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ウォルト・ディズニーはクラッシック作品の劇場版3Dを展開してきたが、ここにきて作業を中止にすることにした。

 

「ライオンキング3D」の劇場版は約9500万ドルの収益を上げたが、次の「美女と野獣3D」は4760万ドル、「ファインディング・ニモ3D」は4100万ドル、「モンスターズインク3D」では3300万ドルと、ディズニーの予想に反して、収益が下がっている。そしてついに、「リトルマーメイドの3D」化は、作業進行中にも関わらず中止の判断が下された。(2D HDとブルーレイへのリマスター版は今秋にリリース予定)。

中止の理由は語ることもなく、3D化の作業コスト、そして劇場版のプロモーションや配給にかかるコストを上回る利益が見込まれなくなったからだ。

 

そして最大の理由として、配給の権利と3D変換の著作権がうかがわれる。ディズニー作品の3D変換作業は、デジタル・ドメインが2010年に買収した3DスタジオのIn-Threeが行っていた。しかしデジタル・ドメインは昨年、連邦破産法第11条の適用を申請した末、海外企業2社にほとんどの資産を売却している。ディズニー側は、3D化作品の配給権が奪われることを恐れ、In-Threeと過去に交わした契約内容を取り上げてIP売却への異議を述べていた。

ルーカスフィルム(現在はディズニー傘下)でも、デジタル・ドメインと3D変換技術の使用について契約を交わしており、米国破産裁判所により「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」での使用権利に許可を得ている。ディズニーでは、「Gフォース」および「不思議の国のアリス」での使用許可は契約上にあるとしても、過去の合意を存続することができないとされ、継続して使用する権限は認証されなかった。つまり大元であるRealDのライセンスに返すと見なされたことになる。

ディズニー側は、新作については引き続き3Dでも制作をしていく。既存の作品の3D化については、今後はない。

(山下香欧)