[SIGGRAPH2009]Vol.04 ゲームから立体視まで、実践的な制作手法の発表が相次ぐ

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[SIGGRAPH2009]Vol.04 ゲームから立体視まで、実践的な制作手法の発表が相次ぐ

2009-08-12 掲載

[SIGGRAPH2009]Vol.04 ゲームから立体視まで、実践的な制作手法の発表が相次ぐ

日本のビデオゲーム業界で注目されている海外のカンファレンスには、3月に行われているGDC(Game Deveropers Conference)と8月に行われるSIGGRAPHがある。GDCはプロダクションワークからビジネスに関するものまで、ゲーム開発全般にフォーカスしたカンファレンスイベントで、現在のゲーム開発のトレンドを見る機会となっている。これに対しSIGGRAPHは、コンピュータグラフィックス全般に関する学会であり、ゲーム開発に関しては今後3年、5年といった長期的な将来の技術トレンドを予見する機会として見られている。

実は、近年の北米のゲーム業界は非常に勢いがある。PLAYSTATION 3やXbox 360といった高性能なゲームハードの登場と、ハリウッドで培われた大規模なプロダクション・ワークフローのノウハウが活かされたことによって、ハイエンド・タイトルが多くリリースされている。さらに、現在は2巡目、3巡目のタイトル開発に取り組んでいることもあって、これらのノウハウは2009年3月に開催されたGDCで発表されており、非常に内容が充実していた。GDCは当初、プログラミング関連のセッションの比率が大きく、ゲームプログラマー向けカンファレンスという印象が強かったが、2009年はプロダクション事例の割合が多くなり、アーティスト向けセッションも充実したカンファレンスへと変化している。

SIGGRAPHの傾向としては、中・長期的な展望で基本的な要素技術を見る状況が長く続いてきたが、今年のプログラムではゲームにフォーカスしているセッションが多く見られた。特にGame Paperとゲーム開発のプロダクション事例の発表が組み込まれたことが、印象深い。こうした状況を踏まえて、ゲーム業界から見た今年のSIGGRAPHの傾向を報告しよう。

「魅力的なエンターテインメントは脳の深部で感じ取る」

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ウィル・ライト氏による基調講演

今年のSIGGRAPHがゲームにフォーカスされていると特徴づけたのは、『The Sims』や『SPORE』などのゲームクリエイターとして有名なウィル・ライト氏の基調講演が行われたことだ。

「Playing With Perception」と題された基調講演でライト氏は、魅力的なエンターテインメントは脳の深部で感じ取れるものであるとして、映画や音楽などさまざまなジャンルを例に挙げて説明した。ライト氏が関わった最新作のシミュレーションゲーム『SPORE』を例に、膨大なコンテンツを生成する方法として、ユーザーがゲーム上でキャラクターを作成してネットワークを通じ他のユーザーと共有する、いわゆるユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツについても触れた。近年のハイエンド・ゲームタイトルでのコンテンツ量は増加傾向にあり、そのコンテンツを如何に制作していくかという課題があることを示し、『SPORE』ではキャラクター作成ツールが先行リリースすることで、4,500万体のキャラクターが2カ月ほどで作成されたと話した。

さらに、共有されたデータを活用するためのAPIを公開して、キャラクターデータを基にイラスト風のイメージを生成したり、DCC(Digital Contens Creation)ツールへのインポートツールが開発されたりというように、ゲームを超えてさまざまな表現にコンテンツが活用されているというムーブメントを紹介した。

制作パイプラインの効率化に焦点が当てたゲーム制作事例

SIGGRAPH 2009においては、ゲーム制作プロダクションの制作事例もいくつか紹介されていたので紹介しておこう。まず、Guerrilla Gamesの『KILLZONE2』の事例では、1,200もの異なる破壊表現をプロシージャルに作成するパイプラインや、事前にクロスシミュレーションしたアニメーションデータをボーンアニメーションに変換してコンソールで再現するというような、事前にDCCツールでエフェクト表現を半自動生成するためのパイプライン事例が紹介された。高性能なゲームハードが登場した当初は、多くの表現がリアルタイムで生成される事になるのではないかと予想されていた。しかし、現状では事前処理をしたデータを使用する方法も併用されており、従来よりもクオリティの高いアセットを効率的に大量に作成するパイプラインを構築することが課題になっているそうだ。

Epic Gamesの『Gear of War2』の事例も効率化にフォーカスした内容だった。前作からグレードアップされたシネマティックな演出がされている『Gear of War2』だが、そのパイプラインには、音声を基にしたモーションキャプチャの収録や、キャラクターのレイアウト設計図を基にアクターを配置する方法、ビデオカメラでカメラアニメーションのリファレンスを収録するといった、無駄な調整を発生させない工夫が加えられたという。このタイトルは、前作から2年を経てリリースされており、ゲームエンジンのバージョンアップによるグラフィックのクオリティアップや新たな表現へのチャレンジを踏まえ、前作のノウハウも生かしつつも、地味ではあるがパイプラインを見直して効率化を図ることの効果が大きかったことがうかがえた。

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『Gear of War2』の制作スケジュールは、1作目よりタイトなものになった(左)。そこで、モーションキャプチャの段階から効率化を行っている。

EAの『Fight Night Round 4』の事例は、上記の2つのセッションとは異なり、テクニカルな内容であった。前作ではパンチがヒットした際の顔の歪みの表現がなされていたが、常に同じ挙動であった。これに対し、今回の作品ではソフトボディを応用したデフォルメーションを使用し、パンチの当たり方に対応してリアルタイムで顔の歪みを表現している。動きに対応した筋肉の表現も行われている。筋肉を表現したハイ・モデルからノーマルマップを作成してゲーム・モデルに割り当てた後、関節の角度を参照して各部分ごとにノーマルマップの強さを動的にコントロールしている。

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ソルバーと呼ばれる筋肉を表現するソフトボディが使われることも増えてきた。『Fight Night 4』における顔のソフトボディを応用した変形は、ウェイトコントロールすることでフニャフニャな変形にならないように工夫していた。(左)一方で、身体の筋肉表現部分については、関節の回転を基にノーマルマップの強さを変えることで表現していた。

アニメーション自体はモーションキャプチャデータを基にしているが、相手のガードによるコリジョンや筋肉システム、プレイヤーの操作によって発生するビヘイビアなどのシステムによって、パンチの軌道やポーズに調整を加えている。このようにプロシージャルな手法を積極的に取り入れることにより、プレイヤーの操作によってキャラクターの動きを動的に変化させ、ゲーム結果に多様性を持たせたという。

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アニメーションのコントロールに関しては、モーションキャプチャデータを基にフィジックス、マッスル、マグネット、コリジョンなどシステムによって調整していた。SIGGRAPHでは、こうした最新の技術的なパイプラインに関する論文発表がなされることも特徴だ。

[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2009-08-12 ]
[ TAG : SIGGRAPH 2009 SIGGRAPH2009レポート ]

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