アスク社が扱うファイルベース関連製品群が一堂に会する

アスクは、収録、編集、配信、送出システムといったワークフロー全体においてキーとなる製品を扱う総合商社だ。InterBEE2011でもこれらの製品群を2つのブースに分けて展示が行われた。同社が扱うと言えば、AJA Video Systemsがおなじみだが、GB Labs、Rorke Data、ATTO、Cache-A、Telestreamと多岐に渡るメーカーの製品やサービスが出展された。

InterBEEに合わせて取り扱いメーカーからも開発者や関係者が来日していたため、直接話を聞くことができた。アスクが取り扱う製品を注目の商品と合わせ、今回は、人にフォーカスしながら見ていこう。アスク社が目指すものが見えてくるだろう。

GB Labsの映像制作に最適なシンプルで使いやすいストレージ共有ソリューション「Space」

GB Labsの「Space」は、アスクが今年11月より取り扱いを開始した映像制作向けネットワークストレージ共有ソリューションだ。GB Labsはストレージメーカーとしては後発だが、シンプルで簡単なセットアップやスループット、拡張性で注目を浴びている共有ストレージだ。

今年のInter BEEでデビューしたSpaceシリーズについて、GB LabsのセールスディレクターのAdi Antariksa氏と、ディレクターのBen pearce氏に話を聞いてみた。

Adi Antariksa氏とBen Pearce氏

ストレージの脇に立つGB Labs社のセールスディレクターのAdi Antariksa氏(左)とディレクターのBen Pearce氏(右)

まず最初にPearce氏は、Space誕生の経緯から紹介した。

もともとは、システムインテグレーターと開発の2つの会社があって、開発のほうでは2001年にイラクといった戦場地域で使用するためのビデオ編集室や、2002年にUSの「ディスカバリーチャンネル」やスポーツ専門チャンネル「EXスポーツ」向けにピナクルのCineWaveを使ったビデオアシストを実現してきた。一方、システムインテグレーターの会社では、XsanからStorNext、metaSAN、FibreShareといったほとんとのSANを自らインストールをしたり、お客さんのところに販売もしてきた。ほぼすべての製品を体験してきて、そこで感じたのはSANへの不満だ。

通常のSANは、サーバ、ネットワーク、Fibre Channel、ケーブルが多数あって非常に複雑なシステムになりサポートが大変だ。加えて、シェアストレージはドライバが合わないという相性問題も抱えている。こうしたお客さんとのやり取りから最先端のニーズを機敏に拾って開発したのが「Space」だ。

特徴は、ストレージエリアネットワークをインストールするのに1時間もかからないこと。これはFibre ChannelをベースとしたSANとは比較にならないほど高速なセットアップスピードだ。また、ドライバが一切必要なく、OSネイティブでWindowsでもMac OS XでもLinuxでも使える。例えば、オートデスクのツールで通常ならばサードバーティのドライバの認証が必要だが、Spaceはドライバすらないのでオートデスクのツールでもそのまま動かすことが可能だ。また、Final Cut Pro、オートデスク、アビッド、グラスバレー、アドビの製品と共存させることも可能だ。

さらに、クライアントソフトウェアが存在しない。近所にあるハブからEthernetを1本引いてIPを入力してSpaceをマウントするだけで、編集用のストレージとして使うことができてしまう。Antariksa氏は「こんなに簡単にできるものはほかにないだろう」と紹介した。

パフォーマンスも圧巻だ。特に凄いのは、IBC 2011で公開されたSSDを搭載した「Space SSD」だ。SSDを24機搭載することによりハードディスクと比較して30倍の3,000MB/sを超えるスループットを実現する。2KのDPX連番に9ストリームも対応したり、HDVやDVならば900ストリーム、ProRes422でも146ストリームだ。「非の打ちどころのないパフォーマンスを実現している」とのこと。

