VRコンテンツ制作の技術を持ったプロダクションの活動が活発になった背景に、メディア業界が新しい没入型実写で視聴体験を広げようとする動きが見られる。

ABCニュースは特派員レポートのコンテンツをJauntの技術を用いて始めた。現在はシリア・ダマスカスにおける絶滅危惧に侵されている貴重な文化産物をJauntプレイヤーアプリで視聴できるようになっている。

VRコンテンツをライブラリーに揃えているのはディスカバリー・チャンネルだ。ディスカバリーはサムスンと提携し、サムスンのMilk VRサイトと共に8月末に特別サイトからVRコンテンツを提供している。Littlstarが開発した専用アプリでPCからGoogle CardboardやOculusベースのHMD、モバイルデバイスを使用した360度のビューイングを楽しめる。またFacebookが最近実装した360度ビデオにも対応し、Facebookのディスカバリーのページでも同じVRコンテンツが展開されている。

これら360度のコンテンツは、本チャンネルの番組のプロモーションでもあり、たとえばVRコンテンツのシャークは「Mythbusters」、や「Survivorman How To Survive In The Wild」は、チャンネル「Survivorman」の一部シーンと重複するような仕組みがなされている。

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フィッシュアイ、リトルプラネットなど多様なビューイングが可能

DirectTVでは、10月8日にGoogle CardboardやサムスンのGear VR HMDで視聴できるBig Knockout Boxing(BKB)VRアプリをリリースし、ラスベガスのマンダレイベイリゾートホテルで行われているBKBの対戦をVRで体験できるようにした。BKBはDirecTVが所有するコンバット志向のスポーツブランド。試合の模様はDirecTVが所有するチャンネルAudience Networkで放送を行っている。まだライブで視聴するまでには至っておらず、現在はライブラリーに揃っている6月からの対戦試合が360度ビューで楽しめるようになっている。

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BKBのVRコンテンツは6台のRED EPIC DRAGONをリグに組んだシステムで撮影。Supersphere Productionsが撮影プロジェクトを担当

(山下香欧)