[RED flow Now]08: AvidがREDワークフローを確立
2009-06-17 掲載
今年のNAB Showに合わせてコーポレートロゴを変更し、ユーザーの声を積極的に採り入れていく姿勢をアピールしたAvid Technology(米マサチューセッツ州テュークスベリー)。このNAB Showを受けて日本でも、アビッド テクノロジー(東京都港区)が5月21日にPost NABイベントを東京・恵比寿のイーストギャラリーで開催した。このPost NABイベントで注目を集めたのは、ステレオスコピック3D映像制作とREDワークフローへの対応であった。ここでは、REDワークフロー部分について整理しておこう。
これまで、RED ONEのデータをアビッドの編集システムを使用して取り扱おうとするには、RED Digital Cinemaの標準ツールREDCINEなどを使用して現像処理を行ってDPX連番ファイルなどに書き出し、これをノンリニア編集・合成フィニッシングシステムAvid DSで読み込むという必要があった。ノンリニア編集システムのMedia Composerで編集をするためには、さらに1段階の作業を必要となる。アビッドが提供するフリーウェアのデジタルインタミディエイト用ファイル変換ソフトウェアMetaFuzeを利用して、DPX連番ファイルからAvid DNxHDを作成し、ようやくMedia Composerでの編集が可能になるという状況だった。
2008年秋にAvidは、RED社とR3Dソフトウェア開発キットライセンス契約を交わし、正式にREDワークフローへの対応を表明した。最初に行った変更は、Avid DSにおいてREDCODE RAWのR3Dファイルにネイティブに対応し、さらにR3DファイルからHD RGB4:4:4プロキシを作成可能にしたことだ。既存のDPX連番ファイルを利用したワークフローからプロキシ利用へと変更したことで、長尺の編集もしやすくなったと言える。
しかし、Avid DSはハイエンドな編集システムだ。R3Dファイルをより手軽に編集できるようにする必要もあった。Media Composerでのタイムライン編集をしやすくするために、AvidはMetaFuzeをバージョンアップ。R3Dファイルをネイティブに読み込めるようにした。DPX連番ファイルの作成という工程を省き、より短時間で作業できるようになったと言える。
Media Composerでの編集がしやすくなったことで、Avid DSも含めたワークフローも再構築できた。オフライン編集をMedia Composerで行い、書き出したAFEファイルを使用してAvid DSでR3Dファイルとコンフォームを行い、フィニッシングするといったことも可能になってきた。アビッドは、ベースとなるREDワークフローを確立した段階になったと言えよう。
R3Dを扱えるようにしたMetaFuseは、より高速化を目指す
今回、新たに構築し直したアビッドのREDワークフローについて、アビッド テクノロジーの技術統轄本部プロフェッショナルサービスグループの西岡崇行氏に聞いた。
──MetaFuzeの役割について教えてください。
西岡氏:Windows XP、WINEを使用するLinux、MacでVM Fusionを利用したWindows環境で利用できるMetaFuzeは、もともとはDIワークフロー用に作られたフリーウェアです。テレシネした際のファイルサイズの大きなDPX連番ファイルやTIFF連番ファイルなどを、Media Composerなどで取り扱いしやすいAvid DNxHDファイルや非圧縮ファイルへと変換するために利用します。DIワークフロー用に作られているので、メタデータの維持、追加、修正といったことにも対応していることが特徴です。今回のバージョンアップで、REDCODE RAWのR3Dファイルの読み込みとステレオスコピック3Dに対応しました。
──DPXやTIFF、R3Dの4K解像度など、扱うファイルサイズが大きいが、動作速度については?
西岡氏:今回のバージョンアップでは、まずR3Dファイルを取り扱いできるようにすることに重点を置いています。動作速度については、今後も引き続き改善していきます。フリーウェアなので、複数台のマシンにインストールして作業してもらえればと思います。
| R3Dファイルに含まれるメタ情報を利用した編集が可能になった |
──実際の作業の流れは?
西岡氏:R3Dファイルの入っているフォルダを選択するだけです。これまでR3DファイルからAvid DNxHDを作るには、REDCINEを使ってDPX連番ファイルを作っておき、さらにMetaFuzeで変換する必要がありました。今回のバージョンアップにより、直接Avid DNxHDに変換することが可能になり、R3Dファイルに付加されているメタデータも生かせるようになりました。MetaFuzeで、感度やトーン、LUT(Look up Table)、RLXの読み込み設定といった現像処理もでき、オフライン編集用にシーンナンバーやタイムコードを画面内に表示させた映像も作成できます。このAvid DNxHDファイルを使用して、Media Composerでオフライン編集を行い、AFEファイルをエクスポートすることでAvid DSにオフラインデータを渡すことが出来ます。Avid DSでは、プリセットからR3D 4Kの設定を選択してシークエンスを作成し、R3Dファイルをコンフォームするという流れになります。
──MetaFuzeを使用する際に、RED社が提供しているRED QuickTime Codecをインストールしておく必要はありますか?