例として、今年のInter BEEの会場のオートデスクブースとアスクブースに2K DPX連番を3ストリーム再生できる「MINI Space」のSSDモデルを導入。通常の製品ならばハードディスクが8台でもコマ落ちしてしまうだろうDPX連番を編集して複数のProRes422や非圧縮などを混在させた環境でも、まったく問題がなかったとのこと。Antariksa氏は「Ethernetタイプの製品でここまでできる製品は世の中ほかにないだろう」と紹介した。

さらに、電源を落とさずに容量の拡張も可能だ。SpaceやSpace SSD、Space EchoのRAIDコントローラー1枚に対して、5台まで拡張可能な容量拡張モデル「Space EX」も用意されている。ブロードキャストといった電源を落とすことはできない環境でも、ストレージを拡張できるのは便利だ。

さらに、データベースとまったく同じ内容の複製を別のコンピュータ上に作成する「レプリケーション」が可能で、通常通りサーバを使い続けながら、転送量を抑制してスケジュールバックアップや差分バックアップといったものを高速に行うことも可能だ。

リアルタイム編集に耐えうる速度や、ストレージの拡張性、シンプルなネットワークストレージ共有ソリューションに興味があるというプロダクションは要チェックの共有ストレージだろう。

「Midi Space」と「Nano Space」とMacとの接続例

ポータブルな共有ストレージユニット「Midi Space」とeSATA RAIDをネットワーク共有ストレージにする「Nano Space」とMacとの接続例。非常にシンプルにシステムを組めることに注目してほしい。

ATTOがNetApp、IBM、EMC、HPの各社とストレージソリューションでタイアップ

ATTOはホストアダプタやRAIDアダプタ、RAIDストレージコントローラなど、各種ストレージとの接続環境を提供するメーカーだ。1988年に設立して以来、23年で60か国、200万以上の製品を出荷した実績を持っている。そんなATTOでインターナショナルセールスマネージャーを務めるカート・バイヤー氏がInter BEEを機会を来日。新製品のトピックについて紹介をしていただいた。

カート・バイヤー氏

ATTOのインターナショナルセールスマネージャーのカート・バイヤー氏。手に持っているのはATTO製の10GbE NIC。GB Labsの「Space」と相性がいいとのことで、ストレージの前で撮影に応じてくれた。

他社をリードする新技術「MultiPath Director」

バイヤー氏が最初に紹介したのは、NetApp、IBM、EMC、HPとのタイアップだ。これらのメーカーはもともとITマーケットを中心にストレージを販売してきたが、近年、メディアアンドエンターテイメント市場のストレージ消費量に着目して、参入しようという動きが起こる。そこで各社はATTOの「MultiPath Director」という技術に着目して、次々とATTOとコラボレーションをしてソリューションを実現。これらのソリューションはすべてATTOのFibre ChannelのHBA(ホストバスアダプタ)とMultiPath Directorを使っているとバイヤー氏は紹介した。MultiPath DirectorはATTO社のFibre Channel HBAに組み込まれた特殊ドライバで、Mac、Windows、Linuxなどの異なるワークステーションから同じサーバストレージへの接続を可能にするATTO独自の技術だ。

また、ITマーケットは小さなデータが多いが、メディアアンドエンターテイメントやビジュアライズやメディカルといった市場は扱うデータが大きいという傾向がある。しかし、ATTOの技術を使えばワークステーションのOSからストレージに直接アクセスができるというのも優位な点とのことだ。

バイヤー氏は「WindowsやLinuxにもMultiPathがありますけれども、ATTOのMultiPathドライバを使うほうがパフォーマンスや安定性が良いうえに、使いやすいです。また、MacのMultiPathという技術は今でもATTOしかありません」と優位性をアピールした。

PCIe 3.0対応のSAS/SATA対応HBAや10GbE NICの新製品をリリース

2つ目の話題は新製品で、6Gb/sのSASのHBAから紹介した。HBAというのはデータセンターなどで使われるJBOD(複数のハードディスクを統合してハードディスク容量を統合する技術)をターゲットにして作られた製品であることから触れた。例えば、データセンターでは、RAIDよりも安くてマネージメントが簡単という理由でJBODを使っている。ATTOのHBAはJBODで最高のパフォーマンスがでるように設計されているとのことだ。

