txt:倉田良太

今年はデジタルカメラの発売、発表が多い。写真用、映像用、両方用?など様々な機種が発表され続けている。思えばCINEMA EOS C300が発売されたのも今年の1月末の事だ。そんな中、CINEMA EOS C100が発表された。11月下旬発売予定。意外と近い。今回C100のデモ機を試す機会を得たため、率直な感想を書いてみたい。このデモ機をお借りした期間に、C300×2台、EOS 7D×2台というマルチカメラで撮影する「東京ごはん映画祭」という企画があった。カメラを評価するには使ってみるのが一番!という事で、C100も現場に持ち込んでみた。

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左から7D、C300、C100

C100はC300に比べて一回り小さく軽くなっている。また廉価機としての宿命か、HD-SDIアウトやTCのIN/OUT端子も無くなった。HD-SDIは正直残しておいて欲しかったが…記録メディアはSDカードになり、AVCHDフォーマットで記録する。

長時間撮影の必要性

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今回の現場は30分前後長回しで、料理しているライブ感を伝えるのがテーマだ。ここで7Dの連続撮影可能時間12分が問題となった。映像専門に作られているC100なら、メディアの許す限りの長時間撮影も可能。これは大きな利点だろう。

C100は小さく軽いため、DSLR機のような扱い方も可能な例。後ろに見える極太ケーブルはHDMI 10mのケーブル。5m以上ケーブルを引く場合HDMI-HD-SDI変換した方が良さそう。


操作系

C100はCINEMA EOSの入門機として、操作系を覚えるにはいいと書こうと思っていたのだが…意外と変更されている。C300に比べて操作ダイヤルなどかなり減っているがシンプルになり直感的に操作出来た。NDフィルターの操作が電動ではなく、手動になった。これは特に気にならない点だ。間違って変えてしまう可能性が無くなったという意味ではいい事かもしれない。ISOボタンやシャッターボタンは、「感度変えよう」「シャッタースピードを変えよう」と思った時に直感的に操作できた。

C300のFUNCボタン形式でも今まで特に不自由を感じた事は無かったが、C100とC300を同時に使用した場合、「あれISOボタンは…」と探してしまう事が多々あった。C100もC300もボタンに割り当てる機能をカスタマイズできるので、自分なりに使いやすいようには出来るが、デフォルトの値は使用者間の基準になる。この辺、もう少し統一してもらいたかったというのが本音。自分用にカスタマイズした場合、アシスタントに説明しなくちゃならないから…

新たな機能インプレッション

C300と比較すると、どうしても無くなった部分に目が行ってしまうが、C100に加わった新たな機能を見てみよう。CanonのEOS C100のサイトを見てみると、「ワンマンオペレーション」という特徴が書いてある。フムフム。そうか、C100は一人でも操作しやすいように考えられているのか。オートの部分の意味がこれで理解できる。

ONE-SHOT AF
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このボタンを押すと、オートでフォーカスを合わせてくれる。フォーカスを探る様に動くため撮影中に使うには厳しい。あくまでもショットの撮影前に使うものと考えた方がいい。

PUSH AUTO IRIS
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こちらは、撮影中にも使える。撮影中に光の条件が変わったり、明るいものや暗いもののアップを撮ったりとした状況では重宝するだろう。このAUTO IRISで基準を判断し、WFMで確認しながら露出を決めるのがスピーディ。前述したISO/GAINボタンやSHUTTERボタン、ND FILTERを動かすダイヤルも見える。

音声入力とカメラマイク
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C100にはカメラマイクが付いた。これは嬉しい。自分の仕事ではガイドで音を入力しておくという事が多いため、音が入るのは助かる。またXLR端子は、現場的には必須という人達もかなりいるだろう。この点がDSLR機との選択で決め手になるかも。

ワイドDRガンマ

個人的にC100で一番注目している所。これは別途簡単な比較テスト撮影をしてみたので参考になれば。今回はロケでありそうな、ビルのシャドー、空、太陽の直射ありというハイコントラストなシチュエーションを選んでみた。レンズはEF 17-40mm、絞りは開放のF4。これは全部共通で、カスタムピクチャーを変えて撮影してみた。ガンマ以外の部分も変わっているが、一般的にカスタムピクチャーを使用する場面が多いと考えて。

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ノーマル(カスタムピクチャーOFF)…この状況では辛い

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ワイドDR…なかなか良い。撮影後にグレーディングするというワークフローが成立しない時にはこのワイドDRを使用するのがいいかもしれない。被写体と撮影条件に依るのはもちろんだが

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Canon Log…ダントツに柔らかい。AVCHDのグレーディング耐性までは今回検証できなかった。本格的なグレーディングにはHDMIを外部収録したい所だ

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EOS Standard…このようなハイコントラストな状況では、使用は大冒険…

ひとつ、今回気付いた点として、カスタムピクチャーのファイルはC300と互換性が無かった。C300と混ぜてC100を使うこともこの先考えられる。機能的に可能なら、C300とC100のカスタムピクチャーファイルは互換性のあるものにして欲しい。

ライバルはズバリ5DMarkⅢ!

さて、駆け足でC100の新たな機能を中心にみてきた。実際、どのような人にオススメなのか?

CINEMA EOSとしては、最廉価機であるC100はまさにDSLR機と比較されるだろう。C100に注目している人は、EFレンズを数本持っているに違いない。価格帯から考えて、同じEFレンズを使える動画用?カメラとして5DMarkIIIが最大のライバルなのではないだろうか!とこの文章を書いている間にEOS 6Dも発表された。本当に発表ラッシュだ。なかなか選択が難しいが用途に応じて購入の際のポイントをまとめて簡単に列挙しておく。

  • 内蔵ND
  • HDMI 非圧縮出力
  • Canon Log
  • 長時間撮影
  • XLR音声入力
  • 写真は撮れない
  • フルサイズではなくAPS-C

C300と比較すると無い物ばかりが目についてしまうが、5DMarkⅢと比較すると動画専門機としての面目は保っているのが改めてわかる。EFマウントの動画専門機としてCINEMA EOSの一員であるC100は、センサーは高感度に強く解像力もある。この辺はスペックだけではわからない点なので、実際に触って、映像のクオリティも確認して購入の参考にして欲しい。C100というカメラの一番の売りは、このセンサー部分でカメラとしての本質的な基礎的な所なのかもしれない。

今回C300をメインに撮影した「東京ごはん映画祭」について

こちらのサイトに情報があります。
BS12シネマ 東京ごはん映画祭|BS12ch TwellV(トゥエルビ)

自分としては、APS-Cサイズセンサーのカメラをマルチで使い、なおかつライブ感を出すという新たな挑戦でもあります。照明、カメラポジション全てに関わってますので、ぜひ観て頂いて感想など聞かせて頂けたら幸いです。

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。