コダックのCEO、Jeffrey Clarke氏

米Kodak(コダック)はCES2016にて、8mmフィルムカメラ「Super 8(スーパー8)」の次世代版を初めて一般に公開した。スーパー8カメラの誕生50周年を記念し、コダックが次世代の映像クリエイターのために開発したという。同社は昨年末にもスーパー8フィルム50周年を掲げ、国際映画製作コンペティションを開催している。

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今回CES会場に披露されているのは試作機。本フィルムカメラを開発するにあたって、工業デザイナーのヴ・ベアール氏の協力を得ている。デジタルビューファインダーといった部位をデジタル化しながらも、オリジナルのアナログ機能を活かす。

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レンズマウントは従来と同様にCマウントを採用し、レンズはリコーの6mm固定焦点レンズとなっている。オプションで8~48mmズームレンズを用意する。マニュアルフォーカスや絞りも設定が可能。音声は専用マイクで録音する。フィルムは従来と同じくカートリッジ式(15M)にSuper Duper 8(Max8)も利用できる。フィルムスピードは可変対応(9/12/18/24/25fps)。24fpsでまわした場合の撮影時間は数分だ。

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デジタルビューファインダーは3.5インチ液晶モニター。±45度まで傾けられる。また露出計を実装

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背面には、SDカードスロット、USB、HDMIを搭載

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レザー仕様のピストルグリップも用意されている

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カラーはブラックとホワイトの2色。会場には展示されていないが丸みを帯びた外姿のモデルも検討されているようだ。発売は今年の秋ごろを予定しており、価格は400ドル~750ドルのこと。コダックでは、本カメラで撮ったフィルムのデジタルコピーサービスを計画しており、次世代の映像クリエイター達をフルサポートしていく様子が伺える。

制作環境から映画館と映画産業のエコシステムは既にデジタル化されており、フィルム映画は姿を消しつつある。フィルムだから表現できるとフィルム撮りを好む映画監督は少なくない。最近の映画作品ではクリストファー・ノーラン監督の映画「インターステラー」、J・J・エイブラムス監督の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」でもフィルムで捉えたシーンが登場する。さらにクエンティン・タランティーノ監督、ジャド・アパトー監督はフィルム撮りをこよなく愛する。実は昨年、コダックはフィルム自身の製造においても、一時は工場の閉鎖の危機に追い込まれた。しかし米国の大手映画製作会社6社から映画フィルムを供給する契約に成功し、市場での生存を取り留めている。この際にも、タランティーノ監督らが立ち上がり、映画製作会社と交渉したことが背景にある。

コダックの製品発表では、スティーブン・スピルバーグ、クエンティン・タランティーノ、クリストファー・ノーラン、J.J.エイブラムス、スティーブ・マックィーン、ジェフ・ニコルズ、アレックス・ロス・ペリーなど、著名な映画監督多数がエンドースメントを送っている。

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コダックスーパー8に関してのハッシュタグがCES開幕初日にはCESを超えて最高数となった

(山下香欧)