SIGGRAPH2006 現地レポート(3/3)

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SIGGRAPH2006 現地レポート(3/3)

2006-07-30 掲載


アプリケーション分野

繁栄期で御三家といわれた3DCGというと、エイリアス・ウェーブフロント社の「Maya」、オートデスク社の「3dsMax」と、ソフトイマージ社の「ソフトイマージ」だった。これも業界の飽和状態を迎え並び財源が浮いてしまい、今やオートデスク社がMayaと3dsMaxの所有者となり、ソフトイマージ社は、アビッドテクノロジー社の傘下として存続しながら、SOFTIMAGE|XSIを展開している。毎年SIGGRAPH次期に、新しいバージョンをリリースすることをコミットとしていたMayaはバージョン8、3dsMaxからはバージョン9を発表。ソフトイマージでは既に5.0をリリースしており、春のGDCイヴェント(ゲーム開発者のためのカンファレンス)会場では、COLLADA 1.4のネイティブサポートやリアルタイムシェーダ環境の強化が成された5.1をリリースしている。

Mayaのバージョン9では64ビット(windowsとLinux)に対応、オートデスクとなったアドバンテージを活かし、FBX プラグインにより3dsMaxとモーションビルダー間のデータのやりとりを改善した。また、Autodesk Toxikへ、レンダーデータをエクスポートできるようになった。

High dynamic Range (HDR) とフローティングポイントイメージのサポートやmental ray 3.5のサポートなど多彩なアップグレードがみられる。3dsMaxも64ビット(windowsとLinux)に対応、新バージョンでFBXフォーマットを介してMayaとのコンパチビリティのアップを図っている。

ソフトイマージからは、XSIのほか、フェイシャルアニメーション・ツールのSOFTIMAGER|FACE ROBOTのバージョン1.5を発表した。これはこの秋に2.0を控えてのパッチバージョンのようなもので、主要ゲームプラットフォーム向けエクスポートソリューションのパイプラインの整備とMova Contour Reality Captureシステムからのインポート機能のサポートや高度なディフォーメーションを持ったアニメーション再生のパフォーマンスの向上がみられる。また、NewTek社からも「Lightwave」の最新バージョン9が発表され、主にユニバーサル・バイナリ・バージョンでIntelMacプラットフォーム(PPC G4 と G5 CPU)をサポートできるようになったことは成果が高い。NewTekのブースではいつも大きなステージを設けて、製品のプロモーションのほかスーパーユーザやキーゲストを招いたイヴェントを開催するのだが、今年はその活気は見られなかった。その他日本で知られている3DCGアプリケーションといえば、Maxon社の「Cinema4D」はmバージョン4.5と「BodyPaint3D」のバージョン2.5が出展されていた。Cinema4Dの新バージョンでは、新たにコンテンツブラウザ・インターフェースが搭載され、ネットワーク上の素材管理ができるようになった。BodyPaint3Dでは、コンテンツブラウザの追加のほか、ワコムタブレットサポートの向上が新機能として加わった。今年初展示をしたアプリケーションでは、DarwinDimentions社の「evolver」という、豊富なライブラリデータから自動で3Dキャラクターを生成するものが見られた。ライブラリに登録されている顔やボディパーツからベースのデータを引き出し、それに自由に変更を加えてカスタマイズ化し、そのまま汎用3Dソフトウェアへエキスポートできるというもの。アニメーションや微妙なモデリングは、最終的に汎用アプリケーションで行う。最初から汎用アプリケーションでキャラクターモデリングをするよりも時間の削減を図ろうとする目的で、バージョンは3種類(ベーシック、プロとコンプリートバージョン)が用意されている。

Robert McNeel&AssociatesのNURBモデリングソフトウェア「Rhinoceros」も、日本で認知されている工業デザイン向けのアプリケーション。こちらもブースを構えて、オリジナルのプラグイン、スケッチやカートゥーンレンダリングの「Oenguin」をはじめ、デザインアニメーションの「bongo」等と一緒にプロモーションをしていた。日本では、マックレイが代理店となっている、ハイエンド用コンポーザー「NUKE」は新バージョン4.5をデジタルドメインのブースのコーナーでプロモーションしている。NUKEは元々、ドメインのインハウスソフトウェアで、米国ではドメインから独立させたD2 SOFTWAREが販売元となっている。NUKEでは64チャンネルのEXRデータをサポートすることができるという。

