米Folded Spaceでは、Blu-rayディスクに収められた映画コンテンツを、ハイダイナミックレンジ(HDR)の色深度に対応するディスプレイに再生するための映像処理アルゴリズムを開発した。DCE(ディープカラーエンコーディング)と呼ばれる符号化および復号化(デコード)アルゴリズムでは、12ビットカラーを持つオリジナルコンテンツの高精細色を保ちながら、8ビット対応のBlu-rayディスク用に高速に処理する。DCEデコーダーを搭載した最新のディスプレイやBlu-rayプレイヤーモデルでは、12ビットの元画像と同等の色域を再現できるようになるという。

今年のCESでは、オリジナルコンテンツのHDRカラースペースを表現できる4K/UHDディスプレイが揃ってきた。プロダクション側としても、Blu-rayディスクそして次世代の4K/UHDデータに対応できるメディアが登場すれば、一般家庭に次世代のデジタル映像が提供可能な環境が期待できる。

12ビットカラーを持つコンテンツをストリームするとなれば、かなりの広帯域とビットレートが必要だが、DCEであれば従来の配信環境を大幅に変えることなく、わずかな帯域幅を追加するだけで処理できるという。

Folded Spaceでは、今回開発したエンコード・アルゴリズムをソフトウェアパートナーに無償で提供し、デコード側はディスプレイメーカーやプレイヤーメーカーにライセンスを提供していくとしている。

Folded Spaceは、デジタルプロジェクターやホームシアター業界で認知されている、アナモフィックレンズのブランドPanamorph社の開発部門。Blu-rayディスクに収まっているウルトラワイドモードの映画コンテンツは通常、再生すると黒いレターボックスがついてしまうが、Folded Spaceでは高精細ディスプレイにウルトラワイド版をそのまま再生できるよう、オリジナルコンテンツの解像度を33%拡張して再生できるエンコード技術(マルチフォーマットエンコーディング、MFE)を開発している。

(山下香欧)