キヤノンは3月2日、2008年11月に発売されたデジタル一眼レフカメラ「EOS 5D Mark II」の後継機種「EOS 5D Mark III」を2012年3月下旬から発売すると発表した。ラインナップは「EOS 5D Mark III・ボディ」「EOS 5D Mark III・EF24-105L IS U レンズキット」の2種類。メーカー希望小売価格はいずれもオープンで、同社オンラインショップでの直販価格はボディのみが358,000円、レンズキットが458,000円を予定している(2012年3月2日現在、同社オンラインショップには掲載されていない)。なお、従来機種のEOS 5D Mark IIは併売される予定。

EOS 5D Mark IIIは従来の4chから8chに読み出し速度が向上した新開発の35mmフルサイズCMOSセンサー(有効画素数約2230万画素)を搭載したほか、同社デジタル一眼レフEOSシリーズの最上位モデル「EOS-1D X」と同様に映像エンジンとして「DIGIC 5+」を搭載。高精細で広ダイナミックレンジな画質を実現するとともに、最高約6コマ/秒の高速連写(従来は約4コマ/秒)も可能だ。従来機種と比べレリーズタイムラグの短縮も実現したという。常用ISO感度は、最高ISO25600まで拡大した(動画撮影時の常用ISO感度はISO100~12800)。手持ちでの夜景撮影や、暗いシーンでのポートレート撮影時でも、ノイズを抑えた美しい撮影を可能にするほか、動画撮影時には従来機種で課題とされていた偽色やモアレの発生を大幅に抑え、より低ノイズで高画質な映像が得られるとしている。

EOS 5D MARK III 記録サイズとタイムコード設定画面

動画撮影コーデックには可変ビットレートのMPEG-4 AVC/H.264を採用。データはMOVファイル形式で記録される。記録サイズとフレームレートは、1920×1080 30p/25p/24p、1280×720 60p/50p、640×480 30p/25p。動画圧縮形式は従来のIPB(フレーム間予測圧縮)の他に、Iフレーム(イントラフレーム)のみで圧縮記録を行う「ALL-Iモード」を搭載したほか、タイムコードにも対応した。音声記録方式はリニアPCM形式を採用している。録音レベルのマニュアル調整も64段階で手動設定が行えるほか、撮影中の録音レベル表示にも対応。新たにヘッドホン端子が搭載されており、モニタリングも行えるという。

なお、撮影した動画データは、Final Cut Pro 6/7の「切り出しと転送(Log&Transfer)」用プラグインとして同社が2012年上半期中に提供予定の「EOS MOVIE Plugin-E1 for Final Cut Pro Ver.1.3」を利用することで、必要なカット部分だけを切り出し、動画編集に適したProRes形式に変換して保存することもできるようになるとしている。


EOS 5D Mark III メモリーカードスロット部

EOS 5D Mark IIIでは、記録メディアとして従来のCFカードだけでなくSDメモリーカードにも対応しており、CFカードスロットとSDメモリーカードスロットのダブルスロットを装備している。CFカードはUDMA7に、SDメモリーカードはSDHC/SDXCに対応しているほか、無線LAN対応のSDHCメモリーカード「Eye-Fi」にも対応する。