[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.02 SONYのHDSLR市場対応、始まる!

HOME  >  COLUMN  >  石川幸宏  >  [石川幸宏のコラムーチョ]Vol.02 SONYのHDSLR市場対応、始まる!

Column

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.02 SONYのHDSLR市場対応、始まる!

2010-05-18 掲載

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.02 SONYのHDSLR市場対応、始まる!

足並みが揃ってきたDSLRムービー対応機種/ビデオ市場との同化変革?

5月11日、ソニーはデジタル一眼レフカメラシリーズ"α(アルファ)"の新ラインナップ、「NEX-3」「NEX-5」を発表した。これで、キヤノン、パナソニック、ニコン、オリンパス、カシオ...etcと相次いでDSLR市場に動画撮影モードを搭載してきた各社メーカーの足並みが揃った感じだ。

pronews_columucho02_01.jpg NEX-3を持つ、イメージキャラクターの北川景子さん(右)と、ソニー(株)業務執行役員SVP パーソナルイメージング&サウンド事業本部 本部長 今村昌志氏(中央)、NEX-5イメージキャラクターの浅野忠信さん(左)

新ラインアップの「NEX」は、ソニーのDSLR機「α」シリーズと、コンパクトデジカメの「サイバーショット」の中間に位置する製品で、コンパクトデジカメサイズながら一眼レフと同等の機能を持ち、さらにフルHD動画撮影にも対応した新コンセプトのカメラだ。

他社の小型一眼カメラに採用されているマイクロフォーサーズ(m4/3)センサー(17mm×13mm)よりも、約1.6倍大きな撮像素子サイズを持つAPS-C(23.4mm×15.6mm)新型CMOSセンサーを搭載、また感度もm4/3の最大ISO 6400に比べて、最大ISO 12800なので暗いところにも強く、さらに画像処理エンジン「BIONZ(ビオンズ)」を搭載。新しいミラーレス構造によりフランジバック長を18mmまで短くし、最薄部24.2mm、本体質量(本体のみ約229g)と、現状のレンズ交換式カメラでは世界最小/最軽量を実現し、交換レンズも新たに開発したレンズマウント「Eマウント」に対応するなど、デジタル一眼レフの高機能、高画質とコンパクトデジタルカメラの簡便性、機能性を小型軽量に同化したものになっている。

フルHD:AVCHD/1920×1080/60i)の動画撮影は「NEX-5」しか対応していないが、「NEX-3」でもMP4のハイビジョンサイズ(1440×1080、640×480/30p)ならば撮影可能だ。

また注目すべき機能として、これまでサイバーショットシリーズに搭載されていた「スイングパノラマ」機能の技術を応用し、3D画像(静止画のみ)を撮影できる「3Dスイングパノラマ」機能を新たに開発したことだ。静止画のみだが、これで自宅の家庭用テレビでも3D画像のスライドショーが楽しめる。プレス発表会場では、実際のデモが行われたが、動画の3Dよりも身近に楽しめるコンテンツとしての面白みが感じられた。6月初旬の実機発売時期には実装しないが、7月中旬にリリースされる本体ソフトウェアのアップデートで対応を予定しているという。

pronews_columucho02_03.jpg ソニーが考える今後のデジタルイメージング機器のマトリックス

そもそもメーカー各社がこのジャンルのカメラ開発を進めている背景として、2007年以降のデジタルカメラ市場全体の売上減という現況がある。デジタルカメラがすでに一般家庭に普及し尽くし、買替え/買増し層が市場の約8割を占めている状況で、新たな活性化が求められる中、ここに来て動画撮影や3Dステレオスコピックなど、映像とデジタル一眼レフの新たな可能性とブレンドされた、新たな市場創造を目指しているものだ。

APS-HDという新ジャンルと、要求されるデザインに着目

pronews_columucho02_02.jpg 18-200mm F3.5-6.3 OSSのEマウントレンズを組み合わせた新開発中のAPS-HDビデオカメラ

こうした民生機の動きは、今の時代背景も含めて、少なからずプロ市場への影響も少なくないだろう。フルHD動画を収録できるDSLR機としては、すでにキヤノンのEOS 7Dが先駆的にイノベーションを起したが、実際の動画撮影スタイルには不向きな難点も多かった。こうしたユーザー不満に対し、パナソニックはNAB2010でAG-AF100を発表したが、今回ソニーの回答として新たに「NEX-5/3」で実装したAPS-Cサイズのセンサーを使った、レンズ交換式ビデオカメラを発表、正式には「α」シリーズのDSLRとハンディカムの中間に位置する、新ジャンルの"APS-HDビデオカメラ"とも言える新ジャンルカムコーダーを、今年秋の商品化に向けて開発していることも同時発表した。

モックアップのみがプレス発表会場に展示してあったが、4月のNAB2010の動向を見ても、今後このジャンルのカメラに対するプロユーザーの期待値は、益々重要なポストを占めてくると思われ、現場でもその需要はかなり増えるだろう。

その製品化にあたっての当面の問題はデザインだ。今回出てきたモックアップはこれまでのハンディカムに交換レンズが取り付けられるような仕様になっていたが、DSLRムービーが隆盛になっている市場が求めるものは、単にビデオスタイルにすればイイ、というだけでは物足りないだろう。

