Blackmagic Designは、同社のビジュアルエフェクト、合成、3D、モーショングラフィックのソフトウェア「Fusion 9」のメジャーアップデートを発表した。Fusion 9は同社Webサイトから無償でダウンロード可能。Fusion 9 Studioの価格は$299(国内:税別33,980円)と、従来の$999から$299に価格引き下げとなった。

今回のメジャーアップデートにより、Fusion 9はVRツール機能を搭載。360°の3Dワークスペースに加えて、新しいパノラマビューアが追加され、Oculus RiftやHTC ViveなどのVRヘッドセットもサポートしている。GPUアクセラレーションにより高速処理が可能なため、ヘッドセットを使って、リアルタイムでバーチャルリアリティ内のエレメントを体験可能。また、Fusion 9はステレオスコピックVRもサポートしている。新しい球体のSphericalカメラは、複雑なカメラリグを使わずに単一のパスですべてのVRシーンをレンダリング可能。

新たに搭載された平面トラッカーは、動きを計算し、シーン内で動いているオブジェクトにエレメントを正確に合成できる。例えば、シーン内の動く看板など、平らな物体とエレメントの置き換えなどに、新しい平面トラッカーを使用でき、平面トラッカーのデータは、シェイプをロトスコープする際にも使用可能なので、ロトスコープしたエレメントの動き、視点、位置、スケーリング、回転を映像の変化に合わせてマニュアルでアニメートする必要はないという。

新しく搭載されたカメラトラッカー機能により、シーンの実写のカメラの動きを分析し、3D空間で全く同じモーションパスをFusion内のカメラで再現することにより、オリジナルの動きと視点に完璧にマッチしたエレメントを合成できる。Fusionはショットを自動的に分析し、レンズの焦点距離や歪みを計算する。

新しいイメージサイエンスと処理に加えて、新しいDeltaキーヤーではマットフィネス・コントロールが使用でき、イメージのディテールを損なわずにクリーンなキーイングが可能。さらに、新しいクリーンプレートツールは、ライブアクションの映像のブルー/グリーンバックにおける、わずかな色むらを軽減させるため、キーイングが行いやすくなるという。

Fusion 9 Studioには、マルチユーザー・コラボレーションが行える新しいアプリケーション「Studio Player」が搭載され、ショットの再生用のプレイリスト、絵コンテ、タイムラインが使用できる。Studio Playerはバージョン履歴、注釈メモ、LUTの使用などに対応。Studio Playerは、Blackmagic DeckLinkおよびUltraStudioを介して出力ができるため、スタジオや劇場でのチェックや承認のためにショットの確認が必要な場合に最適な機能だとしている。リモート同期機能は、世界中のあらゆる場所にある複数のStudio Playerの同期が可能。さらに、Fusion 9はビンサーバーを採用しているため、共有している素材やツールを各ワークステーションにコピーする必要はない。

また、Fusion 9 Studioでは無制限のネットワークレンダリングが行え、大規模なスタジオで、複雑なショットやハイエンドのVFXを多用した劇場フィルムをレンダリングする際に、コンピューターごとにライセンス費を払う必要はなくなった。Fusion 9 Studioを購入し、ワークステーションにインストールした後、レンダリングに必要なコンピューターに数の制限なくインストールするだけで、追加費用や継続的な維持費を支払う必要なくネットワークレンダリングが可能。

その他にも、DNxHR、MXFを含む様々なフォーマットやファイル形式のサポートを追加し、DaVinci Resolveファイルとのシームレスな統合も提供する。DaVinci ResolveユーザーはFusion Studioをスタジオに導入しやすくなり、キーイング、ペイント、合成、トラッキング、モーショングラフィック、タイトルなどの様々な機能のワークフローへの取り入れが可能となった。同社のCEOグラント・ペティ氏は次のようにコメントしている。

ペティ氏:Fusionは極めてパワフルで奥深いツールで、長年に渡ってハリウッドのトップレベルのVFXやモーショングラフィック・アーティストに使用されています。Fusion 9には、ユーザーの皆様からたくさんのご要望をいただいていた機能やツールを新しく搭載し、対応フォーマット数も増え、最新のワークフローにも対応可能となっただけでなく、GPUおよびOpenCLアクセラレーションが向上しました。

さらに、価格も大幅に引き下げました!これにより、今まで以上にFusionが手の届きやすい存在となりました。また、新しいコラボレーションツールと無償の無制限ネットワークレンダリングを利用することで、大規模なスタジオでの仕事の仕方が変わることになるでしょう!