Blackmagic Designの発表によると、サンディエゴに拠点を置くVRソリューション/製作会社VRTULが担当したABCの情報番組「グッド・モーニング・アメリカ」での360°水中ライブストリーミングで使用した、VRTUL Live Pro水中ステレオスコピック360システムにBlackmagic Micro Studio Camera 4Kが採用されたという。

同ライブストリーミングでは、Blackmagic DesignのVideo Assist 4Kモニター/レコーダー、Teranex AVプロセッサー、Arduino Shield、HyperDeck Studio 12G放送デッキ、Smart Videohub 40×40ルーターなども使用された。

360°ライブストリーミングにより、バハマの沈没船でのシャークダイビングを視聴者が実際に体験しているような感覚に導くことに成功。VR製作責任者/監督でVRTUL Liveの共同製作者ケーシー・サップ氏によると、このリグの構想から完成まで、与えられた作業時間はわずか30日だったという。その期間内で、同氏のチームはニューヨーク拠点のVR制作会社でビジネスパートナーの30 Ninjasとルイス・スミシンガム氏と共にリグの開発を行った。サップ氏は次のようにコメントしている。

サップ氏:非常に多くのことを考慮する必要がありました。バハマ沖3キロにある沈没船にボートを係留し、そこからスティッチングした信号をFacebook Liveに適したエンドコードとビットレートにしてニューヨークに中継伝送し、3時間以上に渡るストリーミングを行う必要がありました。

実際の「グッド・モーニング・アメリカ」の放送にライブストリーミングがマッチするように、遅延は10秒未満に抑える必要がありました。また、サメが噛みついたり、壊したり、倒したりしないように頑丈であることが不可欠でしたが、同時に画質も優れている必要がありました。単純にビニール袋やハウジングをカメラに被せたような即席のものではなく、カスタムメイドする必要がありました。多くの制限がありましたが、Blackmagic Micro Studio Camera 4Kを使えば、最終的にすべてがうまく収まるとわかっていました。

VRTUL Liveのリグには、5台のBlackmagic Micro Studio Camera 4Kが使用され、4Kの高解像度で360°の撮影を行った。また、各カメラからのSDI信号はBlackmagic Mini Converters Optical Fiber 4Kでファイバーに変換され、Mini Converter SDI Distributionも使用された。ボートではArduino Shieldを使用して、カメラのゲイン、シャッター、そのほかのマニュアルでのコントロールを調整した。

ボートにはワークフローの中心としてSmart Videohub 40×40が搭載され、DaVinci Resolve Studioからのライブでのカラーグレーディングと、現場のエンジニアによるダイナミックなスティッチング映像を受信。さらにTeranex AVがオーディオのエンベッドおよび信号の処理、HyperDeck Studio 12Gがマスター収録に使用され、Video Assist 4Kモニターで潜水前のフィードのテストが行われ、Blackmagic Mini Converter Sync Generatorはビデオリファレンスに使用された。

サップ氏:ワークフローの機材がすべて小型で小回りが利き、かつパワフルである必要がありました。Blackmagic Designの製品はその基準をすべて満たすので採用を決めました。Blackmagic Micro Studio Camera 4Kは極めて小型で手頃な価格にも関わらず、優れた画質が得られます。水中では解像度が下がるので、映像の観点からするとBlackmagic Micro Studio Camera 4Kの澄んだ画質と4Kの解像度は今回のプロジェクトでは欠かせない要素でした。

結果として非常に大きな成功を収め、ABCにとって今回のライブストリーミングは画期的な放送となりました。今は、この業界における転機だと考えています。こういった技術が実用化されたことを証明するだけではなく、視聴者が番組と関わることを求める中で、これらの技術によって視聴者が参加できる番組を製作でき、実際の放送に統合して使えるテクノロジーであることを広める必要があると思っています。

VRは従来の放送と組み合わせる場合、「障害」的な存在であると認識されることが多いのですが、それを乗り越える必要があることを考慮すると、今回のプロジェクトでさらなる一歩が踏み出せたと感じています。VRが生中継を妨げてはいけないんです。生中継の価値を上げ、プラスアルファの存在である必要があります。VRTUL Liveが放送の中心で活躍し、2つの異なる手法のコラボレーションに使われたことを大変うれしく思っています。また、今後は水族館や博物館などの教育や科学的な分野における設備やプロジェクトに挑戦していきたいと考えています。