NHKが12月4日午後7時30分から「NHKスペシャル」で生放送を予定していた「遭遇!巨大彗星アイソン」は、彗星崩壊によって「宇宙生中継 彗星爆発 太陽系の謎」とタイトルを改めて放送された。

本番組では国際宇宙ステーション(ISS)から、宇宙飛行士の若田光一さんが超高感度4Kカメラで収めた崩壊前のアイソン彗星の模様や、同4Kカメラを使って夜の地球の上を進む様子を生中継で映し出した。

世界初の宇宙からの4K撮影に貢献したカメラは、キヤノンのデジタルシネマカメラ「EOS C500 PL」および、EFシネマレンズ2機種「CN-E15.5-47mm T2.8 L SP」と「CN-E30-105mm T2.8 L SP」。EOS C500 PLは、超高感度化や宇宙における過酷な使用条件に耐えるための特別な改造が施されたというが、今回の宇宙からの世界初4K撮影成功を通じて、低照度下での撮影に耐えうる卓越した高感度性能を証明した。

ISSから世界初として、彗星アイソンの姿を最初に超高感度4Kカメラで収めることができたのはNHKスペシャル放送前の11月23日だった。この撮影が行なわれた後にアイソン彗星は太陽に接近し、その大部分が崩壊。期待されていた地球からの観測までもが困難にとなってしまった。NHK側では番組タイトルを「宇宙生中継 彗星爆発 太陽系の謎」と変更し、アイソン彗星に何が起こったのか、さらに最新の科学が解き明かす太陽系の謎などに内容を変更して放送した。

今回を逃すと二度と地上からの観測ができないと考えられていたアイソン彗星。キヤノン側では「この極めて希少な彗星を、大気の揺らぎのない宇宙から撮影し、鮮明な映像に収められたことは、学術的にも大きな価値がある」と評価している。

米キヤノンが主催し、限られた報道関連者達の本社訪問の機会では、今回の世界初の宇宙4K収録についても述べられた。彗星を収録した4Kデータを確認するには、宇宙飛行士がメディアで持ち帰る以外には方法はなさそうだ。

(山下香欧)