王健林(ワン・ジエンリン)氏が率いる大連万達集団(ワンダ・グループ)は2016年1月12日、米ハリウッドの映画制作会社レジェンダリー・エンターテインメント(レジェンダリー)を35億ドル(約4,000億円)で買収すると発表した。この中国大企業におけるレジェンダリーの買収は、昨年におけるライオンズゲートとSTXエンターテインメントが中国企業と提携したことに続き、ハリウッド産業に参入する中国勢を見せつけるマイルストーンとなった。

レジェンダリーは「ジュラシック・ワールド」や「GODZILLA ゴジラ」「パシフィック・リム」「インターステラー」「バットマン」シリーズなどを手掛けており、香港にも2011年にポストプロダクションとしてレジェンダリー・イーストを設立している。

ワンダの主帝、王氏は不動産と娯楽の分野に帝国を築いた人物として知られており、前々から映画産業を包括すべくハリウッドスタジオを買収する動きを見せていた。ワンダは中国最大のシネマフランチャイズを運営しているほか、2012年には米二番目規模のシネマフランチャイズであるAMCエンターテインメント・ホールディングスを26億ドルで買収している。またオーストラリアの映画館運営のHOYTSグループもワンダの傘下に入っている。

1月12日に北京で行われた記者会見にて、レジェンダリーのトーマス・タル最高経営責任者(CEO)は会長として引き続きレジェンダリーに在籍することを告げ、ワンダと一緒に新しいエンターテインメント業界を築いていくことを宣言した。

王氏は今回の買収発表声明にて「レジェンダリーの買収で、ワンダは世界最大の収益を誇る映画会社となる。中国と米国の世界における二大市場でワンダの存在感を高めることができる」と述べている。ワンダは今回のレジェンダリー買収を機に、ワンダ・グループ内にあるフィルム制作部門と融合させて上場株式公開(IPO)を行う意向も明らかにした。IPOの時期や場所については未定となっている。

(山下香欧)