日本電気株式会社(NEC)は6月30日、株式会社mmbiから、地上アナログ放送終了後の周波数の一部を活用したマルチメディア放送用の番組送出システムを受注したことを発表した。マルチメディア放送は、ISDB-Tmm方式を採用して、アナログテレビ放送が停波した後に空く帯域のうちV-High帯を利用した全国向けの放送。 インフラを提供する受託放送事業の1つの枠に対して、mmbiとMediaFLOの2社が競っていたが、昨年秋に総務省からmmbi側の計画が認定された。

マルチメディア放送では、番組などが自動的に携帯端末に蓄積され、場所や時間を選ばずに視聴できる「蓄積型放送サービス」と、ニュースやスポーツ番組などを高画質かつ高音質で提供する「リアルタイム型放送サービス」がある。今回NECが受注したのは、mmbiが提供する番組を全国の送信所へ送出する「マスター・APSシステム」を始め、「圧縮多重システム」「SI/EPGシステム」「データ放送システム」「蓄積型放送サービス向け営業放送システム」「コンテンツ管理システム」である。番組編成に従って、番組素材を再生しデジタル圧縮処理や多重化を行って送出する一連の業務を担う。

NECはISDB-Tmmについても、規格策定の段階から積極的に参画し、同規格に対応した機器の開発にいち早く着手したという。本システムの構築に合わせ、リアルタイム型放送サービス用にISDB-Tmm規格に対応するエンコーダを開発、圧縮多重システムに組み込む。またNECはマルチメディアサービス関連の事業について、今後5年間で200億円の売上を目指していくという。