西岡氏:その必要はありません。スムースな再生をするためにはREDCINEが必要になりますが、R3DファイルをAvid DNxHDへ変換するのであるならばMetaFuseのインストールだけで大丈夫です。マシンスペックにもよりますが、現在は2000フレームの変換に20分前後かかります。今のバージョンでは、MetaFuzeがデュアルコアまでしか対応していないことが原因です。先ほど「まず取り扱いできるようにした」と話したように、今後は処理スピードを向上させるためのバージョンアップを行っていきます。フリーウェアで提供されているメリットを生かして、しばらくの間は複数のマシンで作業を分担してもらえればと思います。
──今年のNAB ShowでAvidは、ユーザーの要望に応じたより現実的な機能向上をしてきたと感じたが。
西岡氏:各社の編集ソフトウェアでも編集作業はできるようになってきました。しかし、4K解像度という大容量ファイルをどう活用して、より高画質でフィニッシングするためのワークフローはどのようなものが必要か、と考える段階に入ってきたのではないでしょうか。アビッドは、リファレンスファイルを使ってオフライン編集が速くできればよいという取り組みではなく、最終段階の出力を見据えたワークフローを念頭に置いて開発しています。オフライン、オンライン、フィニッシングの各作業が、スムースに連携できることでワークフローは使いやすいものになりますし、より高品質な映像制作に専念できるようになると思います。
[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2009-06-17 ]
[ TAG : Avid Media Composer R3D RED DIGITAL CINEMA ]
この記事に関連する記事一覧
|
|
[InterBEE2011]アビッドテクノロジー株式会社ブースレポートMedia Composer 6 Media Composer 6がInter BEE 2011で初公開された。米国では17日、日本では18日にリリース開始となった。64ビット・ア .... 続きを読む |
|
|
[InterBEE2011]RED Digital Cinema プライベートセミナー動画西華産業株式会社が11月17日に東京ベイ幕張ホールにて開催したRED Digital Cinema社のプライベートセミナーの模様を動画でお送りします。 開催日:2011 年11 月 .... 続きを読む |
|
|
[NAB2011:RED Digital Cinema]会場に復帰したREDは、赤い旋風を巻き起こしたか?赤いテントでお馴染みのRED Digital Cinemaは、昨年の別会場から1年ぶりに会場に復帰した。正面にハンズオンのコーナーを設けその裏に周辺機器やシアターを配置するという結 .... 続きを読む |
|
|
[NAB2011:Avid]「Imagine ▶ Achieve」が今年のAvidブースのテーマAvidは「Imagine ▶ Achieve」をテーマに、2月に発売となったMedia Composer 5.5、NewsCutter 9.5、 Symphony 5.5などを .... 続きを読む |
|
|
[InterBEE2010]アビッドテクノロジー株式会社ブースレポート数年前に新ロゴになってからAudioとVideoは同じブースで出展するようになったAvid。今年は、Openness & Avid Anywhereをテーマに、さらに進化したAud .... 続きを読む |
|
|
[Digital Cinematography 2010]Vol.05 REDの新たなる展開-新ジャンルへのとりくみとは?RED STUDIOS HOLLYWOODの在り方とは? RED STUDIOS HOLLYWOODのラボ施設内では、REDの最新のセンサーMYSTERIUM -Xセンサーを搭載し .... 続きを読む |
|
|
[Digital Cinematography 2010]Vol.04 RED の新たなる展開-RED STUDIOS HOLLYWOOD訪問-RED STUDIOS HOLLYWOODに初潜入! RED Digital Cinema社は最近、オレンジカウンティにある本社とは別に、ハリウッドの中心部に位置する古いスタジオを .... 続きを読む |
|
|
[Digital Cinematography 2010]Vol.00 -Low Budget, High Quality Hollywoodが見つめる先は?-どうなる?Digital Cinematographyの世界 今年もハリウッドの映画制作を支える、映画撮影機材の専門展示会、Cine Gear EXPOが開催された。 映画の都" .... 続きを読む |
|
|
[NAB2010:Avid]アビッド~ワークフローなどテーマに分けたデモンストレーションや展示が充実Avid は、「世界中が観て、聴いて、愛する作品のために」をテーマに、さまざまなAvid ソリューションが提案されたほかMedia Composer バージョン5、Symphony .... 続きを読む |
|
|
