[Stereoscopic 3D]00: 今度は波に乗れるか? ステレオスコピック3D
2009年07月08日 掲載
「ステレオスコピック3D(Stereoscopic 3D)」「ステレオスコピー(Stereoscopy)」「ステレオ3D」などさまざまな用語が使われているが、立体視可能な映像のことである。最近では、裸眼立体ディスプレイなども出てきているが、多くは赤青レンズや、偏光レンズ、シャッターを用いた専用のメガネを使用して左右の目で別々の映像を見られるようにすることで、あたかも映像が立体的に、奥行き感を持って見えてくるという仕組みだ。
そんなステレオスコピック3D制作が、また脚光を浴び始めている。これは、いったい何度目の波だろうか。立体写真の歴史すら含めれば、すでに数10年が経過しているかもしれない。立体映像だけでも、10年に1度くらいのペースで、既存の表現を拡張する映像表現として注目が集まっては、いつのまにか消えて行くことを何度も繰り返してきた。クオリティであったり、制作費であったり、上映環境であったりと、その都度さまざまな理由があるにせよ、一時的に盛り上がっては、「時期尚早」という烙印を押されることが続いてきたわけだ。
| 6月に行われたIMC Tokyoの西華産業ブースに展示されたRED ONE利用のステレオスコピック収録環境 |
今回の波は、以前に比べても、しっかりとした波のように見える。過去のステレオスコピック制作ブームと大きく異なるのは、収録から編集・制作、上映まで、それぞれの工程がファイルベースへと移行していく段階であることだ。特に、上映環境の問題は大きい。5月の特集「4K Ready!」でも触れたが、映画業界も、デジタルシネマ移行と同時にステレオスコピック3Dという付加価値によって集客しようという動きが出始めている。今年から数年間は、映画館のデジタルシネマ機器移行が進んでいく段階にある。4Kプロジェクターを導入するのか、2K/HDプロジェクターを導入するのかは、そのシネマ館の判断にも左右されるだろうが、デジタル上映の1つの可能性としてステレオスコピック3Dをどうするかも考慮されることになるだろう。
TOHOシネマズでは、2012年春までにほぼ全スクリーンで、ステレオスコピック3D対応のデジタルシネマ機器を導入する予定だ。これは、ハリウッド映画を中心にステレオスコピック3Dコンテンツが増えてきていることへの対応でもある。このように、機材更新により上映環境が増えるということは、制作しても特別な環境を用意する必要がなくなるということでもある。これは、コンテンツ制作に踏み切る良いきっかけにもなりそうだ。
| BS11デジタルは3D立体放送に取り組んでいる |
ステレオスコピック3Dの取り組みで、映画以外のコンテンツには、日本BS放送が2007年12月の開局以来、BS11デジタルで実施している3D立体放送がある。サイド バイ サイド方式で放送されている番組を、3D立体放送に対応したデジタルハイビジョンテレビで受信することでステレオスコピック3Dコンテンツとして視聴するものだ。家電量販店などで体感コーナーが設けられているが、コンテンツを観るために対応テレビを購入しなければならないというのは敷居が高い。確かに、地上デジタル放送への移行期で、視聴者のデジタルハイビジョンテレビ購入が見込まれる時期ではあったのだが、3D立体放送はキラーコンテンツにはなれなかった。対応テレビは限られ視聴環境が整わず、コンテンツも爆発的には増えない。コンテンツが少ないから、対応機器も増えない。......と、かなり苦戦していたことは否めない。
しかし、映画館でステレオスコピック3Dコンテンツを普通に楽しめるようになってくると、2次利用コンテンツでも3Dコンテンツ化してくる可能性が増える。今後は、3Dコンテンツ対応のデジタルハイビジョンテレビも増えていきそうだ。ようやく、視聴環境が普及し始める段階に入ってきたと言えるだろう。ステレオスコピック制作の波は、「また今度〜」というような「立ち消え」にはならずに済みそうな状況が整いつつある。
今月の特集では、現在のステレオスコピック3D制作のワークフローと課題を整理してみよう。今週は制作環境面、来週はポストプロ/上映に焦点を当てて紹介する。
[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2009年07月08日 ]
[ TAG : S3D Stereoscopic 3D ]
この記事に関連する記事一覧
|
|
[Stereoscopic 3D 第3章]Vol.01 3DカメラAG-3DA1とKiProで実現する3D撮影の押さえどころ(撮影編)株式会社マリモレコーズ 江夏由洋(FILTER KYODAI) 史上初、業務用二眼カメラの登場 3D撮影の大きな話題のPanasonic AG-3DA1。誰でも「簡単に」3D映像 .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第3章]Vol.00 今ここにある3D制作のすべて作る楽しみを知る時が来た! 2010年は言うまでもなく3D元年である。劇場映画に始まりお茶の間までに3Dがやってきた。これまでの3D映像が「見て楽しむもの」から「作って楽しむもの」 .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第2章]06: 画像処理の延長線で生まれた朋栄のS3D関連製品「当社では画像処理関連の技術を持っているのですが、ステレオスコピック3D(S3D)関連の取り組みは、もともとは画像処理の延長線上の機能として生まれてきたんです」 こう話すのは、朋栄 .... 続きを読む |
|
|
[Stereoscopic 3D 第2章]05: 良質のコンテンツを増やせ!ソニーが取り組むS3Dソニーはこれまで、4Kデジタルシネマプロジェクターと、RealDとの協業で3Dプロジェクションレンズユニットなど、映画市場における上映環境の充実を図ってきた。昨年末のInter B .... 続きを読む |
- [Stereoscopic 3D 第2章]04: 悩む前にやってみるS3Dストップモーション (2010年05月19日)
