[映像新時代2010]01: ノンドロップフレームが新技術の扉を開く
2010-01-20 掲載
RED ONEがデジタル一眼市場に火を点けた
2007年に登場したRED ONEは、4K解像度での収録の敷居を大きく下げた。それまでの35mmフィルム収録機材の導入コストはもちろん、フィルム現像コストや制作時間も削減し、高解像度映画製作ワークフローを変革するものとなった。しかし、ハイエンド市場に与えた影響よりも、はるかに大きな衝撃を与えてしまったのが、デジタル一眼レフ市場だった。
4520×2540のプログレッシブ映像を並べることで実現したRAWファイル映像制作は、デジタル一眼レフを使用してRAW現像をして静止画を作りこんでいく作業に酷似していた。しかも、RED ONEのセンサーサイズは35mm ARRIフィルムのフレームサイズに近く、デジタル一眼レフで言えばAPS-Cサイズに近い大きさだ。デジタル一眼レフには、RED ONEのセンサーサイズを越える35mmフィルムサイズのセンサーを持つカメラも存在し、豊富なレンズ群がある。デジタル一眼レフムービーの可能性を、RED ONEは実証してしまったのだ。
こうして、2008年秋、ニコンがD90に720p収録機能を搭載して時代を拓き、続いてキヤノンがEOS 5D Mark IIに1080pフルHD収録を採用。さらに、2009年春には、ミラー機構を持たないマイクロフォーサーズ機や各種コンパクトデジタルカメラにもHD収録機能が搭載されることになった。こうして2009年はデジタル一眼ムービーの映像制作時代に突入したわけだ。
ノンドロップフレームがノンリニア編集の課題を暴いた
| フルHDデジタル一眼ムービーの可能性を示したCanon EOS 5D Mark IIだったが、編集段階で別撮り素材と組み合わせる時はノンドロップフレーム素材であるがゆえの課題も。ファームウェアアップデートで24p/25pのドロップフレームに対応する予定だ。 |
さて、これまでのビデオ規格は、ディスプレイに映すことを前提に決められ、ドロップフレームのある映像を扱ってきた。そもそも、ドロップフレームはテレビがモノクロからカラーに変わる段階で、モノクロテレビとの互換性をとるために白の基準信号を挿入する必要性から生まれてきた。50年近く前に生まれた(カラーテレビ放送は1954年に本放送開始)規格を、デジタル放送時代になっても脈々と従来放送との互換性に引きずられているわけだ。2009年はこれに苦しめられた人も多いのではないだろうか。
2009年に急速に注目度を増したデジタル一眼ムービーだが、映像制作分野でデジタル一眼を活用しようとして映像編集段階でクロースアップしてきた問題は、このノンドロップフレーム映像に起因する。デジタル一眼は音声の収録も可能だが、オーディオ出力(ヘッドホン)端子ないために収録中に音質をモニターする手段がない。音声が適正に録れているかが分からないので、デジタルレコーディング機器を使用して音声を別撮りする。さて、編集段階に入ったところで、デジタル一眼ムービーと別撮りの音声をタイムラインに載せてみると、音ズレが発生してしまうというわけだ。
NTSCのフレームレートは29.97。10分ごとの例外を除き、毎分2フレームをドロップさせている。たかが2フレームと言うなかれ。1時間では6回の例外を除いた54分で各2フレーム、計108フレームがドロップするから、秒30のノンドロップフレーム映像とは1時間で3.6秒分もずれてしまうことになる。
これまでのノンリニア編集ソフトウェアは、ドロップフレームのビデオ素材に、ノンドロップフレーム映像の素材を混在させることなんて考えていなかったわけで、これを回避するには、デジタル一眼ムービーをドロップフレーム処理をしてから配置するといった工夫が必要になってしまった。せっかくのデジタル一眼の機動性を損なってしまったのである。
[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2010-01-20 ]
[ TAG : 映像新時代2010 ]
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