[PRONEWS AWARD 2009]Vol.00 2009年を振り返る発表!PRONEWS AWARD 2009 2009年も早いものでもう後わずかである。映像業界もいろいろな商品やサービスのリリースやトレンドが見られた。PRONEWSでも日夜取材や .... 続きを読む |
- [PRONEWS AWARD 2009]Vol.01 画作りを変えたカメラの登場?カメラ編 (2009-12-17)
- [InterBEE2009]アビッドテクノロジー株式会社ブースレポート (2009-11-20)
- [InterBEE2009]西華産業株式会社ブースレポート (2009-11-19)
- [VFX 2009]01:映画/フィルムワークフローを変えずにデジタル化 (2009-09-30)
- [Stereoscopic 3D]03: 3Dプレビュー可能なオフライン環境が登場 (2009-07-08)
USTREAM生放送番組
|
PRONEWS Lounge テーマに沿ったゲストを招き、対談・ディスカッションなどを特設会場より生放送。過去放送分も視聴できます。 |
特集記事
|
CES 2012レポート 世界最大級の家電見本市CES2012の現場から、PRONEWSならではの切り口でレポートをお届け。 |
|
|
PRONEWS AWARD 2011 2011年を振り返りつつ、2012年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
|
Inter BEE 2011スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されるInterBEE2011。PRONEWSでは今年もInterBEEのオフィシャルメディアパートナーとして、様々なコンテンツをお届け! |
|
|
Inter BEE 2011の歩き方 最小限の力で最大の効果が得られるInterBEE2011のおすすめの歩き方を、目的に合わせたコースごとに紹介する。 |
|
|
CEATEC JAPAN 2011 10月4日(火)から10月8日(土)まで幕張メッセにて開催される最先端IT・エレクトロニクス総合展 "CEATEC JAPAN 2011"をプロの視点からレポートする。 |
|
|
Movie Maker's GIG in Europe オランダ・アムステルダムで開催されたIBC2011レポートを中心に、新たに湧き起こって来た映像技術における次世代の新テーマなど、現場から伝わって来たその温度感をレポートする。 |
|
|
PRONEWS課題図書 2011年の夏の終わりに、あらためて「映像」に関わるものとして「映像」について考え、新解釈を探る事にした。 |
|
|
SIGGRAPH2011 CGの祭典「SIGGRAPH」が8月7日から11日の5日間、カナダ・バンクーバーで開催された。受賞作品を映像と共に紹介する。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第4章 1年ぶりの3D特集。この間に3Dを取り巻く状況はどのように変化しただろうか?押さえておくべき3Dの基礎を考えつつ、2011年の3Dを再考してみる。 |
|
|
Movie Maker's GIG in Hollywood セッション(GIG)感覚で映画が創れる時代の潮流をハリウッドではどう捉えているのか?CineGearExpoの情報もお伝えしつつ、次世代のプロ映像制作者像を追い求める。 |
|
|
Master Mind Camera 2011 今必要な理想のカメラを追求しつつ、カメラを使う人と機能から紐解いていく。 |
|
|
NAB2011 スペシャルレポート 4月11日から米ラスベガスにて開催された世界最大の放送機器展「2011 NAB Show(NAB2011)」。毎年恒例のレポート特集を現地よりお届け。 |
|
|
USTREAM最終案内+ 奇しくも、今回の震災でのライブメディアが活躍する事になった。3.11以後USTREAMをはじめとするライブメディア/ソーシャルメディアのあり方を今一度取り上げてみたい。 |
|
|
ファイルベース新時代 ファイルベースの進化は、VTRの進歩とともに現在に繋がってくる。1950年代に開発されたVTRを起点にその流れを簡単にさかのぼってみよう。 |
|
|
Into the Lens 『CP+』における取材を通じて、2011年のプロ映像界におけるレンズの世界最新事情や表現者たちの最新機材での挑戦を追う。 |
|
|
CES 2011レポート 世界最大級の家電見本市CES2011の現場から、PRONEWSならではの切り口でレポートをお届け。 |
|
PRONEWS AWARD 2010 2010年を振り返りつつ、2011年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
|
Inter BEE 2010スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されたInterBEE2010のレポート記事や動画を掲載。 |
|
|
Inter BEE 2010の歩き方 目的に合わせたInterBEE2010の歩き方を紹介する。 |
|
|
