この数年の間、各国の放送機器展などで語られていたパナソニックのシネマ製作用カメラブランド“バリカム”の4Kモデルがついに登場する。当時バリアブル・フレーム機能が画期的だった、Variable+Camera=VARICAM。その次世代モデル「VARICAM 35」は4K RAWと120fpsまで4Kバリアブルフレームレート対応だ。そして2/3型3CMOSセンサー搭載の240fpsハイフレームスピード対応モデル「VARICAM HS」まで同時に発表された。

「VARICAM 35」は4K(4096×2160、3840×2160)/2K/HDマルチフォーマットによる高画質撮影に対応し、ハイエンドの映画製作やライブイベント、CM、ドラマ収録に適した4K撮影機材として、「VARICAM HS」はドキュメンタリー、スポーツ、スローモーション撮影用途などを想定している。価格の詳細は未定で、発売時期は2014年秋頃を目指しているという。

モジュラーシステムを採用し、4K撮影用カメラモジュールユニット「AU-V35C1G」とレコーディングモジュールユニット「AU-VREC1G」をドッキングまたは分離して使用したり、同じく開発中の2/3型ハイスピード撮影用カメラモジュール「AU-V23HS1G」と交換することも可能。レコーディングモジュールAU-VREC1Gは、制作用途によって選べる2種類のカメラヘッドの共用レコーダーで、4K RAW出力から2K/HD収録まで対応する。ジブやクレーンに設置するなどリモートカメラとしての用途に対して、カメラモジュールとレコーディングモジュールとをアンビリカルケーブルで延長して接続することにより、フレキシブルに対応することが可能だ。

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「VARICAM 35」用カメラモジュールユニットAU-V35C1Gは、標準的なPLマウントを採用し、4K(4096×2160/3840×2160)撮影が可能な新開発スーパー35mm MOSセンサーを搭載。「AVC-ULTRA」4Kコーデックを搭載するレコーディングモジュールAU-VREC1Gとの組み合わせにより、管理しやすく、実用的なファイルサイズでの4K収録が可能だ。ただし、カメラモジュールユニット単独では動作しない。新開発MOSセンサーは14ストップのラティチュードで、ハイコントラストでワイド・ダイナミックレンジな高画質4K撮影が可能。最大120fpsのVFR(可変フレームレート)撮影に加え、マスターレベルの2K/HD記録機能にも対応する。カメラ内蔵オンセットカラーグレーディング機能と、プレビュー/編集を容易にする4K、2K/HDにあわせてプロキシファイルを三種同時記録するマルチコーデック記録機能によるワークフローを実現するとしている。さらに、マスターグレードの音声収録のために24ビットLPCM記録に対応する。

「VARICAM HS」用カメラモジュールユニットAU-V23HS1Gは、2/3型バヨネットマウントを採用し、1080p撮影が可能な新開発の高感度220万画素3MOSセンサーを搭載。ただし、カメラモジュールユニット単独では動作しない。2014年度のエミー賞を受賞した「CAC(色収差補正)機能」を実装し、レンズ自体で補正しきれないわずかな色収差などが主な原因で発生するレジストレーションエラーをカメラレコーダー本体にて自動的に補正することで、プライムレンズに近い映像がENGズームレンズにて得られるとしている(CAC対応レンズのみ有効)。

レコーディングモジュールAU-VREC1Gとの組み合わせにより、従来の「AVC-Intra」コーデックに加え、「AVC-ULTRA」コーデックファミリーの「AVC-Intra Class4:4:4」(12ビット4:4:4、30p/25p/24p)や「AVC-Intra Class200」(10ビット4:2:2、60i/50i/30p/25p/24p)によるマスターグレードHDプログレッシブ映像の収録が可能になるという。

さらに、VARICAMの名称の由来となるVFR(=VariableFrame Rate/可変フレームレート)機能も強化され、「AVC-Intra Class100」時、最大240fpsのVFR撮影が可能。24p基準時最大10倍速、30p(60i)基準時でも最大8倍速のハイスピード撮影が可能だ。さらに、従来のVARICAMから継承されたシネガンマ(F-REC/V-REC)に加え、LOGの記録にも対応する。

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レコーディングモジュールAU-VREC1Gは「AVC-ULTRA」コーデックファミリーを搭載し、4K(4096×2160/3840×2160)は「AVC-Intra Class4K」、2Kと、HD「AVC-Intra Class100/200」での記録フォーマット対応に加え「AVC-Intra Class4:4:4」に対応している。本制作用の4K、2K、HDフォーマットと並行して高速ファイル交換、高解像度プロキシーファイル(1.5Mbps~6Mbps)を同時にエンコードする。メタデータ管理やプロキシーストリーミングのためのワイヤレス・ワークフローにも対応する予定だとしている。

新VARICAMのレコーディングモジュールでは、4K収録およびVFRハイフレームレートモード時の高ビットレートデータ収録用に新開発の「expressP2カード」を使用する。メモリーカードスロットをexpressP2/P2カードの兼用×2、microP2カード用×2の計4基を装備。expressP2カードには、4K/24p映像を最大130分まで収録することが可能だ。microP2カードは従来の収録フォーマットで使用する(2K/HD、60pまで)。

AU-V35C1Gとの組み合わせ時、4KQuad出力(3G-SDI×4)もしくはRAW出力、モニター出力(4K-HDダウンコンバート、HD-SDI×3)、および48kHz 24ビットオーディオ(4ch)用XLR入力×2などの業務用インターフェースや、レコーディングモジュールにカメラモジュールをドッキングするためのマルチコネクターを装備。その他、カメラがジブ等に固定されている場合にリアルタイム制御を容易にするため、リムーバブル・コントロールパネルを採用している。

また、別売りオプションとして、光学ズーム機能を搭載した新開発OLED電子ビューファインダーや、15mmロッドと肩載せ撮影に対応するためのカメラアクセサリーユニットが予定されているという。

なお、2014年4月7日から4月10日(米国時間)の期間中に米国ラスベガスで開催されるNAB2014にて、同製品の動作サンプルを展示する(ブース番号:C3607)。