クロスプラットフォームの中間コーデックGoPro CineFormがオープンコーデックとしてSMPTEで標準化された。SMPTE ST2073 VC-5ビデオ圧縮(VC-5)として、ビデオ撮影やポストプロダクション向けのオープンコーデックとなる。オープンスタンダードとなったことで、これから他社カメラメーカーやソフトウェア開発メーカーで実装されて、相互間の適応やアクセスが広がることが期待できる。

CineFromコーデックは高品質の圧縮形式として従来から映像ポストプロダクションで広く評価されており、現行の Adobe After Effects CC、Adobe Premiere Pro CC、Adobe Media Encoder CCでもネイティブサポートされている。圧縮率が高い中間コーデックであるため、Windowsプラットフォーム環境を持つハイエンドプロダクションのワークフローやアーカイビングに活用されている。ハリウッド映画プロダクションでは「スラムドッグ$ミリオネア(Slumdog Millionaire)」や「ニード・フォー・スピード(Need for Speed)」の制作の現場で活用されたという。

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Cineform RAWでは、オリジナルのRAWが持つホワイトバランス、ISO、露出といった設定データを保ったまま、イメージクオリティを損なうことなくJPEG 2000に似た高速ウェーブレットアルゴリズムベースの圧縮技術で高圧縮できる。またカラーグレーディングやLUTをメタデータとして持たせることができる利点がある。

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SMPTEで標準化されたVC-5は、10-bit 4:2:2 YUV、12-bit 4:4:4 RGB/RGBAと12-bitベイヤーRAWのカラー深度に対応。圧縮率は10:1から3.5:1程度。また非圧縮モード(RAWファイル)も可能。Part1/2(エレメンタリビットストリーム)についてのドキュメントはSMPTEのWebサイトから入手できるようになっている。

■Part1
http://standards.smpte.org/content/978-1-61482-797-9/st-2073-1-2014/SEC1.body.pdf+html

■Part2
http://standards.smpte.org/content/978-1-61482-798-6/rp-2073-2-2014/SEC1.body.pdf+html

3DやHDR向けのカラーフォーマット、マルチチャンネル、メタデータ拡張が含まれるPart3から7については順次開発が行われていく。

GoProは、SMPTEで標準化となっても引き続きコーデック自身を支援していくとしているが、編集ソフトウェアGoPro StudioのPremiumとProfessional版の販売は6月1日で終了しており、購入したユーザーへのサポートは年内一杯までとなっている(最終バージョンは2.0.1)。そして両製品の開発も終止符が打たれた。GoPro Studioの無償版は提供中。

(山下香欧)