一方、ビデオの世界は予算があるので、RAIDのストレージを採用するのが一般的だ。ところが、HBAとRAIDストレージをつなげると、1レーンしかデータが送れないといった問題が起きてしまうという。そんなワイドポートの問題を解決したのが11月に発売をした「ExpressSAS H6F0 GT」だ。初めてPCI Express 3.0を採用したHBAで、Marvellのチップを採用しているのも特徴とのことだ。

もう1つの新製品はネットワークインタフェースカード「FastFrame 10GbE Network Interface Cards」だ。従来のATTOのネットワークカードは、インテルのネットワークカードをOEMとしてATTOのブランドで売っていたものだったが、新製品のFastFrame 10GbE Network Interface Cardsは、プロセッサはインテルだが100パーセントATTO製になっている。かなりパフォーマンスがよく、Windows、Linux、Macもサポートする製品とのことだ。

ExpressSAS H6F0 GT

PCIe 3.0を採用した6Gb/s SAS/SATA HBA「ExpressSAS H6F0 GT」

FastFrame NS12

10GbEのネットワークカード「FastFrame」シリーズの「FastFrame NS12」

来年はThunderboltの年か

バイヤー氏は最後に「来年はThunderboltがキーワード」とATTOの今後のトレンドを語った。Thunderboltは10Gbpsというスループットを実現するMacのI/Oインターフェイステクノロジーのことで、ATTOはインテルがLight Peak(Intelが提唱した次世代伝送規格の名称)のテクノロジの開発をしていた頃からサポートをしてきた経験がある。もし、「ThunderboltからSAS」や、「ThunderboltからSAS RAID」といったソリューションを実現したい場合は、ブリッジングの技術をOEMで供給が可能とのこと。来年のATTOはThunderbolt関連の新製品で賑わっているかもしれない。

AJA Video Systems

AJAブース

数々の新製品で賑わったAJAブース

AJAはNABやIBCなど今年に入って矢継ぎ早に新製品やバージョンアップを行っている。InterBEEではこうした新製品とともにAJAプロダクトマーケティングマネージャーのBryce Button氏も来日した。今回のInterBEEでの見所をお伺いした。

Bryce Button氏

AJA プロダクトマーケティングマネージャー Bryce Button氏

–今年は今までになく多数の新製品がありますね。

NAB2011でThunderbolt対応のビデオI/OディバイスIo XTやデュアルチャンネルユニバーサルフレームシンクロナイザー&コンバーターFS2、FiDO SDI/Optical Fiberミニコンバーターシリーズを発表したほか、IBCではAJA製品およびプラットフォームに同一のインターフェースを提供するソフトウェアAJA Control RoomやKi Pro Miniのファームウェアアップデート、低価格アナログ/デジタルビデオキャプチャカードKONA LHe Plusなどの発表を行いました。

–AJA製品のAvid DNxHDへの対応はひとつの大きなトピックといえますが。

今回の新製品であるIo XTはもちろんのこと、ファームウェアのアップデートで現行製品であるKONAシリーズやKi Pro MiniもAvid DNxHDへ対応します。これにより、MediaComposerやNewsCutter、SymphonyといったAvidの編集プラットホームでシームレスにファイルベースのワークフローを展開できるようになります。ProResだけでなく、Avid DNxHDにも対応したことで、より幅広いユーザーにAJAのプロダクトを利用していただける環境が整いました。

Ki Pro

Ki Proはファームウェアのアップデートで本体付属のExpressCardスロットがProRes 422 SQまで利用可能になるほか、背面のFireWire800ポートによるファイル転送やタイムコード&ステータスのスーパー出力、WebUIによるプレイリスト管理などが可能になる。

Ki Pro Mini

Ki Pro MiniはファームウェアのアップデートでAvid DNxHDに対応するほか、タイムコード&ステータスのスーパー出力、Sony 製カメラのHDMIタイムコードなどに対応。また、LANCやLensTapも使用可能になる。

