Blackmagic Designの発表によると、ロンドンに拠点を置く750mphが、FairlightのEVOモジュラーコンソール、3Dオーディオワークスペース(3DAW)プラットフォームを導入し、オーディオ設備の拡張およびアップグレードを行ったという。これには、Dolby Atmos認定のオーディオスイートも含まれている。

750mphのスタジオスペースは、アップグレードにより1万平方フィートに拡張された。トランスファー・ベイには9式のEVOコンソールおよびFairlightのMaster Control(XCS)パネルが導入され、ICANのユーザープログラム・マクロ機能が使用可能となった。ポストスタジオの8つのオーディオスイートへのビデオ再生には、Blackmagic DesignのUltraStudio Extremeのキャプチャー・再生を使用している。750mphのクリエイティブ・パートナーであるサム・アシュウェル氏は、次のようにコメントしている。

アシュウェル氏:750mphのオーディオ編集は飛び抜けて優れています。EVOコンソールを使用したフィジカルコントロールでのオーディオ編集は、意外なほど触感的な作業です。基本的には、ショートカットボタンとジョグのみを使ってサウンドを扱うので、操作は非常にスピーディです。

Fairlightの3DAWにより、750mphは現行のオーディオプロダクション・ツールで3次元サウンドのサポートが可能となった。Dolby Atmosなどのオブジェクト指向のフォーマットは、映像編集を超えるほどのクリエイティブな選択肢を与えてくれるとアシュウェル氏コメントしている。

アシュウェル氏:つまり、サウンドがより柔軟に扱えるようになるということです。3DAWを使用すると、作業可能なエレメントが多くなり、文字通り天井からもサウンドを出すことができます。

3DAWは、部屋のサウンドオブジェクトの位置を決める3Dパンナーで、3D視覚化で常に各オブジェクトの空間的位置およびレベルを確認可能なSpaceviewなど、没入型サウンドスケープを構築するためのツール群を搭載している。

映画用のサウンド・ミキシングでは、特定の処理で最大64チャンネルの個別のチャンネルをサポートし、様々な劇場の大きさやスピーカー数に対応している。また、ユーザーが空間において手を使い、サウンドを希望する場所に配置するAirPan機能により、空中で指を動かして空間内でサウンドをパン、回転、ティルト、拡散が可能となった。750mphの代表取締役ベン・メイソン氏は、次のようにコメントしている。

メイソン氏:これは全く新しい没入型の360°サウンドですが、すべての異なるオブジェクト用に多くのオーディオが必要になります。イギリスでは、Dolby Atmosに対応した映画館はそれほど多くありませんが、すでに多くのAtmosフィルムの依頼を受けています。今後Dolby Atmosはますますポピュラーになっていくでしょうから、私たちの設備は将来的なニーズに対応したものだと言えます。

アシュウェル氏:没入型オーディオは、9.1ベッドのオーディオがあり、オーディオ・オブジェクトをスペース内で操作します。つまり、サウンドエフェクトを特定の位置に配置できるのです。以前のシステムでは没入型の3Dオーディオを扱うことができませんでした。このため私たちは、今回のアップグレードの一環として、192チャンネルのマルチチャンネル・オーディオ・デジタル・インターフェース(MADI)I/Oを追加したのです。

システムの基礎を理解してしまえば、あとはそれほど難しくはありません。実際の操作は非常にシンプルです。他のクリエイティブな作業と同様、制限があるとすればそれは自分自身でしょう。自分自身の心と行動です。