そうすれば何の問題もなく編集できます」
いや、そうじゃなくって...と突っ込みたくなるのだが、このAppleの姿勢にはそれなりの意味があるのだ。FCPの基本コーデックとしてProResに統一する事によって、いろんなコーデックに対する相性の問題も解決し、安定性も増す。また、これをプラットフォームとして標準化することでサードパーティーによるハードやソフトの開発も容易になる。業界での標準化はマーケットでの覇権を握ることを意味する。この選択は、ビジネスにおいて王道ともいえる。
同じように標準コーデックを持つNLEソフトにトムソン・カノープス社のEdius があるが、これに対してネイティブ編集にこだわる物としてAdobe Premiere そして今回実際に現場で使用するVegas Pro9 がある訳だが、なぜか作業の軽快さではEdiusとVegas Pro9が群を抜いて優れている。
Panasonic GH1のAVCHD(.MTS)ファイル。1280x720 59.94p (60p)。スローをかける事の多いPVやCMにとっては非常に魅力的なファイルだが、やはりCPUには相当の負担を強いる。だが、Vegas Pro9では他のコーデックとの混在や多少のエフェクトでも何の苦もなく動作する。
つまりAVCHDをコーデック変換なく、ネイティブで軽々編集できるのは、前回もお伝えした通り、Vegas Pro9以外にない。そしてネイティブで編集するという事には大きな意味がある。撮ってきた素材を変換する手間と時間が省ける恩恵もありがたい。さらには、頭を悩ますのが、ファイル特有の煩雑さだ。AVCHDと言っても様々なグレードが存在し、例えばProResへ、それぞれのグレードをどのように変換するのがロスが少ないか検証してみるほかない。グレードが高ければ高い程良いかと言えば、そうでもない。無駄に容量を食い、色の変化も否めないこともある。アップグレードも変換には違いない。必ずしもいい結果が得られるものではない。「等倍」が理想的だが、その「等倍」をどう選択すれば、良いのか?解りにくい。しかし確実に「等倍」と言える物、それがネイティブ編集なのだ。
乱立したコーデック時代に、検証する時間はない!
どんなに優れたコーデックであろうとも、変換にはそれなりのリスクがあり、それを検証する必要があるが、HDV、DVCPRO HD、それに民生用の各種フォーマット、デジタル一眼等を含めると、乱立しているコーデックをいちいち検証している暇はないのだ。「僕はXDCAMでしか撮らない。」なんて言い切れる人は幸せだが、現実問題、クライアントから投げ込まれる民生用カメラの素材、発展途上のデジタル一眼でたまたま選んだ5DのH.264 30pやGH1のAVCHD 60p等々、何を扱う事になるのか解らない時代に、混在させても全てを「等倍」で扱えるネイティブ編集がいかに合理的でリスクが少ないかを解って欲しい。
CPUの負荷に合わせてフレキシブルに再生レートをコントロールし、リアルタイム再生を守り抜くVegas Pro 9のフレームレートコントロールだが、AVCHDにトランジションをかけるくらいなら29.97fpsのフルフレーム再生を堅持する。
しかもそれがサクサク動くVegas Pro9は理想的なツールの1つである事は間違いない。最終的に1つのコーデックで書き出す場合も、編集段階、カラコレにおいてネイティブでサクサクと編集できることのは、精神上ストレスもなく、間違いなく大きなアドバンテージと言えるだろう。たとえFCPやEdius等をメインで使いでも、逆に混在したコーデックを扱う場合には、ぜひ用意しておきたいツールだといえるだろう。
[ Writer : 編集部 ]
[ DATE : 2009-09-30 ]
[ TAG : Apple EDIUS Final Cut Pro Road to InterBEE2009 Vegas Pro ]
関連のコラム一覧
|
|
[Vegasで始める次世代音楽映像のイロハ]Vol.01 新しい音楽映像制作をはじめよう!進む低音質化? 「音楽家と音楽業界はなんでCDにこだわるのか?意味が分からない。」そんな事を言うと「もうとっくにネット配信に移行してるよ」と突っ込まれそうだが、手軽に音楽を楽しむ" .... 続きを読む |
|
|
[Appleの向こう側-yamaq blog Extended-]Vol.02 Mac Pro待望論を考える待ちに待ったMac Proが登場 この原稿を書き始めたのは7月の中旬で、ちょうど前回のコラムを書き終えた直後でした。次はみんなが首を長くして待っているMac Proについて書いてみ .... 続きを読む |
|
|
[Vegasで始めるBlu-rayのイロハ]Vol.03 高品質ブルーレイを作るために高品質ブルーレイができるまで さていよいよ高品質ブルーレイを作っていく。ブルーレイとはハイビジョン映像を長時間収録できる大容量ディスクというだけの物で要は書き込むデータ次第で良くも .... 続きを読む |
|
|
[東京Petit-Cine協会]Vol.11 やはり道具は使い様なのであるテクノロジーを見極める まぁ次から次へと出るわ出るわ!ここ数年テクノロジーの進歩には頭が痛くなる。パソコンを買い換えたりソフトをバージョンアップしたりする度に「もう完成!これ以上の .... 続きを読む |
|
|
[Vegasで始めるBlu-rayのイロハ]Vol.02 Vegasで高品位なBlu-ray DISCをつくる「まだまだDVDが主流だ」とか「ネットではSDの需要がある」とか大局的な事はどうでもいい。現にちまたにハイビジョンテレビが溢れてる。家庭はもちろん、店舗、イベン ト、ショールーム. .... 続きを読む |
|
|
[On Avid]Vol.02 Final Cut Proエディターから見たMedia Composer5テクニカルディレクター 山本久之 私は久しぶりのワクワク感を味わっている。それは、遠い過去にも一度経験したことがある。Avid Media Composer5は、今年春のNABで発 .... 続きを読む |
- [Vegasで始めるBlu-rayのイロハ]Vol.01 今そこにあるブルーレイ (2010-05-31)
- [Vegasで始めるMAのイロハ]Vol.03 最後の仕上げマスタリング! (2010-04-30)
- [Vegasで始めるMAのイロハ]Vol.02 音声編集のキモ!コンプレッサーを知る (2010-03-30)
- [Vegasで始めるMAのイロハ]Vol.01 映像人に必要なMAの基礎 (2010-02-27)
- AVCHDの編集は現実的?非現実的?~あれから1年ノートPCでも可能なAVCHDネイティブ編集~ (2009-12-09)
- [Road to InterBEE2009]Vol.05 Vegasで僕らは自由を手に入れる! [完結編] (2009-11-30)
最新のコラム一覧
- [raitank fountain]Vol.03 EOS C300インプレッション番外編〜"普段使い"のC300 (2012-02-03)