–NAB2011で発表されたIo XTにはThunderboltのコネクターが2つありますね。

Thunderboltは最大10Gbpsの転送速度をもち双方向通信にも対応しているので、高速転送が必要なビデオストリームに適したインターフェースといえます。また、外付けのディスプレイも接続できる仕様になっているので、MacBookProなどのポータブル機器でThunderboltを利用してビデオ編集システムをモバイルで組むこともできます。ただ、Mac側にはポートが1つしかありませんので、こうした複数の周辺機器を接続するためにはハブのようなものを使用するかデイジーチェーン接続することになります。Io XTは2つのThunderboltのポートを装備していますので、ハブなどを用意しなくても高速な外付けディスクドライブなどをデイジーチェーン接続することができます。

Io XT

Thunderbolt対応のビデオI/OディバイスIo XT。非圧縮、Apple ProRes、DVCPROHD、CineForm、Avid DNxHDなどのキャプチャーやモニタリング、マスタリングをサポートしている。

–FS2デュアルチャンネルの利点は。

FS2はFS1を単に2台組み込んだだけでなく、HDMI入出力のほかアナログコンポーネント・コンポジット、3G/HD/SD-SDI、Dual-Link、入出力に対応しており、1080p50/60を含むSD-HDフォーマット間のアップ/ダウン/クロスコンバート、AES/EBU 16chデジタルオーディオなどより幅広い入出力とフォーマットへの対応が図られています。また、放送局向け5.1chサラウンドである Dolby Eエンコーディング/デコーディングにもオプションで対応可能となっています。こうした機能を2基装備することで、たとえばひとつのソースから異なる二つのビデオフォーマットへの変換や、上りと下りで異なるビデオフォーマットでやり取りすることができます。

さらにビデオと背景グラフィックスをアップコンバートして結合するHDサイドバーキーイングを行うことも可能です。2系統の入出力はルーティングに対応し、コネクターの抜き差しをしなくても自由にアサインできるようになっています。IBCではFS2の心臓部であるビデオプロセッシング技術を採用したSD/HD/3G-HD対応のアップ/ダウン/クロスミニコンバーターUDCを発表しました。

FS2

デュアルチャンネルユニバーサルフレームシンクロナイザー&コンバーター FS2

最後にBryceBution氏は、

今回のInterBEEでは、Io XTやFS2といった新たなプロダクトの他、AJA製品のAvid DNxHDのサポート、AJA Control Roomなど、より使い勝手がよくパワフルな製品を出展できたことを嬉しく思います。AJAでは製品を安心して使っていただけるよう、デスクトップ製品は3年、コンバーター、ミニコンバーター製品は5年の製品保証をつけています。

また、Ki Proを始めとしたファームウェアのバージョンアップは基本的に無償でユーザーに提供しています。これからも皆さんのご要望を取り入れ、より良い製品開発とTCO(Total Cost of Ownership)に優れた製品を世に出していきたいと思います。

と語った。

Cache-A

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Cache-AはNASとLTOを組み合わせたユニークなアーカイブシステムを開発、すでにPrime-CacheやPro-Cacheなどを多くのプロダクションなどに納入しているが、今回新製品としてPrime-Cache5やPower-CacheなどLTO-5ベースの新製品を出展した。これらはすべてLTFSに対応したもので、カタログのネットワーク共有、高速なテープ複製機能などが追加されたCache-A 2.0ソフトウェアが搭載されている。こうした新製品を中心にマーケティング&セールス担当副社長のMark Ostlund氏にお話を伺った。

