米Adobeは、グレーディング技術を持つ独Iridas社を買収したことをIBC2011に合わせて発表した。ビデオ製品マネージメント担当ディレクター、ビル・ロバーツ氏によれば、Iridasの技術を獲得したことで、既存のAdobe製品がRAWワークフロー志向にシフトしていく開発の手助けになるという。

「プロダクション業界の展開を見てみると、REDやArriといったカメラは一眼レフレベルまで身近なものとなってきており、敷居がなくなってきている。我々がその傾向に遅れない対応をとるためにもIridas社が持つカラーやライト処理といった技術を直ぐに取り入れる必要があった。」

Iridas社の製品は、デジタルシネマカメラの持つあらゆるRAWファイルフォーマットに対応でき、リアルタイムプレビューやレンダリング、カラーグレーディングが行える。

同社のクリエイティブ・スイート製品は今後、カラー&ライト処理、Iridas独自の4K対応S3D用フィニッシングツールセット「SpeedGrade」、Rawプロセッシングといった、カラーグレーディングやフィニッシングのツールが追加され、フィルム制作およびプロフェッショナルビデオ・プロダクション志向になる期待がもたれる。

Iridas独自の4K対応S3D用フィニッシングツールセット「SpeedGrade」

公式Premiere Pro work areaのブログでは、Premiere Proドキュメント担当のトッド・コプリバ氏が、「我々は(Iridas社チームが仲間になったことを)エキサイティングに思っている。その大きな理由は、彼らがワールドクラスの製品を開発した基である、カラー技術、ライトや画像プロセッシングについての深い知識を吸収できるからだ」と寄せている。

また、映画やテレビ番組のフィニッシングに不可欠な要素として、ハイダイナミックレンジ(HDR)やRAWビデオワークフローのニーズが高まると予測している。将来の製品バージョンについてコメントはできないが、製品同士がインテグレーションを遂げている歴史から見ても、Iridas社とのインテグレーションで新たなワークフローが生まれるだろうとしている。またブログでは、「どのようなインテグレーションを期待しているか」と、ユーザーからの書き込みを促している。