© Dustin Hughes

Blackmagic Designの発表によると、2017年のサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)で初公開となる「Flesh and Blood」で、撮影監督パトリス・ルシアン・コシェ氏によりBlackmagic URSA Mini 4.6K、Blackmagic Production Camera 4K、Blackmagic Pocket Cinema Cameraなどのデジタルフィルムカメラが使用されたという。また、プロデューサー兼ポストプロダクション監督のダスティン・ヒューズ氏は同作品のカラーグレーディングに、DaVinci Resolve Studioを、ビジュアルエフェクト作成にFusionをそれぞれ使用した。

「Flesh and Blood」は俳優/インディーズ映画監督として高い評価を受けているマーク・ウェバー氏による劇場映画で、家族の相互関係を掘り下げたリアリティとフィクションが融合した作品。キャストには同氏の実の家族が起用されており、自身の実体験も交えて物語は構成されている。フィルムは、ウェバー氏の故郷であるペンシルバニア州フィラデルフィアで2016年3月に撮影された。

ヒューズ氏:このプロジェクトの撮影スタイルは非常に特徴的です。ドキュメンタリーとフィクションを組み合わせたリアリティ映画というスタイルで、ストーリーを展開しています。出演者はほぼ全員素人で、現実の自身の姿を反映した役柄を演じています。このような現場の場合、多数のスタッフが大量の機材を扱うような撮影では良いパフォーマンスが引き出せないことが多いですね。この映画の多くの部分が実話に基づき、自然の流れに任せてシーンが展開するようにする必要がありました。つまり、最初のテイクで必要な部分を抜かりなく撮影できる信頼性の高いカメラと操作技術が必要だったのです。

コシェ氏とヒューズ氏はAカメラにBlackmagic URSA Mini 4.6K、BカメラにBlackmagic Production Camera 4K、特定のショットにBlackmagic Pocket Cinema Cameraを使用した。RAWで撮影されたことで編集過程でリフレーミングやパンチインが行え、ほぼ即興的に演じられたシーンで出演者たちは制限されることなく自由に動き回れた。

© Dustin Hughes

ヒューズ氏:雪や雨など関係なく毎日不休で長時間の撮影が続き、明けても暮れてもカメラを使い続けたにも関わらず、一度たりともグリッチが発生することはありませんでした。制作中、いろいろと予定通り運ばないことがありますが、撮影機材にそのようなことがあってはなりません。Blackmagic URSA Mini 4.6Kは、毎日期待通りに機能してくれたので本当に安心して撮影に挑めました。加えて、撮影した画はハッとするように美しいんです。リアリスティックであると同時に、非常に美しいシネマルックを得ることができました。

今回の撮影では、スタッフの存在感を最小限に抑えることを目的にしていました。必要に応じてカメラの開閉式の内蔵モニターを使うことで、外部モニターを持ち運ぶ必要がなく、機材が少なくすみました。また、Blackmagic URSA Viewfinderをすべての撮影に使用しました。

Blackmagic URSA Viewfinderは、Blackmagic URSA Mini Shoulder Kitと共にカメラにしっかりと固定されるので、基本的にケースから取り出した瞬間から撮影が開始できました。内蔵ステレオマイクを使用して、ポスプロでプロダクションサウンドに同期するためのリファレンスオーディオも得られたので、外部マイクを接続する必要はありませんでした。通常、現場でのカメラの組み立てや無数のアクセサリの取り付けに時間が掛かるのですが、今回は多くの時間を節約できました。

映画のキーとなる場面は、ウェバー氏と母親がアルコール中毒者更生会の会合に出席するシーン。

ヒューズ氏:このシーンはお気に入りの一つです。現実感に満ちた信憑性あふれるシーンになりました。この会合は映画用にセッティングされたのではなく、撮影に同意してくれた寛大な人々のおかげで実際の会合を撮ることができました。会合の撮影では、照明など多くの課題にぶつかることになりました。室内は驚くほど薄暗く、窓は完全に白飛びしていました。ショットや照明を作り込むとシーンが自然に流れないので、そのままの状態で撮影を行いました。Blackmagic URSA Mini 4.6Kのダイナミックレンジのおかげで、そのような難題も切り抜けられ、リアリスティックでシネマライクな素晴らしい映像が得られました。

シーン自体も撮影が少し難しかったですね。参加者が輪になって座り、実際の会合が進むにつれ自然発生的に発言をするので、誰が次に話すのか分からない中で撮影を行いました。シーンの指示を行うことで、親密な雰囲気や会合の意図を台無しにするのは避けたかったので、1時間の会合を通してクロスショットで撮影しました。

車内の撮影もたくさん行ったのですが、Blackmagic Pocket Cinema Cameraが非常に役立ちました。カメラが車内に向くようにフロントガラスにマウントできたので、親密なアングルのショットが撮れました。車内は黒のインテリアで、外は明るい日光で照らされていたので、カメラは小さいだけでなく、これに対処できるダイナミックレンジに対応している必要がありました。そういった面で、Blackmagic Pocket Cinema Cameraは完璧でした。他のシーンに関しては、カメラマンが後部座席に座り、Blackmagic URSA Mini 4.6KとBlackmagic Production Camera 4Kで出演者たちをクロスショットで撮影しました。

© Misha Tulek

撮影およびポストプロダクションの両期間中、ヒューズ氏とスタッフはDaVinci Resolve Studioを駆使してDIT、トランスコーディング、デイリーのレビューのすべてを行い、駆け込みの編集の変更や最終的なカラーグレーディングもDaVinci Resolveで行った。加えて、FusionですべてのVFXの作成とクリーンアップ作業が行われた。

ヒューズ氏:この映画は従来のアプローチとは全く異なる形で着想、制作されました。撮影とポスプロの環境はシンプルで柔軟性に富むものである必要がありました。DaVinci Resolve Studioを中心に作品の全ワーフクローを構築できました。DaVinci Resolveは、まるでレザーマン社の万能ナイフのように撮影からポスプロまで活躍してくれました。ロスのエディターに送り返すために、カードのクローニング、フッテージの確認、プロキシのトランスコードなどのDITの作業をすべてDaVinci Resolveで行いました。ポスプロにおいては、最終的なカラーグレーディングの最中に駆け込みで編集の変更を行うことができました。

DaVinci Resolve StudioのFusion Connect機能のおかげで、VFXを制作しているFusionとのやりとりもシームレスに行えました。撮影スタイルの特質上、テイクは1回に留めるように努めました。繰り返すことでシーンの信ぴょう性が失われると感じたからです。それに加えて、シーンの多くがアドリブだったことから、一部のショットにスタッフが意図せずに写り込んでしまうことがありました。Fusionのトラッキングとペイントツールを使用して、そういったショットや反射からスタッフや機材を取り除きました。映画は実話に基づいていますが、究極的にはフィクションを意図して撮影されたので、真実味を感じられるようにすると同時に、第4の壁を破らず、フィクションとしての一線を画す必要があったので、そういった意味でFusionは最終的に欠かせない存在でした。