–新製品が出たことで製品ラインナップの幅が広がりましたね。

現在Pro-Cache、Prime-Cache5、Power-Cache、Pro-Cache Library24 / 48がラインナップされており、LTOドライブを1基搭載したシンプルなものからライブラリーまで、容量や規模に応じて最適なものを選んでいただけるようになりました。これらの製品はすべてLTO5に対応しており、テープ1本あたりの容量が増えただけでなく、LTFS対応のソフトウェアアップデートがなされています。これにより、物理的な場所やOS、ソフトウェアアプリケーションに依存しない、コンテンツの交換を可能にします。ソフトウェアのアップデートは無償で提供され、LTO4を搭載した従来機種のテープもLTO5対応のドライブでも互換性が保証されています。

–新製品のPower-Cacheは1Uラックマウントですね。

LTOドライブを1基搭載したPrime-CacheやPro-Cacheはデスクサイドに置いて使用できますが、Pro-Cache Library24 / 48などと共にラックマウントすることもできます。一方Power-Cache本体にはLTOドライブは搭載されていなくて、LTOドライブを2基まで搭載できる1Uラックマウントタイプのものや24巻のテープを搭載できるLibrary24や48本搭載できるLibrary48と組み合わせて使用します。Power-Cacheは非圧縮や4kといった容量の大きいファイルを扱うところや多数のユーザーが参加するような比較的大きなネットワークでの使用を想定しています。そのため、Gbit Ethernetだけでなく、10Gbit Ethernetも装備しています。さらにこうしたネットワークをフルに活用できるようにRAIDアレイとは別にアーカイブデータベースやユーザーインタフェース、OSなどを格納したSSDを装備しており、RAIDアレイの全帯域幅を可能な限りの最高速度でデータ転送できるようになっています。プロセッサーも3GHzのクアッドコアを搭載しており、高速処理を実現しています。

–Power-Cacheは今までの製品と異なった設計思想ということでしょうか。

NASとLTOを組み合わせることでアーカイブ作業をあまり意識することなく手軽に行えるということでは一貫しています。扱うデータの容量が大きかったり、ネットワーク上のアーカイブを利用するユーザーが多くなったり、アーカイブデータが格納されたテープを一元管理したいなどアーカイブを必要とする現場は様々です。特に最近では3Dや4kといった大きな容量を扱うことも多くなってきていることから、こうした需要が高まっています。単にアーカイブ作業を簡素化するということだけでなく、使う人達がいかにストレスなくアーカイブすることが出来るかという面では一貫した設計思想に基づいているといえます。

Cache-Aのアーカイブソリューションは、Cache-Aに搭載されたNASにアーカイブしたいデータを投げてやればテープへの記録や速度など意識することなく作業を続けることができます。こうして保存されたデータは自動的にデータベース化され、ネットワーク上にいるユーザーは自由に参照したり検索すことが可能です。たとえ、テープを入れ替えたりしてもCache-Aのシステムはカタログデータの履歴を保存しているので、一々テープの内容をロードする必要はありません。ネットワーク上に複数のCache-Aがある場合はどのドライブにLTOテープを装填しても同じように機能します。Pro-Cache Libraryを利用すればテープを交換したりする手間もありません。こうした利便性をネットワーク上でストレスなく利用するためには高速なネットワークのためのインターフェースが不可欠になります。Power-CacheはCache-Aの利便性を規模が大きくなっても同じように利用できるのです。

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Cache-Aマーケティング&セールス担当副社長のMark Ostlund氏

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Prime-Cacheの後継機として新たにLTO-5ドライブと2TBのハードディスクを搭載したPrime-Cache5

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上からPower-Cache、1RULTOドライブ拡張ユニット、Library48。Library48には最大4基のLTO-5ドライブを搭載することができる。

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Library48のテープトレーに装填されたLTOテープ。汎用のバーコードを併用することも可能。

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Library48に装填されたテープを管理するライブラリーマネージャーのGUI。

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アセットマネジメントシステムCatDVから直接Cache-Aにアーカイブすることが可能。