Pixerブースでは、「RenderMan」の新製品のニュースがあった。RenderManは、Pixer社のインハウスのレンダリングソフトウェア、「Photorealstic Render Man(PRMan)」を商業化したもの。Pixarによって制作された映画には、この RenderManが使われているのは勿論、ハリウッドではレンダラの選択肢として非常に高いシェアを占めている。ブースでは、MayaプラグインをサポートするRenderManバージョン2.0をはじめ、RenderMan Artist Tools7.0のほか、年末までにリリースする予定の新製品、RenderMan Studioが展示。RenderManStudioでは、現在のRenderMan for MayaとRenderMan Artist Toolsを合併、単体製品としての使用のほか、レンダーファームバーージョンのRenderMan Pro Server 13.0とのI/Oを持つことになる。RenderManバージョン2.0では、Mayaの最新バージョン8をサポート、そしてマルチスレッド、レイトレーシングの効率化が図られている。その他、インハウス出身といえばMassiveSoftware社の群集ソフトの大御所、「Massive」がある。これはオーストラリアのプロダクションWeta Digitalがロード・オブ・リング制作のために開発したようなもので、知的学習を持つデジタルスタントマンを生成する群集アプリケーション。使いこなすには相当のプログラミング知識とトレーニングを必要とするが、商業化として簡易化した「Massive Jet」と、「Massive Prime」がある。

また、クロスシュミレーションソフトウェアの「Syflex」も、元々スクエア・ホノルルのインハウスソフトウェア。Syflexは新バージョンでLightWaveを最新バージョン9からサポートできるようになった。Syflexもハリウッドの大手プロダクション全てに起用されている、というほど認知度は高い。

マッチムーブメントに特化した、全自動カメラトラッキングソフトウェアの定番の2d3社「boujou」は、バージョン4を発表。2d3社は、姉妹社のモーションキャプチャ開発会社Vicon社とブースをシェア。Boujouは、実写の撮影現場にエフェクトスタッフがいる必要のない「サーベイレス」、2Dオブジェクトベースのトラッキングシステム。他のプログラムの様に多くのパターントラッキングを行うことなく、今までトラッキングポイントを配置することが困難だったロケーションでのショットも無理なく、また高速スピードで処理することができる。

特別なエンジンにより、従来の3D トラッキングシステムの10倍以上の速度で処理ができる、という。バージョン4では、3Dメッシュのインポート・エクスポートをサポート、OBJファイルのインポートによるテストオブジェクト機能強化やマニュアルでの編集機能を強化した自由度の高いフレーム毎の編集機能「Solve」の追加が見られる。また、2d3社ではboujou bullet(BB)のエンジンを搭載した、Mayaプラグイン簡易マッチムーブソフトウェア「moujou」も並んで展示されていた。

Emerging Technology(エマージング・テクノロジー)

「Emerging Technology」は、未来のインタラクティブなヒューマンインターフェースや、インタラクションの技術やコンセプトを課題としている場である。

今年は、110ものサブミッションがあり、厳選された36 エントリが会場に出展。驚くことにその過半数(16)は日本の大学や企業研究機関からの参加であった。全ての展示物はまだ実用化までは至っておらず、一例としたグラフィックコンテンツを持ち合わせた研究発表が多い。特に日本からの出展に関しては、それをインタラクティブにディスプレイさせるソリューションが目立った。

会場フロアに訪れたビジターは実体験もできるため、ちょっとした科学技術館にいるような気分にもなる。三菱エレクトリック研究所(MEAL)からは 「Submerging Technologies」というセンサー技術を使った、3つのインタラクティブシステムが出展されていた。1つは注がれている水を指で触れることによって音が出る仕組み。2つ目は噴水のほうに湧き出る水の近くに手を置くことでその部分の水の形状が変化する。3つ目は水中内にある細かい物体の群集に触ろうとすると避けられて散らばる。これらは流体自体に光学センシング技術と容量性の仕組みを加えられて、センサー要素として作動をすることを利用している。ハンガリーのholografika社からは、大画面によるインタラクティブ・ホログラフィックシステム「HoloVizio 640RC」が出展されていた。オブジェクトをあらゆる角度に動かすことができる。視野角度は50?70度まで。OpenGL対応、また3Dソフトウェアとの連携を図ることが可能で3D解像度は、50.3 メガ・ピクセルまで対応できる。医療、地学やエンターテインメント、ゲーム分野での活用が期待される。

ロボティクス分野としては、筑波大学からの「Copycat hand」が際立った。こちらは人間の手を「模擬」するロボットで、150fpsの処理スピードで模擬反応をする。手の細かい動きの莫大なデータベースが内蔵されており、人間の手の動きを読み取り、それに似たデータをリアルタイムで呼び起こし実行する。また、学習能力も備わっており、新しいデータベースとして組み込まれるようだ。

東京大学とNTTコミュニケーション科学基礎研究所からのインタラクティブな卓上映像シアター「Tablescape Plus」は、水平な卓上スクリーンと垂直に置かれた卓上物に別々のイメージを投影できるディスプレイ・システム。

