[On Avid]Vol.02 Final Cut Proエディターから見たMedia Composer5

HOME  >  COLUMN  >  編集部  >  [On Avid]Vol.02 Final Cut Proエディターから見たMedia Composer5

Column

[On Avid]Vol.02 Final Cut Proエディターから見たMedia Composer5

2010-06-28 掲載

[On Avid]Vol.02 Final Cut Proエディターから見たMedia Composer5
テクニカルディレクター 山本久之

私は久しぶりのワクワク感を味わっている。それは、遠い過去にも一度経験したことがある。Avid Media Composer5は、今年春のNABで発表になった大きな節目にあたるバージョンだと聞いている。この歴史のあるMedia Composerの最新版を前にして、私はワクワクしている。

私が初めてMedia Composerに触れたのは15年程前になる。当時はノンリニア編集というポジションも確立されておらず、編集の王道はまだリニア編集だった頃だ。当時と大きく異なるのは、すでにFinal Cut Proにたくさんの時間を費やしており、ノンリニア編集というジャンルもすでに業界に定着している点である。

今回Final Cut Proユーザーの視点で、新しくバージョンアップしたMC5を客観的に見て欲しいというリクエストが来た。当初は不慣れなため読者の方々に訴求できるようなものが、的確に書けるかどうか大きな不安があった。しかし、非AvidユーザーでFInal Cut Proユーザーという視点から見ることで、そこに新鮮なポイントを見いだせるのではないかと考え直した。

yamaq01.png

Media Composerバージョン5では、FCPユーザーへのアプローチがいろんなところに見受けられる。シーケンスウインドウのタイムコード表示が左側に移動したり、新しく採用したスマートツールなどがそれにあたる。トグルボタンをトラックの左側に配置して、Avidでは御法度だったトラックを直接ドラッグしてタイムライン上を移動できるようになった。かたくなに守っていたAvidエディティングのしきたりを譲歩してきたところにも、このMC5での意気込みが感じられる。

yamaq03.png

FCPを制作者が好んで使う理由のひとつに、ProRes422コーデックがネイティブで読み書きできる点がある。QuickTimeのデコーダ・コンポーネントは無償で配布されているので、Windowsでも最近はProResコーデックを素材の搬入で利用している話はよく耳にするようになった。これまでのMC4では、残念ながらProResファイルを直接編集のタイムラインへ持ち込むことができなかった。歴史がありユーザーも多いAvidでありながら、あえてFInal Cut Proを編集で選択した背景にはこんな理由があった。

AMA Avid Media Access

yamaq04.png
FileメニューからAMAのVolumeかFileを選択

MC5ではこれまでのフラストレーションを払拭するために、AMA Avid Media Accessが搭載された。AMAはProRes形式に限らず、REDのR3D形式、EOSのH.264など今後登場する未知のファイル形式も含めて、Media Composerで標準で対応している形式以外を積極的に取り込むための新機能である。FileメニューからAMAのVolumeかFileを選択するだけで、Media Composerが対象ファイルへのリンク情報を管理し始める。AMA実行時には一切のレンダリングや取り込みの待ち時間は発生しないので、この段階での非生産的な時間は必要ない。

yamaq05.png
AMAでリンクしたファイルに関しては、黄色に識別される
yamq06.png
さまざまなコデックが読み込み可能

AMAでリンクしたファイルに関しては、VTRからキャプチャやインポートしたファイルと区別するために、Binウインドウ内で黄色く色分けされている。現状ではAMAリンクしたファイルからのXML書き出しができないなど、いくつかの制限事項があるので、AMAリンクなのかどうかをエディターははっきりと認識しながら編集作業を進めることが求められる。ここまでのちょっとした仕組みさえ理解しておくだけで、これまで涙を飲んで諦めていたProResファイルをストレスなく編集で使うことができる。

実際にProRes422HQの素材を使って簡単なタイムラインを編集してみたところ、特にスクラブ時に引っかかる感じもほとんどなく、FCPのタイムラインと大差なく編集できる印象を受けた。AMAは常時オリジナルファイルからのデコード処理をバックグラウンドで処理するはずなので、CPUに対するそれなりの負荷が予想される。試しに、16コアの最新MacProと、一世代前のMacBook Pro3.0GHzでタイムラインを使ってみた。

当然MacProの方がレスポンスは若干良い印象は受けたが、MacBook Proでもシーケンス内のクリップ数が多くなければ、現実的に使えるレベルだと感じた。さらにMac版MC5の利点として、FCS3がインストールされているという前提はあるものの、MCのシーケンスからProResコーデックへの書き出しも可能なのだ。これはMCユーザーには朗報なのではないだろうか。