Telestream

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Telestreamはオンラインやモバイル配信向けのビデオ制作のワークフローのためのエンコーダーやトランスコーダー、サーバーソフトウェアなどのデジタルメディアツールやワークフローソリューションを提供している会社だが、NAB2011では新製品としてビデオキャプチャーからトランスコード、解析、メタデータ処理、配信や通知、管理に至るまでを統合したVantage Enterpriseシステムマネージメント製品を発表したほか、DVCPRO 50やProRes LT/ProxyフォーマットをサポートしたビデオキャプチャシステムPipelineのバージョン2.6(Windowsのみ)を発表した。今回のInterBEEではこれら新製品と昨年発売となったマルチフォーマットエンコーディングソフトウェアEpisode 6などを出展しているが、こうしたプロダクトについてTelestreamのセールスエンジニアJosh McMahon氏にお話を伺った。

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AnystreamのAgility 2Gとの融合によりシステムマネージメントの機能が強化され、広範かつ弾力的なワークロー環境を構築できる。

–新製品のVantage Enterpriseは規模の大きな需要家向けの製品ですね。

ビデオ映像を配信する場合のワークフローとして、インジェストやトランスコード、エンコードのほか、映像ファイルの管理やファイル解析、ファイル品質管理、メタデータ処理など様々な過程が必要となります。それらを統合したものがVantageなんですが、Vantage Enterprise はAnystream(2010年8月に米Grab Networks社からAnystream部門を買収)のシステムマネージメントのノウハウを融合することでより広い分野への適合と弾力的なワークロー環境を提供できるようになりました。Vantage EnterpriseにはVantage Enterprise ControlとVantage Master Controlという2つの製品構成があります。

Vantage Enterprise Controlは、ユーザーグループを管理する機能やハードウェア的な冗長性により障害からの信頼性を高め、大規模なシステムやミッションクリティカルな環境に向けたワークフロー管理の統合環境を提供しているほか、複数のVantageワークフロー製品の統合運用を可能にしています。Vantage Master Controlには、Vantage Enterprise Controlの全ての機能に加えて、システムのステータス、ヘルスコンディション、パフォーマンスのグラフィカルなモニタリング環境を提供するシステムダッシュボードのほか、課金や容量計画作成のためのリポートなどを自動生成するヒストリカルリポートなどの機能が追加されています。

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VantageのMulti Format Transcodeメニュー画面。Watchホルダーとエンコードの設定。

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VantageのSmart SD and HD Transcodingメニュー画面。アナライズなどもグラフィカルな表示でわかりやすい。

–Vantageとの連携で更に幅広いワークフローへの対応ができますね。

Agility 2GネットワークにVantageを直接統合することによって、ProResへのエンコードが可能になりました。これにより、Final Cut Proへの対応が可能になり、Windows環境とMac OS X環境のシームレスなデータのやりとりやWindowsサーバーベースのiTunes向けコンテンツ制作環境の構築が行えるようになりました。

またPipelineとの連携によりネットワーク経由でのインジェストが可能で、Pipelineのバージョンが2.6になったことで、Avid製品でのワークフローにおいてPipelineが仮想VTRとしてふるまい、キャプチャー中のファイルを編集することができるようになったほか、DVCPRO 50やProRes LT/Proxyフォーマットのサポートや、メタデータをTelestream Vangtageのワークフローに引き継ぐことが可能となりました。Pipelineは複数チャンネルの同時インジェストや出力が可能なほか、MXF OP1aフォーマットをサポートしたことで、さまざまなファイルを直接再生・出力することが可能となりました。

–他にもバージョンアップになった製品が幾つかありますね。

エンタープライズ製品ではないですが、Episodeのバージョンが6.2になっています。AVC IntraやProRes444、DPXなど対応フォーマットが増えています。

クロマキーやマルチストリーミングができるライブウェブキャスティングソフトウェアWirecastもバージョンが4になり、予め用意しておいた動画ファイルを使用したり、複数台のカメラの映像をそれぞれのレイヤーに配置して合成したり、文字やロゴの合成、複数のマイクを使った放送ができます。Ustreamなどの配信では有用なソフトといえるでしょう。これからも様々なテクノロジーを取り入れ、より幅広いユーザーの要求に柔軟に対応できる商品を開発していきたいと思います。

