[新・デジタルサイネージ入門]Vol.03 デジタルサイネージの分類とビジネスモデルとは?
2009-03-03 掲載
デジタルサイネージのビジネスモデルは非常に多岐にわたっている。極端なケースではお金の流れが180度違ったりもする。もしかすると同じデジタルサイネージと言う単語でくくること自体が間違っているのかもしれない。そんな中でできるだけわかりやすく、そして誤解されがちな点について話していきたい。
さまざまなデジタルサイネージの形
まずはいくつかのパラメータでデジタルサイネージを見てみよう。
■ロケーションによる分類デジタルサイネージの最大のメディア特性は時間と場所が特定できる点である。日本のデジタルサイネージに適した場所はデジタルサイネージコンソーシアムで規定しているように以下の5つに分類することができる。
- 交通機関(鉄道(駅を含む)、空港、バス、タクシーなど)
- 流通・チェーンストア(GMS、CVS、ファーストフードなど)
- 特定セグメント施設(病院、理美容院、フィットネス施設)
- 一般小売店舗(小規模の一般のお店、店舗)
- その他(街、地下街、ロードサイド)
- ロケーションオーナーが負担
- 第三者が負担
ロケーションオーナが設置とはその場所の保有者と設置者が同じ場合である。第三者が設置とは多くの自動販売機がそうであるように第三者が他人の場所を借りて設置するものである。この場合にも賃貸料的な固定費は発生する場合とレベニューシェアの場合がある。
■利用目的による分類- 広告モデル
- 販促モデル
- インフォメーションモデル
広告モデルは広告宣伝費で、販促モデルは販売促進費を利用するものであるが、この広告と販促の違いは明確なものではないケースが多い。どちらもクライアントが存在して自身の商品やサービスを売りたいというのが最終目的である。インフォメーションモデルは設置者が収入ではなく利用者サービスとして実施するものである。同一媒体の中でこの1から3までが混在するケースも多い。
デジタルサイネージの存在明確化が急務?
「何処で、誰の金で、何のために」デジタルサイネージをやるのかということが明確にされなければならない。これを読者のみなさんは当たり前でしょうと思うだろうが、このことがほとんどのデジタルサイネージでは見落とされてしまっている。昨今のデジタルサイネージは、なんとなくブームらしい、テレビメディアに変わるのはこれだ、新しい建物にはあって当然などといった議論が多く、本費的な話が忘れられているケースが非常に多い。とりわけデジタルサイネージはメーカーが市場を先導してきたのでどうしても物売りのため、それもフラットパネルディスプレイ(FPD)の市場拡大のために家以外の場所にディスプレイを設置させようとしてきたからである。
わかりやすい例を一つ取り上げよう。 BPという石油会社がある。彼らがそれまで未開拓であったアメリカ市場への進出を目指して検討されたマーケティング戦略がある。それは消費者に近いところでブランド訴求することが最も正しいと判断した。その場所はガソリンスタンドであったが、そこにはデジタルサイネージは存在していなかった。そこでじゃあ自分たちで設置しようとプランを作り、そしてそのサイネージ(BPのブランディングではなく)の事業単体の計画に対して投資家を集めることに成功した。彼らがガソリンスタントという場所でBPを訴求するために選んだ手法がデジタルサイネージであったわけだ。BPはデジタルサイネージがしたかったのではなく自社の市場拡大のためにそれを行ったに過ぎない。これも書いてしまえば当たり前に聞こえるだろうが、日本ではなぜかスタートラインであるニーズが忘れ去られてしまうのである。物売りのニーズからだけ出発しがちなので利用目的に苦慮することになるという本末転倒になるのだ。
またビジネスモデル関連ではもう一つ大きな誤解がある。まず広告にせよ販促にせよ、ナショナルスポンサーが日本中のデジタルサイネージ枠をバシバシ利用するという幻想である。これは断言するがあり得ないことだ。なぜならば彼らは何千何万というごくごく小さなデジタルサイネージメディアを束ねての日本中をカバーするような手間をかけなくても従来のマスメディアでそれは可能である。わざわざデジタルサイネージにシフトさせる必然性は薄い。もちろん地域ごとのニーズや状況の変化に対応するというものは当然デジタルサイネージの特徴であるのだが、それが全てではない。もっと大きな潜在ニーズを忘れがちだ。
その潜在ニーズとは、ごくごくローカルの、折り込みチラシよりもさらに小さなスポンサーをイメージするとわかる。彼らの商圏はせいぜい半径数キロで、広範囲のマスメディアや、彼らにとって無意味にボーダレスのインターネットよりも、店の前でのアルバイトによる割引券配りの方が遙かにリアリティがあるからだ。デジタルサイネージは本当に狙うべきはこのターゲットであり、このターゲットにリーチしているのは大手広告会社では決してなく、従来の看板ポスターを扱っている地域の広告会社である。こうした会社はデジタルサイネージに対してそのネーミングイメージも含めて違和感を少なからず感じているようだ。実のところは張り替えのいらないポスター看板と言うことであって、なんらの先進性やITテクノロジーの話ではないことに気がついていただきたいものだ。
特集:デジタルサイネージ2009
[ Writer : 江口靖二 ]
[ DATE : 2009-03-03 ]
[ TAG : デジタルサイネージ ]
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WRITER PROFILE
江口靖二
1986年慶應義塾大学商学部卒、慶應義塾大学新聞研究所修了、日本ケーブル
テレビジョン(JCTV)入社。技術局、制作局、マルチメディア室、経営企画
室を経て開発営業部長。CS、BS、地上波の番組制作、運用を経験。00年AO
Lジャパン入社、コンテンツ部プログラミングマネジャー。02年プラットイーズ
設立に参画し放送通信領域のコンサルティングに従事。08年独立。現在デジタル
サイネージコンソーシアム常務理事、慶應義塾大学DMC機構研究員、株式会社シ
ェフィーロ取締役などを兼務。
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