今回検証したMacBook Proでは、Mac OSX10.6.4、FCS2010、がインストールしてあった。これにより、/Library/QuickTimeディレクトリ内には、ProResコーデックの エンコーダ・コンポーネントが導入されているのだ。このようにMedia Composer5がProResコーデックを正式にサポートしたことにより、これまでエディター泣かせだった未対応フォーマットへの対応が実現する。素材がProResだったために、わざわざビデオテープに書き出してからMCにキャプチャーしおていた面倒から開放されるのである。


[ Writer : 編集部 ]
[ DATE : 2010-06-28 ]
[ TAG : Avid Final Cut Pro MC5 Media Composer On Avid ]

関連のコラム一覧

[On Avid]Vol.04 バスク Avidで築く「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」

[On Avid]Vol.04 バスク Avidで築く「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」

7年ぶりの劇場公開 監督 本広克行 氏 (株式会社ロボット 映画部) 編集 田口拓也 氏(株式会社 バスク 執行役員常務 ポストプロダクションセンター長) プロデューサー 村上公一 .... 続きを読む

[On Avid]Vol.03 バッハベルク Avidファイルベース・ワークフローで「売れる番組」に求められる柔軟でスピーディな制作システム

[On Avid]Vol.03 バッハベルク Avidファイルベース・ワークフローで「売れる番組」に求められる柔軟でスピーディな制作システム

稲田 出 Avidで構築するファイルベース制作ワークフロー株式会社バッハベルクは、福岡・博多で通販番組を中心にCM制作や企業PV、商品PRなどを手がけるプロダクションとして1996 .... 続きを読む

[On Avid]Vol.01 Avidユーザーから見たMedia Composer5 新機能の魅力とは?

[On Avid]Vol.01 Avidユーザーから見たMedia Composer5 新機能の魅力とは?

これまでの映像編集とこれからの映像編集UVN:大和田 弘幸 リニアでビデオ編集を行っていた時代は収録フォーマットや局納品のフォーマットなど入り口と出口はほぼ決まっていた。ベーカムや .... 続きを読む

[On Avid]Vol.00 進化したMedia Composer5とAvidを探る

[On Avid]Vol.00 進化したMedia Composer5とAvidを探る

Media Composer バージョン5の進化からAvidを考える 映像業界に飛び込むと一度は通るであろうAvid。1989年に誕生して、早くも20年以上の歴史がある。ノンニリア .... 続きを読む

[Road to InterBEE2009]Vol.03 AVCHD、そしてフォーマット乱立の時代に考えること

[Road to InterBEE2009]Vol.03 AVCHD、そしてフォーマット乱立の時代に考えること

前回AVCHDの編集がサクサク行くよとふるいちさんに教えられ、実際にVegasPro9で納得したが、「AVCHDは使いませんよ!」と日頃の苦労も含め、使用はしないと心に誓ったのだが .... 続きを読む

WRITER PROFILE

編集部 PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートです。


Writer

編集部(99)
PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートです。
稲田出(27)
映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチールカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。
石川幸宏(35)
映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。
小寺信良(23)
業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポートする動画連載。
raitank(5)
あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。海外から仕入れた情報を日本語で発信するグラフィックデザイナー/アートディレクター。
ふるいちやすし(44)
自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。
岡英史(19)
バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン
手塚一佳(44)
CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。
江夏由洋(13)
兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。
山本久之(26)
映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。
林永子(26)
2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」
鍋潤太郎(18)
ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。
高野光太郎(4)
映像クリエイター。フリーランスにてミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。
安藤幸央(9)
無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。
猪蔵(5)
いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。
山下香欧(8)
米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。
ヒマナイヌ(5)
頓知を駆使した創造企業
坪井昭久(5)
映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。
萩原正喜(69)
米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。
岡田智博(7)
クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。
江口靖二(5)
デジタルサイネージコンソーシアム常務理事、慶應義塾大学DMC機構研究員などを兼務。
しらいあきひこ(2)
カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。
今間俊博(5)
尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 教授。アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。
伊藤裕美(5)
オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。
秋山謙一(17)
PRONEWS記者。映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。
UserReport(10)
業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。
System5 Labs(8)
SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。

HOME  >  COLUMN  >  [On Avid]Vol.02 Final Cut Proエディターから見たMedia Composer5