今回の出展では、卓上物として、しゃべるキャラクターが置かれており、キャラクター同士の組み合わせを変えると、しゃべる内容やアクションが変わる。赤外線カメラはテーブルの下に上向きに設置されており、赤外光はカメラの側面からスクリーンまで映し出されている。 そして対象物が置かれるとき、それぞれの物のID、位置、および回転は、ARToolKitライブラリを使用することによって認識される。 カメラベースの追跡技術と赤外線の光学系を導入することにより、この新しいディスプレイ・システムにインタラクティブ性を加えた。

エレクトリックシアター

エレクトリックシアターは、コンピューターアニメーション・フェスティバルの一環で、SIGGRAPHにとって代表的なイヴェント。 世界中から応募されたCGを駆使した作品から、選定委員会より評価された作品だけシアターで上映されるというもの。 科学関連、アニメーション関連、ゲーム関連、ビジュアルエフェクト関連と、ジャンルも豊かである。

いずれも高い完成度ばかりだったが、全体的に技術面での革新性は薄く、最新の論文を用いたCG表現等は、あまり見受けられなかった。 今年は、過去最大の応募数で、世界37カ国から726作品の応募があった、という。

その中からエレクトロニックシアターは34作品、アニメーションシアター63作品が入選。 エレクトロニックシアターの最高賞は、主人公のねずみに明確に感情移入させた点を高く評価された、Alex Well氏(米国:Charlex社)の「One Rat Short」、ジュリーオーナー(選定委員会賞)には、2匹のカタツムリのロマンチックストーリ、「458mm」(ドイツ)が選ばれた。 毎年、大手CGIプロダクション数社からの入選はあるのだが、ハリウッドからはILMの「ILM2006」というプロダクションリールのみ。

今年のエレクトリックシアターでも新しい試みがなされた。

作品選考のときにはフルデジタル化したワークフローを起用し、上映には、初めて4Kプロジェクターでの映写、作品の1点をフル4K解像度で投影した。

また前座(プレ・ショウ)として、10年前に一度実施したことがある、観客参加型のインタラクティブ・ゲームが開催された。

今年のエレクトリックシアターでは、SONY製の最新のSRX-R110を2台採用した。 フル4Kのデジタルシアターは初めての試み。 SRX-R110は、フルHDTV 207万画素の4倍を超える885万画素(横4096画素・縦2160画素)を実現する超高精細液晶ディスプレイデバイス「4K SXRD (Silicon X-tal Reflective Display)」を搭載した、デジタルシネマプロジェクター。 輝度は10,000ルーメン。 プライマリプロジェクターはHDTV解像度の作品やプレ・ショウを映写するため、そしてセカンダリプロジェクターはフル2K/4Kのコンテンツを映写するために用意された。

プライマリ(メイン)プロジェクターには、2台のHD‐VTRと、プレ・ショウのインタラクティブ・ゲーム、「エッチング・スケッチ」用システムがHD-SDI経由で接続され、ほとんどの作品を1920x1080の解像度で投影している。 4Kで映写されたのは、Andy Lomas氏の作品「Growth by Aggregation2」で、1920x1080で一旦並べてレンダリングされたものを合わせて4 Kの4096x2160として、セカンダリ(バックアップ)プロジェクターから投影している。

セカンダリプロジェクターには、計測技研研究所の4チャンネル対応SD/HD対応非圧縮ビデオディスクレコーダUDR?10E から2048x1080/24p(4:2:2)の解像度の素材が、4分儀(4チャンネル)でHD-SDI経由でインジェスト、投影されるようになっている。 そしてプロジェクター毎に用意されたラップトップのプロジェクター制御システムで、マルチスクリーンやプリセットの設定ができるようになっている。

計測技研研究所の非圧縮ビデオレコーダは、今まで映像研究機関での使用が多かったが、最近ではエレクトリックシアターのようにデジタルシネマの分野やDIソリューションでも注目されるようになった、という。

今年のプレ・ショウでは、「エッチング・スケッチ」という、作品を上映する前に観客に参加してもらうゲーム感覚のインタラクティブなリアルタイム描写を実施した。 これは前記したように10年前に2度ほど実施したことがあり、今回は新しいコンテンツと技術で再現した。 コンテンツ制作は前例と同じくCinematrix Interactive Entertainment Systemsが携わった(著作権は、The Ohio Art Company)。 このエッチング・スケッチは、観客に入場の際に手渡してもらった、両面にそれぞれ赤/緑色の反射板がついている棒を、スクリーンに描写されたアニメーションに反応しながら左右または上下に動かしてもらうと、スクリーンの両脇上に設置された2台のセンサーカメラがその振りかざされる反射板を感知し、リアルタイムにスクリーンのアニメーションへ反映させる、というもの。

今年のは、「スケッチ」曰く、スクリーンに座席の配置図が表示され、観客が向けた棒の色(赤/緑)によって、スクリーン上の配置図に色がつき、その色の数によってバーが上下するゲームや、スクリーン上に表示されたカーソルをペンに見立てて図形をなぞるといったものだった。


[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2006-07-30 ]
[ TAG : SIGGRAPH ]

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