- [Stereoscopic 3D 第2章]03: フジテレビがアリス東京ドーム公演を3D放送 (2010年05月19日)
- [Stereoscopic 3D 第2章]02: S3Dの基礎知識2~3Dリグの使い分け (2010年05月19日)
- [Stereoscopic 3D 第2章]01: S3Dの基礎知識1~立体視の仕組み (2010年05月19日)
- [Stereoscopic 3D 第2章]00: 3つの重要ポイント~柔軟、短時間の設置、S3D演出家の登場 (2010年05月19日)
- [映像新時代2010]03: 普及フェーズに入ったステレオスコピック3D (2010年01月20日)
- [PRONEWS AWARD 2009]Vol.00 2009年を振り返る (2009年12月17日)
- [VFX 2009]01:映画/フィルムワークフローを変えずにデジタル化 (2009年09月30日)
- [SIGGRAPH2009]Vol.03 立体視がクロースアップされた映像作品の数々 (2009年08月12日)
- [Stereoscopic 3D]07: DreamWorks Animationがアニメーションを3Dへ移行 (2009年07月15日)
特集記事
|
DSMC/DSLR 2010 #2 現場感覚におけるDSLRの現状の捉えられ方を取材してみた。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第3章 ステレオスコピック3Dの具体的な制作方法を考えていく。 |
|
|
Ustream最終案内 Ustreamの世界の可能性を実際に現場で活躍する人々から探ってみた。 |
|
|
Digital Cinematography 2010 Cine Gear EXPOの様子などから、これからのハリウッド映像制作の方向性を紹介する。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第2章 関心が高まっているステレオスコピック3Dコンテンツの制作について整理していく。 |
|
|
DSMC・DSLR 2010 CP+のレポートを中心に、2010年のDSMC/DSLRの動向について考察していく。 |
|
|
ファイルベース収録カメラ最新案内 ファイルベース収録カメラを選択するための基準や基礎知識等を、レビューを交えて考察する。 |
|
|
Transcode ファイルベース・ワークフローの普及と共によく目にするようになったトランスコードについて整理する。 |
|
|
映像新時代2010 2010年の映像制作の潮流を様々な方面から予想していく。 |
|
|
稲田出のトレンド100選< /a> InterBEE2009で見た2010年注目100アイテムを紹介。 |
|
|
PRONEWS AWARD 2009 2009年を振り返りつつ、2010年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
Inter BEE 2009スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されたInterBEE2009のレポート記事やブース動画を掲載。 |
|
|
Inter BEE 2009の歩き方 目的に合わせたInterBEE2009の歩き方を紹介する。 |
|
|
最新映像制作ワークフロー VFX 2009 最新映像制作ワークフローの中から、制作効率を改善していくヒントを探す。 |
|
|
オンボードライト特集 Light House 新時代を予感させるLEDを中心にオンボードライトを解剖する。 |
|
|
立体視映像特集 Stereoscopic 3D 再び脚光を浴び始めているステレオスコピック3D制作に焦点を当てる。 |
|
|
REDワークフロー特集 RED flow Now RED ONEの最新ワークフローを考える。 |
|
|
4Kデジタルシネマ特集 4K Ready! RED ONEの登場で一気に注目されつつある4K映像とは? | |
|
デジタルサイネージ特集デジタルサイネージ2009 急速な広がりを見せるサイネージメディアを紹介する。 |
|
|
ワークフローの鍵を握るMXF& amp; lt;/a> MXFファイルを活用する現場を取材し、制作ワークフロー全体に広がるMXFを紹介する。 |
|
|
フルデジタル制作移行、その課題と展望 フルデジタル制作環境に向けて乗り越えなければならない課題と、その先の可能性を紹介する。 |
|
|
2008年総括:これからの映像業界 2008年の売れ筋を見ながら、人気機材の動向を振り返ってみる。 |
|
|
次世代収録環境へのアプローチ& amp; lt;/a> 2008年のカメラ環境を踏まえ、次世代環境に必要なものを考える。 |
展示会レポート
- SIGGRAPH2010
- NAB2010
- Inter BEE 2009
- CEATEC JAPAN 2009
- SIGGRAPH2009
- ケーブルテレビショー2009
- デジタルサイネージジャパン2009
- IMC TOKYO 2009
- NAB2009
Tag
- Inter BEE
- Inter BEE 2009
- SONY
- NAB SHOW
- NAB2010
- 3D映像
- IMC TOKYO
- Panasonic
- Avid
- コロラド紀行
- Adobe
- Autodesk
- RED DIGITAL CINEMA
- 地上デジタル放送
- SIGGRAPH
- AJA
- デジタルシネマ
- Canon
- Apple
- Final Cut Pro
- ケーブルテレビショー
- AVCHD
- Point of View
- PRONEWS TV Live
- Stereoscopic 3D
- H.264
- Omneon
- トムソン・カノープス
- FOR-A
- S3D
- IBC
- Matrox
- アスク
- デジタルサイネージ
- Quantel
- Victor/JVC
- CEATEC JAPAN
- 4K
- Blu-ray
- Ki Pro

