[東京Petit-Cine協会]Vol.03 映画は大人数でつくるもの?

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[東京Petit-Cine協会]Vol.03 映画は大人数でつくるもの?

2009-09-04 掲載

[東京Petit-Cine協会]Vol.03 映画は大人数でつくるもの?

ついにやってしまった!一人ロケ。

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様々な事情が重なりやらざるを得なく、今回ショートムービー撮影を一人で敢行!しかも、プチ・ロードムービー!見た目はかわいい女子高生三人に囲まれて天国のようだが、実際は地獄だった。酷暑と湿気と強風の中、荷物を運ぶのもセッティングも、移動の車の運転も、役者達を叱るのもなだめるのも全部一人。さすがに集中力も限界を超え、細かいミスも冒してしまったが、なんとか予定通り撮り終えた。しかしこれは自慢するべき事ではない。せっかくのロケーションと役者たちの演技をしっかりと捉えるためにベストを尽くすべきだし、そのためにはスタッフの助けも必要だ。かといって、たくさんいれば良いという物でもない。大きなチームはコントロールも難しくなるし、もちろんお金も多くかかる。何よりも映画のように照明、美術、撮影、音声、メイク、制作...そしてそれぞれのアシスタントなんて考えていくと、撮影自体、なかなか取り掛かれなくなる。

プチシネを撮るのにはどれほどのスタッフが必要なのだろうか?もちろん作品の内容にもよるが、少なくとも最小限に抑える努力と発想をしてほしい。その方がより良いコミュニケーションが生まれ、結果、ベストの作品作りができる。例えば今回の僕のロケ、あと二人くらいの「出来る」スタッフがいれば完璧にできただろうし、これがもし室内のロケであれば一人でも難無くやれたかもしれない。それほど役者も含めて目的意識と一体感は素晴らしかった。今回はプチシネ用最小限のチームの作り方を考えてみたい。

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集中力の種類によるスタッフの分担

撮影中のモニターをイメージしてみてほしい。各スタッフが特別な集中力で覗き込むのだが、一つの画像の中で各スタッフに見えている物が違うと言っても過言ではない。監督というのは言うまでもなく、全てにおいての責任者なのだが、「全てにおいて」完全な指示とチェックをこなせるスーパーマンはそうそういるもんじゃない。まず監督が見なければならないのは演出面、中でも役者のセリフや動きによる表現の善し悪しだろう。しかしそれに集中するあまりに周りの事が目に入らなくなったり聞こえなくなったりする事もある。例えば役者の眼差しや仕草に集中していると、その背後で起こっている事をつい見逃してしまったり、時間や天気の変化で色が微妙に変わってしまったりしていても気付かない危険性がある。

カメラマンは監督や役者が作り上げようとする表現をしっかり捉えるべく、被写界深度の調整やカメラの動かし方といった技術面をサポートすると共に、主体はもちろん、背景にまで気を配っている。カメラマンがよく口にする言葉で「フレームの四隅をよく見る」と言われるが、正に監督との目の違いというのがそこに表れている。他にも音声さんが注意を注ぐ小さなノイズ、メイクさん、衣装さんが見守っている役者のスタイルの乱れ等、いざ編集に入ると血の気が引くような致命的なミスが見つかる事がある。それぞれの技術はもとより、撮影というやり直しのきかない貴重な機会を確実におさえる為には、専門職であるが故の感性と視覚、聴覚が必要なのだ。

冒頭に書いた「小さなミス」というのも、そういう目や耳が今回の現場には皆無。そういう事を考えていくと結局何十人という大所帯のロケ隊が必要という事になるのだが、その結果、自由度の低い映像作品が生まれてしまうのでは意味がない。更にこの大所帯の撮影スタッフ構成は、旧体然のもので、中には昔の手のかかるフィルムカメラを使う前提で考えられているのだ。

今のテクノロジーとノンリニア編集を前提とした作品作りに相変わらず大所帯の撮影隊が必ずしも必要なのだろうか?もちろん、人がいればいるだけ役には立つのだろうが、それは同時に予算や時間といった自由を奪っていく事にもなる。たくさんのスタッフがいてくれる代わりにさっさと終わらせなくてはいけない、コミュニケーションを十分取っている暇がないというのでは本末転倒だ。本質的に良い作品が生まれる可能性を奪ってしまう事にもなる。事実、不景気で予算削減を迫られる中、それでも大所帯なメジャー作品の中には、明らかに本質を見失っている作品が多く見られる。

1人ロケはやりすぎだ。ただ、完璧な意思の疎通がそこにはあった。そしてそれは作品の本質でもある。一度そこからスタートしてみて、最小限必要なスタッフとは何なのか、その為に必要な個々人のスキルアップとテクノロジーは何なのかを今の機材環境や人間関係をも視野に入れて考え直す事が必要だと思う。

ダウンサイジングの為のヒント

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僕個人としては音楽家としてのキャリアをフルに活かし、撮影に関する勉強や訓練を積み、僕と同じようなスキルを持つ映像作家達と互いの作品作りを助け合う形で、後はヘアメイクさんに手伝ってもらうくらいといった小さなチーム作りに成功している。ただそれが可能なのは今の映像製作環境をいつも研究し、「最小限」にチャレンジし続けているからだと自負している。最後に思いつく限りのポイントを挙げておこうと思うので、皆さんのミニマムチーム作りの参考にして頂ければ嬉しい。

  • まずは映画学校やプロの現場で学んだ常識を一度忘れよう。それは特別贅沢な製作環境なのだから。
  • 技術的な合格点よりも、視聴者の感動を呼ぶ作品の本質にこだわる。コミュニケーションの取りやすいチームを作ろう。
  • メディアレコーダーを使えばテープすら要らない。1フィートずつお金が消えていくフィルムとは訳が違う。
  • デジタルでの編集においての色補正はフィルムとは比べ物にならないほどダイナミックだ。それでも現場での絵作りにはこだわるべきだが。
  • 自分の作品の出口を意識しておこう。巨大な映画スクリーンとテレビやインターネットでの放映が同条件であるはずがない。
  • 役者のポケットに収まるレコーダーの音質が高まり、価格も安くなっている。
  • そもそも民生機のクオリティが格段に向上している。
  • パソコンと映像編集ソフトだけでも最低限の音声編集やアフレコはできる。
  • デジタル一眼レフ!この画期的な「ビデオカメラ」に注目せよ。

他にもまだまだありそうだが、次からは個々の実例を挙げて、プチ・シネ作りのアイデアを提供していこうと思う。乞うご期待。


[ Writer : ふるいちやすし ]
[ DATE : 2009-09-04 ]
[ TAG : 東京Petit-Cine協会 ]

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