- [コロラド紀行]Vol.69 アメリカの郵便制度の台所事情 (2012-02-03)
- [DigitalGang!]Shoot.01 GoPro HD HERO2に思いを馳せる! (2012-02-01)
- [Do it]今求められるDIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)とは? (2012-01-25)
- [岡英史のNewFinder]Vol.17 街のビデオ屋的3D制作2 ~JVCケンウッドのGY-HMZ1に注目! (2012-01-24)
関連のニュース記事
- Appleサプライヤー、iTVリリースに向けて準備 (2011-12-28)
- アップル、2012年もアップルストアの初売りを実施。年に一度、1月2日の一日限り (2011-12-26)
- Appleの「スマートTV」市場投入計画、米報道より (2011-12-20)
- Apple、ディスプレイサプライヤーをサムスンからシャープに変更、来年にもインターネットTVを市場投入か (2011-12-01)
- ジョブズ氏の後任決まる ~アップル新会長にレビンソン氏、ディズニーのアイガーCEOが取締役に (2011-11-17)
- 米アップル、C3 Technologies社を買収。三社目の地図技術企業買収 (2011-11-01)
- Sony Creative Software、OpenCL GPUによる高速化に対応したノンリニア編集ソフト「Vegas Pro 11」を発売 (2011-10-20)
- [IBC2011][速報]Sony Creative Software、ノンリニア編集ソフト 「Vegas Pro 11」を発表 (2011-09-09)
- Appleジョブズ氏辞任、新CEOはティム・クック氏に:ジョブズからの手紙 (2011-08-25)
- 加賀ソルネット、「Final Cut Pro Xセミナー」を開催 (2011-08-16)
WRITER PROFILE
編集部
PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートです。
編集部 のコラム一覧
Writer
|
編集部(99) PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートです。 |
|
稲田出(27) 映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチールカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。 |
|
石川幸宏(35) 映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。 |
|
小寺信良(23) 業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポートする動画連載。 |
|
raitank(5) あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。海外から仕入れた情報を日本語で発信するグラフィックデザイナー/アートディレクター。 |
|
ふるいちやすし(44) 自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。 |
|
岡英史(19) バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン |
|
手塚一佳(44) CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。 |
|
江夏由洋(13) 兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。 |
|
山本久之(26) 映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。 |
|
林永子(26) 2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」 |
|
鍋潤太郎(18) ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。 |
|
高野光太郎(4) 映像クリエイター。フリーランスにてミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。 |
|
安藤幸央(9) 無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。 |
|
猪蔵(5) いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。 |
|
山下香欧(8) 米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。 |
|
ヒマナイヌ(5) 頓知を駆使した創造企業 |
|
坪井昭久(5) 映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。 |
|
萩原正喜(69) 米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。 |
|
岡田智博(7) クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。 |
|
江口靖二(5) デジタルサイネージコンソーシアム常務理事、慶應義塾大学DMC機構研究員などを兼務。 |
|
しらいあきひこ(2) カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。 |
|
今間俊博(5) 尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 教授。アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。 |
|
伊藤裕美(5) オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。 |
|
秋山謙一(17) PRONEWS記者。映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。 |
|
UserReport(10) 業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。 |
|
System5 Labs(8) SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。 |
