仮想現実VRをライブで体験するニーズが増えてきている中、Jauntは数年前からVRコンテンツ生成の環境を開発してきた。今回、ハリウッドに本格的VRコンテンツを制作するスタジオをオープンする8月を目前に、開発している360°視界で映像を取り込む最新のVRカメラを公開した。

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JauntではVRコンテンツ制作で独自のカメラシステムを利用している。従来のVRカメラシステムでは16台のGoProカメラを円形のリグに搭載したもので映像を取り込み、独自技術でシームレスに繋いで1枚の映像をリアルタイムに生成していたが、これらのシステムだと全部のカメラを完全に同期させることが困難な点が懸念材料となっていた。

今回のコードネームNeoと名付けられた新しいVRカメラシステムは5世代目。新カメラシステムは汎用カメラを利用するのではなく、16枚以上のレンズと大型センサーを利用して画像を取り込む独自のハードウェアとなる。最終的には4K解像度でHDR(ハイダイナミックレンジ)および60fpsの映像をストリームできるようになるという。またタイムラプス機能も搭載する。

本カメラの開発は米アップル社でiPhone/iPadのカメラ技術を担当していたコージ・ガーディナー氏が取りまとめており、設計・デザインにはLunar社が提携して行っている。インハウス用カメラから商用になることを視野に、VRコンテンツ制作環境も考慮し、プロダクションハウスで日常的に使われているAvidやApple、Adobeなどの編集システムからグレーディング、フィニッシングシステムでも対応できるカメラシステムを目指して開発を進めているという。新VRカメラはスタジオ開設当初はレンタルから開始し、年末までには量産される予定。

ハリウッドにオープンするVRプロダクションスタジオJauntスタジオは、デジタルドメインのCEOとルーカスフィルムでCTOを務めたクリフ・プルーマー氏が舵を取る。従来のゲーム要素のコンテンツではなく、映画館やライブで展開するVRコンテンツ制作を目指している。

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© 2015, Jaunt Inc.

Jauntでは、ポール・マッカートニーのライブコンサート「Live and Let Die」や、SxSWでのBig Seanのライブをスマートフォンで没入体験できるiOS/Android版アプリをリリースしており、また6月にはNBA決勝戦をVRコンテンツ制作用に収録している。

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(山下香欧)