映像品質検証 -VQC- デジタル映像全盛の今、問われる映像品質検証の現状とは? |
|
|
DSMC/DSLR 2010 #2 現場感覚におけるDSLRの現状の捉えられ方を取材してみた。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第3章 ステレオスコピック3Dの具体的な制作方法を考えていく。 |
|
|
Ustream最終案内 Ustreamの世界の可能性を実際に現場で活躍する人々から探ってみた。 |
|
|
Digital Cinematography 2010 Cine Gear EXPOの様子などから、これからのハリウッド映像制作の方向性を紹介する。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第2章 関心が高まっているステレオスコピック3Dコンテンツの制作について整理していく。 |
|
|
DSMC・DSLR 2010 CP+のレポートを中心に、2010年のDSMC/DSLRの動向について考察していく。 |
|
|
ファイルベース収録カメラ最新案内 ファイルベース収録カメラを選択するための基準や基礎知識等を、レビューを交えて考察する。 |
|
|
Transcode ファイルベース・ワークフローの普及と共によく目にするようになったトランスコードについて整理する。 |
|
|
映像新時代2010 2010年の映像制作の潮流を様々な方面から予想していく。 |
|
|
稲田出のトレンド100選 InterBEE2009で見た2010年注目100アイテムを紹介。 |
|
|
PRONEWS AWARD 2009 2009年を振り返りつつ、2010年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
|
Inter BEE 2009スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されたInterBEE2009のレポート記事やブース動画を掲載。 |
|
|
Inter BEE 2009の歩き方 目的に合わせたInterBEE2009の歩き方を紹介する。 |
|
|
最新映像制作ワークフロー VFX 2009 最新映像制作ワークフローの中から、制作効率を改善していくヒントを探す。 |
|
|
オンボードライト特集 Light House 新時代を予感させるLEDを中心にオンボードライトを解剖する。 |
|
|
立体視映像特集 Stereoscopic 3D 再び脚光を浴び始めているステレオスコピック3D制作に焦点を当てる。 |
|
|
REDワークフロー特集 RED flow Now RED ONEの最新ワークフローを考える。 |
|
|
4Kデジタルシネマ特集 4K Ready! RED ONEの登場で一気に注目されつつある4K映像とは? | |
|
デジタルサイネージ特集デジタルサイネージ2009 急速な広がりを見せるサイネージメディアを紹介する。 |
|
|
ワークフローの鍵を握るMXF MXFファイルを活用する現場を取材し、制作ワークフロー全体に広がるMXFを紹介する。 |
|
|
フルデジタル制作移行、その課題と展望 フルデジタル制作環境に向けて乗り越えなければならない課題と、その先の可能性を紹介する。 |
|
|
2008年総括:これからの映像業界 2008年の売れ筋を見ながら、人気機材の動向を振り返ってみる。 |
|
|
次世代収録環境へのアプローチ 2008年のカメラ環境を踏まえ、次世代環境に必要なものを考える。 |
展示会レポート
- CES 2012
- Inter BEE 2011
- CEATEC JAPAN 2011
- IBC2011
- SIGGRAPH2011
- デジタルサイネージジャパン2011
- IMC TOKYO 2011
- Cine Gear EXPO 2011
- NAB2011
- CES 2011
- Inter BEE 2010
- CEATEC JAPAN 2010
- IBC2010
- CEDEC2010
- SIGGRAPH2010
- ケーブルテレビショー2010
- IMC TOKYO 2010
- デジタルサイネージジャパン2010
- Cine Gear EXPO 2010
- NAB2010
- Inter BEE 2009
- CEATEC JAPAN 2009
- CEDEC2009
- SIGGRAPH2009
- ケーブルテレビショー2009
- デジタルサイネージジャパン2009
- IMC TOKYO 2009
- Cine Gear EXPO 2009
- NAB2009
- Inter BEE 2008
- CEATEC JAPAN 2008
- SIGGRAPH2008
- ケーブルテレビショー2008
- IMC TOKYO 2008
- NAB2008
- PIE2008
- Inter BEE 2007
- CEATEC JAPAN 2007
- BroadcastAsia2007
- ケーブルテレビショー2007
- NAB 2007
- Inter BEE 2006
- CEATEC JAPAN 2006
- SIGGRAPH2006
- NAB2006