大きな撮像素子から得られる映像のルックの良さ、様々な撮影スタイルやデータ・トランス・フローに対応出来るフレキシビリティ。静止画でも動画でも対応出来る入出力環境などを考えると、現存するところではREDの製品群が一番理想型に近いのかもしれないが、日本メーカーには、さらに操作性や汎用性という意味で、ぜひイノベーションを起してもらいたい。

今まで全く異なる文化を一体化しなければならないので、そこはインダストリアルデザイナーの真価が問われるところだが、これから最も期待するべき市場が待っているとも言えるのだ。

NAB2003でパナソニック(当時の松下電器産業)が、昔の8mmカメラ(フジカシングル8など)のようなプロポーションを持ったデジタルビデオカメラを、モックアップのみで発表したことがあったが、まさしくあのスタイルはこのジャンルこそ理想型のデザインかもしれない。


[ Writer : 石川幸宏 ]
[ DATE : 2010-05-18 ]
[ TAG : NEX-3 NEX-5 石川幸宏のコラムーチョ ]

関連のコラム一覧

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.20 4K Ready!ソニー民生用4Kプロジェクター発売とその意味とは?

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.20 4K Ready!ソニー民生用4Kプロジェクター発売とその意味とは?

今年のInterBEE会場で最も目を惹いたキーワードは「4K」だ。昨年までの3Dに代わって、今年はどのブースでも4K、8Kといった文字が踊っていたのは、個人的にも非常に気になった。 .... 続きを読む

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.19 CINEMA EOS その誕生を見る -ハリウッドで発表イベントを独占取材-

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.19 CINEMA EOS その誕生を見る -ハリウッドで発表イベントを独占取材-

"11月3日、キヤノンがハリウッドにて歴史的発表を行う!" 9月中旬にこのアナウンスが出されて以降、業界関係にも詳細な情報は一切提示されず、世間では様々な憶測を呼んでいたが、いよい .... 続きを読む

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.18 悩ましいデジタル映像アーカイブの世界に光明は見えるか?LTOvs光ディスク

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.18 悩ましいデジタル映像アーカイブの世界に光明は見えるか?LTOvs光ディスク

LTOvs光ディスクの戦いの幕が開いた? ファイルベースによる映像データの運用時代に本格突入し、どのジャンルでも一番の問題になっているのは映像データの保存/アーカイブの問題だろう。 .... 続きを読む

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.17 3Dコンテンツ普及の要〜2D-3D変換作業の実態とは

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.17 3Dコンテンツ普及の要〜2D-3D変換作業の実態とは

3D映画制作に必要な2D-3D変換作業の実態 新たな3D映画ブームの火付け役となった映画「アバター」の成功から早2年。以来、映画業界はハリウッドを中心に3D化へ一気に突き進んでおり .... 続きを読む

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.16 サイネージメディアとしても注目のプロジェクション・マッピングの夕べ

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.16 サイネージメディアとしても注目のプロジェクション・マッピングの夕べ

日本でもプロジェクション・マッピング協会が発足 8月4日〜7日で神奈川県逗子市の逗子小学校、逗子文化プラザ等の施設があるエリアで開催された「ZUSHI MEDIA ART FEST .... 続きを読む

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.15 ソウルの映像機材展、KOBA2011に行ってみた!

[石川幸宏のコラムーチョ]Vol.15 ソウルの映像機材展、KOBA2011に行ってみた!

" To the New Media, Beyond Digital ! " KOBA2011 6月14~17日 江南 COEX 日本よりも映画作りが盛んで、ドラマコンテンツはい .... 続きを読む

WRITER PROFILE

石川幸宏 映像専門雑誌DVJ編集長を経て、2009年4月よりリアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。


Writer

編集部(99)
PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートです。
稲田出(27)
映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチールカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。
石川幸宏(35)
映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。
小寺信良(23)
業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポートする動画連載。
raitank(5)
あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。海外から仕入れた情報を日本語で発信するグラフィックデザイナー/アートディレクター。
ふるいちやすし(44)
自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。
岡英史(19)
バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン
手塚一佳(44)
CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。
江夏由洋(13)
兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。
山本久之(26)
映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。
林永子(26)
2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」
鍋潤太郎(18)
ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。
高野光太郎(4)
映像クリエイター。フリーランスにてミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。
安藤幸央(9)
無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。
猪蔵(5)
いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。
山下香欧(8)
米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。
ヒマナイヌ(5)
頓知を駆使した創造企業
坪井昭久(5)
映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。
萩原正喜(69)
米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。
岡田智博(7)
クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。
江口靖二(5)
デジタルサイネージコンソーシアム常務理事、慶應義塾大学DMC機構研究員などを兼務。
しらいあきひこ(2)
カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。
今間俊博(5)
尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 教授。アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。
伊藤裕美(5)
オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。
秋山謙一(17)
PRONEWS記者。映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。
UserReport(10)
業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。
System5 Labs(8)
SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。

HOME  >  COLUMN  >  [石川幸宏のコラムーチョ]Vol.02 SONYのHDSLR市場対応、始まる!