映像プロダクションのロボットがCS5を採用した理由とは?

アドビ システムズ 株式会社は、映像の企画制作を手がける映像プロダクションのロボットが幅広い映像の領域でAdobe Creative Suite 5 Production Premium による制作、運用を開始したことを発表した。ロボットといえば、短編アニメーション「つみきのいえ」でアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞したプロダクションとして有名だ。また、コマーシャル、映画、ドラマ、アニメーション、Web の各分野で優れた作品を提供し続ける国内屈指の制作プロダクションである。

今回の発表は、昨年11 月18 日に発表した「アドビとロボットが次世代の映像ワークフローの実現に向けて提携」を推し進めた経過や成果を紹介したもので、ロボットの社内にCreative Suite 5 を導入してテレビコマーシャルを含むさまざまな作業で活用を開始したことや、テープレスへの対応、変換作業の待機時間の削除などにより次世代ワークフローを実現し始めたことを紹介したものだ。

同発表に先立ち、東京・恵比寿のロボットの事務所で、Creative Suite 5 導入による戦略や今後の期待などを代表取締役社長の加太孝明氏と管理本部の鴨川弘樹氏に話を聞くことができた。

robotinterview.jpg

(左):代表取締役社長 加太孝明氏 / (右):管理本部 鴨川弘樹氏

最初に、昨年11 月18 日に発表されたアドビとロボットの提携の経緯を加太氏が振り返る。

提携のきっかけは映像環境の変化です。映像フォーマットの高解像度化やモバイルデバイスなど多様化する環境やテープレスフォーマットの普及など、映像環境の変化に対応する必要を感じていました。そこで、社内の編集室を刷新するタイミングで、アドビと戦略的な提携を結んで、次世代映像制作のワークフローを構築することを決定しました。

テープレスへの対応は映像制作の現場の大きな課題である。現場の現状を鴨川氏はこう語る。

コマーシャルの世界では最終納品はテープが基本です。テープレスが普及していると言っても、テープがなくなったわけではありません。ただ撮影に関しては、テープレスのフォーマットで撮影するのが非常に一般的になってきています。

昨年の提携発表後、ロボットは2010 年7 月に更新したすべての編集室にCreative Suite 5を導入し、テレビコマーシャルや幅広い領域で活用を開始した。現在放映中の日立製作所のテレビコマーシャルはPremiere Pro CS5 によって編集されたものだという。デジタル一眼レフ動画によって撮影されたものだが、Premiere Pro CS5 によって不要な待機時間が削除され、クオリティの向上につながった。鴨川氏は語る。

既存のワークフローでは、テープレスで撮影をした素材をファイルフォーマットやコーデックを変換してからでないと編集作業に入れず、そのために非常に長いに変換作業時間を編集前の工程としてとして組む必要がありました。そして、実際に編集を行うソフトを使って撮影現場で素材の確認をしようとするとファイル変換が必要で、撮影現場では現実的ではありませんでした。

しかしCS 5を導入してからは、撮影をした素材を現場で確認でき、撮影時のファイルフォーマットを変換することなくカラーグレーディング作業までできるワークフローが可能になりました。そして、事前の変換作業が要らなくなったことで、その時間を使ってさらに作品のクオリティを高めることが可能になりました。

映像業界では地上波や映画にとどまらず、3D 映像やFlash アニメーションなどのメディアの多様化や、テープレスなど制作環境の変化が起きている。そして、こうした次世代のメディアや環境への対応で悩んでいる制作現場が多いという話をよく聞く。Creative Suite 5はテープレスのメディアに対応可能なほか、他のアドビのツールと連携していろいろなメディアの制作にも対応できることが可能だ。ロボットの事例が参考になれば幸いである。

WRITER PROFILE

編集部

編集部

PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。