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Telestreamセールスエンジニア Josh McMahon氏

中小規模映像制作プロダクションに最適なRorke DataのSANストレージ「HyperDrive」

Galaxy Aurora 36

アスクのブースで展示されていた今年から出荷を開始した「Galaxy Aurora 36」

Rorke Dataはアメリカのミネソタ州ミネアポリスにあるシステムインテグレーター兼開発をしているストレージ専業メーカーだ。昔から日本の映像業界でも有名なブランドなので、一度は聞いたことがあるのではないだろうか。

国内では当初、複数の販売店が扱っていたが、2009年11月よりアスクが独占販売代理店契約を締結して現在に至っている。最近では、今年4月にGalaxy Aurora 36とGalaxy Aurora LPを発表し、現在は両モデルとも販売を開始している。また、今年11月にはSANストレージの「HyperDrive」の販売を開始した。Inter BEEの会場でアスク ASK DCC技術営業の木下啓氏に新製品の特徴について話を聞くことができた。

Rorke Dataというと、中小規模の映像制作プロダクション向けに手頃な価格で高速かつ安定したSAN環境を提供するというだけでなく、「初期不良はあったことがない」と木下氏が言い切るほど製品の管理体制がしっかりしているのも見逃せない特徴だと語る。ミネアポリスの工場はすべて静電床になっているなど厳重な品質管理のもとで出荷されているという。

木下氏が紹介してくれた新製品は3つ。そのうち、「Galaxy Aurora 36」と「Galaxy Aurora LP」の2つの製品は、映像に使える高速なストレージだ。

Galaxy Aurora 36は、従来モデルのGalaxy Aurora 24より容量が増えたモデルだ。4Uの筐体に36台の3.5インチSASまたはSATAドライブを搭載可能で、最大108TBの容量を実現できる。転送レートは最大4,000MB/secだ。

Galaxy Aurora LPは、従来モデルのGalaxy Aurora 24から2.5インチで小型化してさらに高速にしたモデルだ。2RUの筐体に2.5インチが24個搭載可能で、最大24TBの容量を備えるモデルだ。最大3,000MB/secと非常に高速な転送レートも特徴だ。

もう1つの新製品はSANストレージの「HyperDrive」というシリーズだ。HyperFS Metadata ServerをAuroraシリーズに搭載して、オールインワンのSANソリューションを1台で実現したものだ。特徴は、背面にFibre Channelインターフェイスを搭載しており、直接Fibre Channelに接続可能なことだ。つまり、高価なFibre Channelスイッチを必要とせず、直接最大7台のクライアントのMacやWindows、Linuxから直接同時に共有ボリュームへのクセスが可能だ。

HyperDriveのラインナップは、Galaxy Aurora LSとGalaxy Aurora 24、新発売のGalaxy Aurora LPとGalaxy Aurora 36の各モデルにSANストレージ共有システムを搭載済みのものが発売されている。現在はこれが目玉の商品になっているとのことだ。

最後に木下氏は競合製品とHyperDriveの違いについてこう紹介した。

HyperDriveは、SANとして共有ストレージとして手軽に使えるのが魅力です。映像用のストレージというとiSCSI対応のものでDDPやEditShare、XSANといったものがあります。しかし、Metadata Serverを立ててネットワークを全部作り直しみたいなものが多く、規模が大きくなってしまいます。HyperDriveは1つのサーバだけでできる手軽なのが利点です。共有ストレージでありながらお手ごろな価格を実現しつつ、かつFibre Channelは大変に安定して動く、安心して使えるSANストレージです。

導入先で多いのは、ポスプロやスタジオで、人気のモデルは12ドライブのGalaxy Aurora LSだそうだ。具体的な導入実績として、IMAGICA湾岸スタジオやテレビ大阪など名高いスタジオで採用されはじめているとのことだ。

コストパフォーマンスの高いSANストレージソリューションを導入したいというスタジオやプロダクションにお勧めの製品といえるだろう。

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。