株式会社テレビ朝日の本社1階にあるEXけやき坂スタジオでは、同社がサイバーエージェントと共同で展開する無料のインターネットテレビ局「AbemaTV」のニュースチャンネルである「AbemaNews」の制作が行われている。同スタジオやサブ設備には朋栄社製品を中心に様々な機材が導入されている。

AbemaNewsのスタジオ

同サブは仕様の検討から建築工事、サブ工事を経て稼働まで6か月弱という短い期間で設備の構築を行い、2016年12月26日に稼働を開始した。同設備の構築ポイントは、インターネットサービスのスピード感をもって短納期で完成させること、仕様は報道サブとしてフルスペックのとなっていることである。

スタジオカメラとしてパナソニック製のAW-HE130を3台使用

映像・音声システムは朋栄が担当(カメラはパナソニック製、音声卓はヒビノ製)。送出サーバーシステムはNEC、地震・津波送出システムはハレックス、室間布線システムはNECネッツエスアイに依頼した。導入する機材のメーカー選定では、放送局からインターネット向けのサービスまで対応している幅広い実績や、様々な機器を組み合わせた提案ができる、などを念頭におき検討したという。

サブの面積は64m2と狭いが、モニター棚をマルチビューアー化するなど、コンパクトな機器配置となっている

サブ機能とインターネットへの送出機能を同一室内にコンパクトに配置するため、テレビ朝日本社スタジオ初となるモニター棚をすべてマルチビューアー化し、機能を限定することで卓のスリム化も実現している。音声卓はCALREC社のBrio36を採用。サブとラック室が離れているため、光多重装置を使用。日本で初めて室間布線にRIEDEL社のMicroNを採用している。

ラック室の様子

報道素材の即時送出が可能になるよう、送出サーバーを6系統導入。スーパー装置であるANTSは4系統(T1/T2/T3/GS)で、従来のシステムから新たにT3が追加となり、より多くの情報を送出可能にしたという。また、ニュース番組ならではの速報中継の取り込みを考慮し、けやき坂サブ・送出設備専用の中継回線を10回線新設。従来の6回線から4回線増設した。

サブスイッチャーとしてTriCasterを導入。アナブースをミニスタジオとして運用。TriCasterのクロマキー機能を用いて、広いバーチャルスタジオとして演出可能

■けやき坂AbemaNewsサブの設備リスト
スイッチャー 形式 HVS-2000(朋栄)
MIX列 2ME
DSK 12DSK
DVE 4DVE
サブスイッチャー TriCaster 410
映像マトリックス 128×128 MFR-5000(朋栄)
モニター モニター 55Z700X(TOSHIBA)
マルチビューワー MV-4210(朋栄)×2式
外部DSK CK-70W(ビデオトロン)
フレームシンクロナイザー FA-1010(朋栄)
カメラ AW-HE130(パナソニック)
三脚類 平和精機工業
ジープモニター ハイタイプ PN-Y325(朋栄)
ロータイプ PN-Y325(朋栄)
サブ内設置VTRサーバー
(再生・収録用)
HDW-S2000/D1800/1800(ソニー)
送出サーバー 6系統
撮って出しサーバー VDR-8000EX(ONTEC)
音声調整卓 36フェーダー BRIO36(CALREC)
16フェーダー DM1000VCM (YAMAHA)
音声マトリックス HPX-3336(HANAOKA)
モニタースピーカー 8351A(GENELEC)