IOCのホスト放送機関であるオリンピック放送機構(以下:OBS)は、この夏に開催されるリオ五輪の放送計画を明らかにした。米オンラインニュースAdvanced Televisionが報じた中には、NHKと提携して8K(SHV)に取り組むこと、および国際スポーツ競技放送として初めてVRの実験を行うことが含まれている。

OBSでは、常に新しいスポーツ視聴体験を先行して試験を行っているが、今年ブラジル・リオデジャネイロで開催される夏季オリンピックでは、OBSの制作強化のロードマップの一環として、8KとVRを取り入れるという。8Kに関しては、NHKと提携してスーパーハイビジョン(以下:SHV)版で22.2ch立体音響による制作を行う。これは総務省が発表している次世代放送のロードマップにある8K試験放送に組み込まれるようだ。130時間分とされる8K制作は、開会式および閉会式、水泳、柔道、体操、バスケットボール、フットボール競技の中継が含まれる。また8Kで収録したものから4Kにダウンコンバートして利用することも予定しているが、あくまでも試験放送として利用する計画である。これらはWCGおよびHDRの映像にて伝送する。

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VRはリレハンメル2016ユースオリンピックで実地試験が行われた

VRに関しては、現地でライブストリーミングを行うほか、オリンピックが終わった後でビューイングを楽しめるようなアプリの開発も検討しているという。

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オリンピックのメディア施設国際放送センター(IBC)の本館の総面積は68,000m2で、合計約5,000m2の広さを持つ12つのスタジオが設置される。OBSがIBCの設営・運営・管理のすべての業務を担う(写真:リオ2016/アレックス・フェロ)

OBSはリオ五輪で7,000時間分のHD放送を220か国に伝送していく。また、豊富なコンテンツ展開としてマルチスクリーンへのストリーミング配信にも力を入れていく方針という。夏の五輪放送は、5億人以上の人々に視聴される見込み。

(山下香欧)